お役立ちコラム お墓の色々

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お墓参りでお線香をお供えする本数に決まりはあるの?〜お線香の意味や宗派による作法・マナーを紹介〜

葬祭基礎知識

お墓参りでお線香をお供えする本数に決まりはあるの?〜お線香の意味や宗派による作法・マナーを紹介〜

お線香といえばお墓参りの必需品ですが、お供えの仕方については、「家族や他の人がやっていたのを見よう見真似でやっている」「教わる機会がなく分からない」など、お供えする意味や作法についてはあまり詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれません。
家の中にある仏壇にお供えするときと違い、お墓は外にあり家族以外の人の目にもふれやすいため、知っておいた方が良いマナーがあります。
ここでは、お墓にお線香をお供えする意味や一般的なマナーに加えて、宗派別の線香の本数や作法も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

線香(香)の伝来

仏教伝来以前、⽇本の宗教的な⾹りと言えば杉・檜・榊など⽊の⾹りを凝縮した⾃然そのままのものでした。
線香のルーツには諸説ありますが、一説では、西暦538年に仏教の伝来と共に「香」が伝ったと言われています。当時は仏具として上流階級のみが扱う高級品でしたが、段々と庶民の間にも広がり、仏壇やお墓にお供えされるようになったようです。

線香をお供えする意味

お線香を供える意味も諸説あります。

・古代インドの仏教経典に書かれた「香りは死者の食べ物であり、生前善い行いをしてきた死者は良い香りを食べられる」という話から、故人の極楽浄土行きを願い、良い香りのお線香を供える。

・お線香の煙の匂いが余計な匂いを消してくれること、浄化作用があるとされることから、お墓やその周辺、お墓参りをする者の心身を清める。

・お線香の煙にはあの世とこの世をつなぐ役割があるとされることから、お線香の香りに乗せて故人を思う気持ちを伝える。

・ご先祖さまや故人に、お墓参りに来たことを知らせる。

現在の日本のお墓では当てはまりませんが、埋葬の様式が土葬だった時代には、お線香の香りが余計な匂いを消してくれる効果もあったそうです。
お墓参りとは違いますが、上記の意味の他お寺の座禅の時などは、眠気を覚ます、時間を計るなどの役割も果たしているようです。

一般的なお供え方法

お墓の掃除や、お菓子やお茶などのお供え物を終えたら、お線香に火を灯し、一礼の後、線香立てや香炉にお供えします。

お墓参りの際は、お線香を束で持っていく場合がほとんどかと思いますが、お供えの際には、1人に1本から3本ほどをお供えする、束を解いて一緒に参拝する人たちで分けてお供えする、代表者がまとめてお供えするなど、家族それぞれの習慣でお供えされることが多いようです。
お線香の供え方については、東日本と西日本で違いがあり、東日本では寝かせて、西日本では立ててお供えする方法が主流となっています。寝かせてお供えする場合には、火がついている側を向かって左にするのが一般的です。

お線香は、家族や地域の習慣となっている方法でお供えされることも多いですが、宗派によって基本的な本数や作法が決まっている場合もあります。
人や地域などによっては、しきたりや作法を重んじることもあるので、宗派ごとの作法があることを知っておき、事前に調べたり周りの方に合わせたりできると安心でしょう。

宗派による違い

こちらでは、一人ずつ必要な本数をお供えする場合の、宗派毎の基本の本数と作法についてご紹介します。

真言宗・天台宗

3〜10本を立ててお供えします。
3本の理由として、一説では、仏教の基本的な考え方である「三帰依(さんきえ)」という「三宝(仏・法・僧)」を大切にするためと言われています。人数が多い時には1本ずつ、1人でお参りする場合は10本以上をお供えしても良いようです。

臨済宗・曹洞宗

1本を立ててお供えします。
1本という本数には、「一心に祈る」「仏の真の教えは一つだけである」という意味が込められているそうです。

日蓮宗

1本、または3本を立ててお供えします。

浄土宗

1本を、そのまま、もしくは2つに折ってお供えします。立てるか寝かせるかは基本的にあまり決まりはありません。

浄土真宗

寝線香という作法でお供えするのが特徴です。1本の線香を香炉の大きさに合わせて2つや3つに折り横に寝かせてお供えします。この時、4折り以上はせず、火がついた方を向かって左に向くようにお供えします。

