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喪中におせち料理は食べてもいいの?代わりに食べる「ふせち料理」とは?

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喪中におせち料理は食べてもいいの?代わりに食べる「ふせち料理」とは?

日本には、家族などの近親者が亡くなった際に、一定期間喪に服し、お祝い事を控えるなど身を慎んで過ごすという文化があります。特に、喪中のお正月に年賀状などの新年を祝う挨拶を控えるというのは、よく知られている風習です。しかし、お正月に食べる習わしがある「おせち料理」はというと、食べても良いのかどうか正直なところよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、喪中のおせち料理に関わる風習やしきたりについて解説しつつ、喪中のお正月でも食べられる料理、おせちに代わる料理を紹介していきます。

喪中におせち料理は食べてもいい?

喪中とは

「喪中」とは、身内の死を悼み、身を慎んでも喪に服す期間のことです。期間は、二親等までの親族が亡くなった際、命日から一周忌(翌年の同月同日)までの1年間(または13ヶ月間)とし、故人が亡くなってから最初に迎えるお正月も喪中と考えるのが一般的です。

お祝い料理であるおせちは食べないのが基本

日本のお正月といえば、おせち料理を食べるのが古くからの習わしです。しかし、おせち料理は新年を祝うための料理とされているため、お祝い事を避ける喪中には食べない方が良いというのが、基本的な考え方となっています。

おせち料理の由来や詳しい意味については、こちらをご覧ください。
おせち料理の由来と歴史〜おせちに込められた意味や願いとは?〜

「お祝い」にならない配慮をすれば食べることもできる

喪中には食べない方が良いと言われるおせち料理ですが、「お祝いを控えつつも、お正月を感じられる料理を食べて一年の区切りらしく過ごしたい」「親戚や家族が集まるので、何かおせちに変わる料理を振る舞いたい」という方もいらっしゃるでしょう。そのような場合には、お祝いの意味を持つ料理や華やかな盛り付けなどを避け、普段の料理として食べるのであれば、一般的に食べても問題ないとされています。
では、避けるべき料理、食べても良い料理には、どのようなものがあるのでしょうか?

お祝いの意味があり避けた方がいい料理

「紅白かまぼこ」、「紅白なます」など、めでたさの象徴である紅白の料理、「めでたい」「喜ぶ」との語呂合わせで祝意を示す「鯛」や「昆布」、長寿を意味する「伊勢海老」などは、喪中にはふさわしくないとして、控えた方が良いとされています。

また、「菊花カブ」のように菊の花を模した料理や菊の花にも注意が必要です。菊は仏花の定番とも言われ、葬儀やお墓でもよく用いられますが、正月料理では長寿を意味するため、控えるのが良いと言われています。

おせち料理の定番とも言える煮しめや筑前煮についても、結びつきやつながりを意味する「結びこんにゃく」や、真っ直ぐ伸びる芽からめでたさを意味する「くわい」を具材として使うことは、避けた方が良いでしょう。

お祝いの意味はなく食べても良い料理

おせちに入る料理でも、込められた意味がお祝いではないものについては食べても良いとされています。中でも、家族の健康や安寧、子孫繁栄を願うものは、家や一族が末長くご先祖さまを供養していくという意味にもつながることから、喪中のお正月に食べても問題ないと考えられているようです。

代表的なものでは、「まめに暮らす、まめに働く」という意味で家族の健康を祈る「黒豆」、五穀豊穣を意味する「田作り」、書物の巻き物に見立てて学業成就を意味する「伊達巻」、金運向上を願う「栗きんとん」、出世魚ということで立身出世を願う「ブリ」などは食べても良いとされています。

筑前煮や煮しめは、さまざまな食材を一緒に煮ることから、家族の繁栄を意味する料理のため、前述で紹介した「結びこんにゃく」や「くわい」を避け、普段の食事と同様に食べるのであれば問題ないでしょう。
「先を見通す」との意味があり、その花が仏教の象徴とも言える蓮の花である「れんこん」、その家が土地に根付いて長く続くことを願う「ごぼう」、子孫繁栄を意味する「里芋」も、控える必要はないと考えられています。

容器や盛り付けにも注意

おせち料理は一般的に重箱(お重)に詰められますが、これは福が重なるとの意味があるため避けた方が無難です。もしも使う場合には、黒や白の単色のものを使い、豪華さを抑える意味で二段以下にすると良いようです。
また、華やかに見える盛り付けや飾り切り、お祝いに際し人と神様が一緒に食事をすることを表す祝い箸も避けるようにしましょう。

おせちを用意した後に不幸があったらどうする?

