お役立ちコラム お墓の色々

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水子供養について解説します

供養・埋葬・風習コラム

水子供養について解説します

さまざまな事情によってこの世に生まれることができなかった子どもの冥福を祈り、供養をすることを「水子供養」といいます。
姿を見ることも叶わなかった我が子への苦しい胸の内は、なかなか他人へは打ち明けづらいものでしょう。「水子供養」についても一人胸に抱え、誰にも相談できないこともあるのではないかと思います。
今回は「水子供養」について解説いたしますので、ぜひ参考になさってみてください。

水子とは

水子とは、流産・死産・人工妊娠中絶などで亡くなってしまった胎児や、生まれて間もないうちに亡くなってしまった赤子のことを指します。水子は一般的に「みずこ」と読む場合が多いですが、仏教では「すいじ」と読んで戒名の位号として扱われています。

水子という言葉の由来には諸説あります。

・古事記より。イザナギとイザナミの第一子として産まれながらも、不具(奇形)であったことから海に流されてしまった水蛭子(ひるこ)が由来となっている説
・堕胎した子を川に流したという昔の風習が由来となった説
・親を見ずの子(=みずこ)説

水子供養のはじまり

江戸時代に浄土宗の僧侶・祐天上人が水子に戒名を授けて供養しました。これが水子供養のはじまりとされています。

当時、7歳までの子は特別扱いをされ、仮に7歳以下で亡くなった場合でも葬儀は行われていませんでした。しかしながら、生まれて間もない赤子や、生まれることの出来なかった子を持つ母親の苦悩は大きく、「我が子を亡くした親の苦悩を救済するために供養する」という考えのもと行われたとされています。

ただ、水子供養が全国的に広まったのは1970年代以降のことで、比較的新しいものといえるでしょう。

水子供養は何のために行うか?

「水子の祟り」という話を耳にされたことがある方もいるかもしれませんが、祟りを恐れ逃れるために供養をするわけでは決してありません。もとより、どのような事情があったとしても、本心で親の不幸せを願う子供はいないでしょうから。

まずは「この世に誕生できなかった御霊を癒し、導く」ことが第一の目的です。
誕生することのできなかった命と向き合って、ひとときのご縁に感謝する。そして、いつかまた出逢えることを願いあの世での幸福を祈願し、供養します。

もうひとつの目的は祐天上人のように、子を失った母の悲しみや苦痛を癒すためです。

それぞれの事情で生まれてくることのなかった我が子に対する悔しさ、悲しみ、寂しさ、懺悔…その想いを一人で抱え、立ち直ることができないという方もいるかもしれません。

そこで、水子供養を通してあらためて命と向き合い、語らいの時間を持ち、それによって母親自身も癒される。

水子供養は生まれてくることのなかった子とその母親にとって、とても大切で必要なことといえます。

水子供養はどこで行う?時期は?

水子供養はお寺で行なってもらえます。ただ、すべてのお寺でできるわけではありません。普段から、ご先祖さまの供養でお世話になっているお寺・菩提寺があれば、まずはそこに相談し、菩提寺以外やそもそも菩提寺がない場合は、水子供養の受付が可能なお寺を探すことになります。

なお、水子供養をするタイミングに決まりはありません。気持ちが落ち着いた時に、水子供養をして差し上げてください。

お寺で行う水子供養

お寺で行う水子供養には主に4種類あります。

・卒塔婆供養
・戒名授与
・地蔵奉納
・地蔵尊参拝

卒塔婆供養

水子のために卒塔婆を作成しお地蔵様の側に立てかけ、読経を行なって供養する方法です。
水子供養としては最も多い方法です。

卒塔婆供養については、こちらの記事にも詳しく掲載しています。

卒塔婆には立てるタイミングがあります

戒名授与(かいみょうじゅよ)

お寺によっては、水子に戒名を与えてくれるところもあり、戒名を与えていただいた後に位牌を作成すると、位牌への魂入れも行ってもらえます。

地蔵奉納

水子供養の象徴とされるお地蔵様の石仏を奉納する供養法です。
お地蔵様は「子どもを守る」とされており、中でも水子地蔵は、様々な理由でこの世に生まれることができなかった胎児の旅立ちをサポートする役割を持つといわれています。

なお、ご遺骨がある場合は、自家墓地敷地内に水子地蔵の石仏を建ててその中に納骨する方法もあります。
先祖代々のお墓ではなく、お地蔵様に守ってもらうのが慣例となっています。

地蔵尊参拝

水子供養を行っているお寺には、参拝の対象となる地蔵尊像があります。地蔵尊にお線香等をお供えし、祈りをささげることで水子供養とすることもできます。中には心が休まるまで、何度も通う人もいるそうです。

自宅で行う水子供養

水子供養は自宅でも行うことが可能です。

・位牌供養
・骨壺供養
・写経、写仏

などがあります。

位牌供養

あらかじめ命名しようしていた名前や、お寺から授かった戒名を位牌に刻み、仏壇などに祀って供養を行うものです。
なお、位牌は伝統的な黒い漆塗りのものの他、クリスタルでできた位牌や小さめの位牌、四角ではなく丸みを帯びたデザインなどがあります。

なお、仏壇がない場合は小さな台を用意し、ミニ線香立てやミニお鈴などと組み合わせるとよいでしょう。

骨壺供養

遺骨がある場合、小さな骨壷を用いて「手元供養」とすることができます。
手元供養とは、遺骨や遺灰をお墓に埋葬せず、自宅の仏壇などの身近な場所に置いて管理、供養をすることです。

なお、手元供養については下記の記事にも詳しく掲載しています。

多様化する自分らしい供養方法「手元供養」とは

写経、写仏

写経や写仏は、自宅でもお寺でも行える供養の方法です。
仮にご遺骨が無い場合でも、写経や写仏をお墓の納骨室に納め供養とします。
また、集中して手を動かすことや、水子の供養のために行なうことで、心に安らぎをもたらします。

なお写経の場合、経文の最後に「為」と書き、その下に

・水子が1人の場合 「〇〇家水子之霊位」
・2人以上の水子を供養する場合 「〇〇家水子一切之霊位」
 ※男女両家でのご供養の場合は、お二人の苗字をご記入ください
・水子の名前を書く場合 「▲▲水子之霊位」(▲▲は名前)

と書きます。

写仏は、水子供養の象徴であるお地蔵様の絵を下図にし、鉛筆で描き写した後、色塗りをします。

まとめ

水子の語句の意味や、そもそものはじまり、供養の方法を見てまいりました。
様々な方法があるためもし迷われた場合は、菩提寺や馴染みの石材店などに相談してみることをおすすめいたします。