一般的な作法はあるものの、地域や僧侶、家族などによっても少しずつ違う場合がありますので、事前に確認しておくと安心です。

葬儀やお墓についても宗派ごとに違いがあります。こちらの記事にまとめていますので、是非合わせてお読みください。
宗派によるお墓の違い一覧

線香を供える際に気をつけたいマナー

お線香をお供えする際に、気をつけておくと良いことがいくつかあります。

まずはお墓のお掃除から

お墓参りに行ったら、お墓全体を掃除しお浄めをしてから、お花やお線香をお供えします。周辺の雑草や落ち葉などもきれいにすると良いでしょう。
お墓参りは、ご先祖さまや故人の冥福を祈るためのものです。家の中と同じようにきれいに掃除をし、尊敬や感謝の気持ちを込めてご先祖さまや故人の眠る場所を整えることも供養の一環と言えます。また、こまめに掃除をすることでお墓を長持ちさせることにもつながります。

線香を束ねるために巻いてある紙は必ず取る

親類や家族など大勢でお墓参りに行く際には、お線香一束にまとめて火をつけてお供えすることもあるかと思います。その際に、巻いてある紙がそのままだと火が燃え移る危険がありますし、途中で消えてしまうこともあるので、線香を束ねるために巻いてある紙は必ず取りましょう。

火をつけるときは、ろうそくから線香に火を移す

お線香に火をつける際は、基本的にはまずろうそくに火を灯し、そのろうそくから線香に火を移すようにするのが基本の作法となります。
お墓参りでろうそくに火を灯すことには、「不浄なものを祓い周囲を清める」、辺りを明るく照らすことで「誰がお墓参りにきたかを故人に知らせる」「故人の道標となる」という意味が込められているためです。

しかしお墓は屋外にあるため、風が強い、ろうそくを立てる場所がないなど、ろうそくから火を移すことが難しい場合には、ライターなどを使うこともあります。仏壇ではライターから直接火を灯すことはタブーとされていますが、屋外の場合は基本的に使用しても問題ありません。また、どうしても火を灯すのが難しい場合には、火のついていないお線香をそのままお供えしても良いとされています。

火は吹き消してはいけない

お墓や仏壇の前で、お線香やろうそくの火を吹き消すことは、「汚れた人間の息を仏様に吹きかけるのは失礼」という仏教の教えから、タブーとされています。手で仰ぐ、お線香の場合は燃え切るまで待つ、水を使うなどの方法を取りましょう。

お線香は燃やしきるようにする

お墓参りが終わったら、お供物は全て持ち帰るのがマナーです。お線香は、最後まで燃やしきる、難しい場合は火を消して持ち帰るようにしましょう。

墓地や霊園の決まりを守る

墓地や霊園によっては、お線香やお供物の取り扱いに関して決まりがあるところもあります。住宅街にある霊園などでは香りの強いお線香を使えない場合もあるようです。御供物の取り扱いについては事前に確認しておくと良いでしょう。

いくつかマナーを紹介しましたが、お線香は火を使うため、火の取り扱いに関しては十分に気をつけることが重要です。安全に、マナーを守って、安心して手を合わせることができると良いですね。

まとめ

お墓参りの作法についていくつかご紹介しましたが、これらは一般的なもので、地域性、家族のしきたりなどは様々です。また、宗派の作法についても僧侶によって考え方が異なる場合もあります。
作法やその作法に込められた意味を知っておくことは大事ですが、まずはご先祖さまや故人を思い供養する気持ちをもって手を合わせることが大切です。
こうして作法やマナーを知っていただくことで、先祖さまや故人に思いを寄せるきっかけにしていただければ幸いです。

お墓参りの基本についてもまとめていますので、是非合わせてお読みください。
【保存版】お墓参りのマナーや常識 5つのポイント
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう

「供養」には実は種類があります。その意味を深く知っていただける記事はこちらです。
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