おせち料理は一般的に、お正月に料理をしなくても済むようにとの意味から、年末から仕込むものとされています。またお店では、早いところでは10月頃からおせち料理の予約を受け付けるところもあります。

人の不幸は予測し難く突然訪れます。すでにおせち料理を準備していた、事前予約しておりキャンセルが難しいというような場合は、どうしたら良いのでしょうか。

お祝いらしくならないよう配慮して頂く

「喪中の正月にお節料理を食べない」という基本の考え方はありますが、仏教では、食べ物が無駄になることも良くないこととされています。気持ちの整理がつき、「もったいないから頂こう」と思える状態であれば、お祝いらしくならないよう配慮をした上で頂いても問題ないでしょう。

召し上がる場合には、金色や紅白などお祝いらしい飾りがあれば取り除き、「悲しいことが重ならないように」という意味で、重箱から出してお皿に盛り付けると良いでしょう。祝箸も使わないようにします。

予約注文をしている場合には、早めであれば料理内容や盛り付けの変更を受け付けてくれるかもしれませんので、慌てずに一度相談してみるのも良いかもしれません。

ふせち料理?喪中におせちの代わりを用意するなら

喪中のためのおせち「ふせち料理」

喪中でも配慮をすればおせちを食べても良いとはいえ、食べられる食材が限られており、「何かと慌ただしい年末年始に、食べて良いものを調べて準備するのは大変」というご家庭も少なくないでしょう。そこで、最近注目されているのが、お祝いを意味する料理や食材を使わずに作られた、喪中でもおせち料理の代わりとして食べることができる「ふせち料理」です。「喪中おせち」、地域によっては「もせち料理」とも呼ばれ、仕出し料理店や通販など購入できるお店が増えているようです。

一説には、ご不幸があった時の料理ということで、御節料理の「御」を、「不」とし、「ふせち料理」と呼ぶようになったのではないかと言われています。

オードブルなどを頼む際は、喪中であることを伝えると良い

喪中だったとしても、何かと慌ただしくなりがちはお正月。共働きのご家庭も増える中で、「おせち料理に変わる料理を頼んで、家事の負担を軽くしたい」と考える方も少なくないでしょう。その場合は、ふせち料理やオードブルなど、おせちではない料理を注文して取り寄せるのも一つの方法です。

もしオードブルなど、喪中用の料理でないものを頼む場合には、華やかな盛り付けにならないよう事前に喪中であることを伝え、盛り付けや料理について相談しておくと良いでしょう。

家庭で用意するなら、お雑煮や刺身・鍋料理もOK

「お祝いはできないけれど、できるだけ普段とは違うものをご家庭で用意したい」という場合には、刺身や鍋料理などを選ぶのも良いでしょう。特におめでたい意味はなく、「肉や魚を避ける」、「三が日に煮炊きを控える」といった風習も薄れているため、問題なく食べることができます。冬が旬のカニや普段より少し良いお肉を使うことでも、特別感を出すことができるでしょう。

元々は神様のお供えの意味があった「お雑煮」も、今は一般的な料理になっていますので、お祝いのために用意された餅などを入れなければ、食べることができます。

喪中のお正月の食事、気を付けておきたいこと

気持ちには十分配慮する

近しい人を亡くした悲しみは、思っているより大きいこともあります。もし、「お祝いのために準備した料理に手をつける気持ちになれない」ということであれば、無理に食べる必要はありません。ご自身やご家族の気持ちを尊重して決めるようにしましょう。

家や地域のしきたりを確認する

時代とともに、喪中の過ごし方や食事についての考え方は柔軟になってきている、一方で昔からの風習を重んじる家(いえ)や地域もあります。のちのちトラブルになるのは良くないですし、それは故人も望まないでしょうから、受け継がれているしきたりなどがないか事前に確認し、家族みんなが安心して過ごせる形で過ごすようにしましょう。

まとめ

日本の古くからの習わしでは、喪中におせち料理を食べることは控えるのが無難とされています。しかし、必ずしもその通りにすべきということではなく、祝意を示す料理を避けるなど基本的なしきたりを守れば、喪中であってもおせちの料理を食べて問題ないとされています。

最近では、喪中の過ごし方や料理についても、家庭の事情に合わせた対応が尊重されるようになってきました。お正月は、家族や親戚が集まる良いタイミングでもあります。それぞれの家庭らしい料理を囲んで集い、お正月の挨拶にお墓参りをすることも、故人への供養となるでしょう。

喪中やお正月をテーマにした記事が他にもありますので、よろしければ合わせてお読みください。
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