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国鳥は「キジ」国花は「菊」…では、日本の国石は?

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国鳥は「キジ」国花は「菊」…では、日本の国石は?

日本の国歌といえば、入学式や卒業式でおなじみの「君が代」です。日本人の文化や歴史を象徴する歌として、「国旗及び国歌に関する法律」第二条で制定されています。「国歌」のように法律で制定されているわけではありませんが、実は「国花」や「国鳥」もあるのをご存じでしょうか?国花には「桜」と「菊」、国鳥には「キジ」が選ばれています。そして近年、国石となる石も選ばれました。一体どんな石がどんな理由で選ばれたのでしょうか?その理由を知ると、あなたの知らない日本の歴史や文化を発見する機会になるかもしれません。

翡翠とは?

日本の国石は、ずばり「翡翠(ヒスイ)」です。2016年に、「日本鉱石科学会」によって選ばれました。半透明の深緑色が特徴的な石で、古くは縄文時代~古墳時代にかけて、石器武器やまじない事の道具、交易品として使われていました。世界的には、中南米のマヤ・アステカ・インカ文明、古代中国でも利用されていたことが分かっています。
現在目にする機会としては、ジュエリーやアクセサリーになっていることが多いでしょう。「成功」「繁栄」のチカラがあるといわれ、5月の誕生石にもなっています。今も昔も、神秘的なチカラを秘めた石と見なされてきたのが、翡翠の特徴です。

翡翠、名前の由来

「翡翠」という名前は、中国から伝わったものと考えられています。中国で「翡翠」は、渓流に生息する鳥・カワセミを指す言葉でした。羽の色が似ていることから翡翠という名前がこの石にあてられたと考えられています。

緑色だけじゃない翡翠の色

名前の通り緑色のイメージが強い翡翠ですが、構成されている物質によっては、白・淡紫・青・黒・黄・橙・赤などの色に分かれます。ただし、日本では赤色系のヒスイは発見されていません。

実は2種類ある翡翠

「翡翠」は、見た目は似ていますが化学組成が全く異なる、2種類の石の総称です。つまり、一口に「翡翠」といっても2種類の石があるのです。ただし日本国内では、翡翠と言えばジェイダイトを指します。

1、ジェイダイト(硬玉)

透明度が高く、希少価値が高い方の翡翠です。日本、ミャンマーやロシア、グアテマラなど世界でもごく限られた地域でしか採れません。宝石として扱われています。

2、ネフライト(軟玉)

ジェイダイトに比べると安価な方の翡翠です。お守りや雑貨として利用されています。世界各国で産出されているので希少価値は低くなります。ただし、ジェダイトが採れなかった中国では「玉(ぎょく)」と呼ばれてネフライトが重宝されていたので、ジェイダイトよりも高級品として扱われることもあります。

日本の翡翠の名所

貴重なジェイダイトが産出される、翡翠の名所を2つご紹介します。どちらも天然記念物であり、該当地での採取は禁じられているのでご注意ください。

小滝川硬玉産地

糸魚川を象徴する日本随一の翡翠の産地は、新潟県・姫川の支流である小滝川の川原一帯を指す「小滝川硬玉産地」です。昭和31年に国の天然記念物に指定されました。
清流によって磨かれた小滝川の翡翠は、原石でも十分美しいのが特徴です。また、ネフライトの産地でもあります。原産地であるヒスイ峡での採取は禁じられていますが、下流に流れ出た翡翠が打ち上げられた海岸では、採取が可能です。そのため周辺の海岸には、翡翠を探し歩くファンが集まるそうです。

青海川硬玉産地

新潟県・青海川の上流黒姫山の麓にある「青海川硬玉産地」は、昭和32年に国の天然記念物に指定されました。この産地から流れ出た翡翠は淡い紫色が多いことが特徴で、漂着する下流の海岸が「ラベンダービーチ」と呼ばれる程です。
近隣にある「翡翠ふるさと館」には、世界最大の102トンの原石が展示されています。この原石も青海川硬玉産地から採石されたものです。

翡翠はなぜ国石に?

では、なぜこの翡翠が日本の国石になったのかを解説いたします。
先述した通り、翡翠(ジェイダイト)は希少価値の高い石で、どこでも採れるものではありません。そんな珍しいジェイダイトの世界最古の利用事例は、約5000年前の縄文時代中期、新潟県糸魚川周辺と言われています。つまり、世界で最も早くジェイダイトを文化に取り入れたのは、私たち日本であると考えられているのです。
しかし、古墳時代まで使われていた翡翠も、奈良時代以降は全く利用されなくなってしまいました。産地があったことも忘れられてしまい、日本で翡翠が採れることが再発見されたのは、なんと昭和初期の頃です。おかげで、日本の翡翠は採りつくされるということもなく今日まで残っています。産地は天然記念物に指定されたので、今後も保護されて残っていくことでしょう。こうした歴史的背景と、世界でも希少な産出地、そして後年まで残る将来性から、翡翠は日本を象徴する石に選ばれたのです。

お墓参りと翡翠の関わり

お墓参りの「あるもの」に翡翠は一般的に利用されています。
その「あるもの」とは、数珠です。数珠には人間が持つ108個の煩悩を打ち消し、身を護るなどの有り難い功徳があると言われています。お墓参りの際に持参する方も多いでしょう。木製や水晶製のものも多いですが、翡翠製のものもよく利用されています。勾玉にもよく利用されていことから、その魔よけ効果はお墨付きです。ここまで読んで翡翠に興味をお持ちになった方は、故人の誕生月や祥年月日に合わせて、翡翠でできた数珠を用意するのも一層心がこもって良いかもしれません。日本の国石をぜひ利用してみてはいかがでしょうか?

弊社のショールームでは、翡翠の数珠・腕輪などを手に取ってご覧いただけます

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