お役立ちコラム お墓の色々
お役立ちコラム お墓の色々
- 供養をきわめる -
線香の香りにはどんな種類があるの?香りの違いも解説

現代では様々な香りがあり、アロマ代わりに「日々の癒し」として楽しむ方も多い線香。お墓参りや仏壇などで、気づくとお供えするのが当たり前になっていた線香ですが、なぜ線香をあげるのか理由を知らない方もいるのではないでしょうか?また、なぜか懐かしく感じる線香の香りは何で作られているのでしょうか?
今回は線香と線香の香りについてご紹介します。
線香はなぜあげるの?
線香をあげる目的は様々なものがあります。
①仏教では、「香食(こうじき)」といって「死者は香りを食べる」と考えがある
②香煙を通じて仏様と心を通わせる
③良い香りを届けると、故人の供養につながる
④線香の香りは心や身体、場を清める力がある
⑤線香をあげると、天に昇っていく煙によって、あの世とこの世がつながる
このように、線香をあげる行為にはさまざまな意味や願いが込められています。一つひとつの香りが、仏様や故人へ向けた私たちの想いを伝える大切な役割を果たしています。
線香の詳しい歴史はこちらの記事で紹介しています。
◆仏事で「お香」を使うのはなぜ?〜仏教におけるお焼香、線香の意味や歴史を解説します〜
線香の種類
線香には実は様々な種類があります。普段何気なく購入するものでもあるので、はっきりと違いがわかる方は多くないのではないでしょうか?
ここでは線香を大きく4種類に分けて解説します。
杉線香
煙が多いのが一番の特徴であり、お墓参りなど屋外で使用するのが一般的です。杉特有の素朴で自然な香りがします。
別名墓参線香(ぼさんせんこう)とも言い、杉の葉や小枝を乾燥させ粉末にしたものが材料になります。着火芯がついているため外でも火をつけやすく、折れにくいのがお墓参りの際に選ばれやすい理由です。 杉と聞くと花粉症の方は心配になると思います。しかし、使用されているのは杉の葉や小枝であり、花粉ではないので杉の花粉症があっても使用できます。ただし、杉そのものにアレルギーを示す方もいるので、異常が見られた場合は使用を中止しましょう。
匂い線香
クスノキ科の一種である椨(たぶ)と呼ばれる木の皮を乾燥させ、粉末にしたものを材料にします。香木や香料を調合した香りを加えてつくられます。香りが良く、煙が少ないため、仏壇など屋内で使用されます。
微煙線香、少煙線香
近年よく見る微煙線香または少煙線香は、匂い線香の一種です。
香木を使用することは少なく、炭を多く使用することで煙を少なくしています。炭が多く含まれているため、色が黒いものが多いです。マンションやアパートなど、部屋に煙を充満させたくない方におすすめです。また、香りも優しいものが多いため、線香独特の香りが苦手な方もこちらを選ぶと良いでしょう。
火を使わないタイプ
「火を使えない、火の後始末が心配」という方向けに、LEDタイプのお線香も発売されています。香炉に直接さして使うものや、香炉と一体型になったものがあります。お線香とセットでお供えされるろうそくにもLEDタイプのものが発売されています。
また、アロマオイルを垂らしてその香りを拡散させて使用するディフューザータイプのものも近年登場しています。
火を使わないので煙ももちろん出ません。今まで様々な理由で線香を使いづらかった方でも負担なく使用できるのがメリットといえるでしょう。
線香は宗派によって手向ける線香の本数や線香の置き方に違いがあることをご存知ですか?
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
線香の香りにはどんな種類がある?
杉線香の香りの主成分は名前のとおり杉ですが、匂い線香の香りは様々な種類があります。匂い線香の香りのもととなる天然原料の一部は薬用として用いられることもあります。次で説明する白檀(びゃくだん)、沈香(じんこう)、伽羅(きゃら)は天然原料の香木という分類にあたり、産地や産量も限られる貴重な材料となっています。
また最近は香りを調合して、日常生活でなじみの深い品々のにおいを再現した線香も増えてきています。故人が生前に好まれていたチョコレートやコーヒー、日本酒などの香りを再現した線香もあります。思い出の香りに包まれて、きっと微笑んでくださることでしょう。
白檀(びゃくだん)
白檀はベースとして使用されることが多く最もポピュラーな香木です。別名サンダルウッドとも呼ばれ、アロマで使われることも多いため、こちらの名前で覚えている方も多いのではないでしょうか?また香りのみならず、仏像や数珠などの彫刻工芸品等にも使用されています。常温でも香りやすく、ほのかに甘さを含むウッディ調の落ち着く香りが特徴です。
沈香(じんこう)
通常の木々と違って、水に沈むのが特徴で、香りのする木ということから「沈水香木」と呼ばれるようになり、その呼び名がさらに簡略化されて「沈香」と呼ばれるようになりました。輸出入が制限されているため、極めて希少な原料です。アガーウッドとも呼ばれ、こちらもアロマとしても使用されています。産地により香りが違い、甘みや苦みを感じるものやスパイシーさを感じるものなど香りの感じ方が分かれます。
伽羅(きゃら)
伽羅は沈香の一部のみが称される、希少価値の高い最高級品です。ベトナムの限られた地域からのみ産出され、採取自体も困難です。伽羅がどのように生まれるのか、その詳しい仕組みは今なお謎に包まれています。人工的に作り出すことはできず、特定の樹木が自然環境の中で偶然に出会う微細な条件の積み重ねによって、数百年もの歳月をかけてゆっくりと育まれます。沈香より含油量・水分量が多いため熱を加えず常温でも香りやすく、加熱すると奥深く濃厚な香りになります。漢方薬としても昔から重宝されています。
線香の保管方法
線香には明確な使用期限はありませんが、湿気に非常に弱く、強い日差しを浴びると変色や香りが変質する可能性が高まります。
直射日光や高温多湿を避けた場所で保管しましょう。
また空気に触れ続けていると香りが薄くなってしまうため、密封できる容器や元箱に戻して保管すると良いでしょう。
線香自体には関係ありませんが、他のものに匂いが移りやすいため、服などにおいが移りやすいものとは一緒に保管しないようにしましょう。
まとめ
小さな頃から身近にあった線香ですが、知らないこともあったのではないでしょうか。今もなお、人々の暮らしの中で大切に受け継がれ、形を変えながら親しまれています。線香をあげることで、墓前や仏間が故人にとっても、私達にとっても、安らぎの空間になります。故人が好きだった香りや好きだった食べ物の香りの線香を持ってお墓参りに行きませんか。香りを通じて故人のことを思い出しながら、喜ぶ顔を想像して手を合わせてみましょう。
お墓参りやお供え物について説明した記事がありますので、参考にご覧ください。