お役立ちコラム お墓の色々

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神道のお墓参りとそのマナーを解説します

供養・埋葬・風習コラム

神道のお墓参りとそのマナーを解説します

初詣やお祭り、七五三など、私たち日本人の生活の中には、神道と結びついた儀礼・行事があります。本人が意識していなくとも、神道は身近な存在と言えるのではないでしょうか。

神道は、古代日本に起源をたどることができるとされる日本独自の宗教で、伝統的な民俗信仰・自然信仰・祖霊信仰を土台とし、大陸より伝来した仏教などの影響を受けながら形成されていきました。

かつての日本では神道と仏教は共存して信仰され、「神」と「仏」は互いの存在をそれぞれの解釈のもとで同一視していました。その後、明確に「神道」と「仏教」を異なる宗教として分けるようになったのは、明治維新以降です。

このような歴史から仏教と神道では似ている部分がありますが、では、神式のお墓参りのやり方はご存知でしょうか?

今回は、混同しないように一般的な仏式とも比較しながら、神道のお墓参りの特徴とマナーを解説いたします。

持ち物

仏式のお墓参りと共通して持っていくべきものは、お墓をきれいにするためのほうきや雑巾、軍手などです。お墓を清める方法も仏式と違いはありません。

お供え物としては、榊(さかき)、ろうそく、お神酒、塩、水、米などが代表的なものになります。地域によって違いがある場合があります。事前に確認しておきましょう。

榊を供える

仏式のお墓参りでは、花を供えますが、神道のお墓参りでは、花ではなく榊の枝を供えます。ただ、最近では神式でも故人の好きだった花や植物を供える方もいらっしゃるようです。

榊は、先端のとがった濃い緑色の葉をもつ植物です。

古来から植物には神が宿るとされ、特に先端がとがった枝先は神が降りる依り代(よりしろ)として、若松やオガタマノキなど様々な常緑植物が用いられてきました。近年はもっとも身近な植物で枝先がとがっており、神の依り代にふさわしいサカキやヒサカキが定着しています。

お墓だけでなく、祖霊舎(それいしゃ/みたまや)と呼ばれる祖先の霊を祀る祭壇にも、榊を供えます。なお、神道では、亡くなった方の魂は祖霊となって家の近くに止まり、守護神となって家族や子孫を守ってくれると考えられています。

神饌(しんせん)を供える

神饌とは、神様に献上するお食事のことです。御饌(みけ)とも呼ばれます。

本来、神饌としてお供えする品目は、主食としてのお米を始め、お酒、お餅、海魚、川魚、野鳥、水鳥、海菜、野菜、お菓子、お塩、お水を基本とします。その他、地元の産物が捧げられたり、お祭りであればその軽重によって種類・数が増減することもあります。地域によっては、歴史的に特別な由来のある神饌が捧げられるなど、長い歴史の中で育まれてきた食文化が反映されるものです。なお、神饌には、生のまま供えられる生饌(せいせん)と、調理したものをお供えする熟饌(じゅくせん)があります。

お墓へのお供えや、家庭での神棚へのお供えもこれに準じることとなり、洗米、お神酒、塩、水などが供えられます。

なお、仏式では特に決まりはなく、故人の好きだったものを供えるのが一般的です。

玉串(たまぐし)を奉納する

仏式では線香をたくのが一般的ですが、神式では、線香はたきません。代わりに玉串を奉納します。榊の葉に麻や紙などを貼り付けたものが玉串です。玉串は神様へささげる神聖なものなので、常に両手で扱います。なお、改まったお参りの場合は玉串を奉納しますが、普段のお墓参りでは、榊の枝を八足台に置くだけで構いません。

玉串奉納のやり方

①玉串を一礼してから両手で受け取ります
②左手で葉を、右手で枝を支えます
③左手で玉串を支えながら、右手を動かし枝を自分の方へ90度回転させます
④手を持ち替え、右手で葉を支え左手で枝がお墓を向くように回転させます
⑤二礼、二拍手、一礼します

亡くなった人は神様と同じ扱いになるので、お墓参りの時も神社で参拝する時と同じように、二礼二拍手一礼で拝礼します。

しのび手

神社に参拝する時に音をたてて行う柏手(かしわで)に対して、神道の葬儀や、仏教の四十九日法要にあたる「五十日祭」までは、「しのび手」を用います。

しのび手とは、音をたてないように打つ拍手のことです。右手の親指以外の四本の指で左の掌を音を立てないようにそっと打ちます。

服装

葬儀では服装に決まりがありますが、お墓参りには特に服装の決まりはありません。仏式のお墓参りと同じように、派手な服装や露出の目立つ服装は避けた方が良いでしょう。

神道のお墓参りの時期

仏教では、お盆やお彼岸の時期にお墓参りをするのが一般的です。神道でもお盆の時期には故人に感謝をし、祭りなどを執り行います。仏式では初盆、新盆と呼ぶものを、神式では、新盆祭・新御霊祭としています。

また神道ではお彼岸は、先祖と自然界に感謝する大切な日とされています。

仏式の法要(初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌、十七回忌など)にあたる儀式を、神道では「霊祭」や「みたままつり」と言い、亡くなってから10日ごとに行います。
具体的には、翌日祭、十日祭、二十日祭、三十日祭、四十日祭、五十日祭、百日祭、一年祭、三年祭、五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、四十年祭、五十年祭、です。
五十日祭が仏教でいう忌明けに当たり、最初の大きな節目となります。

まとめ

神式に限らず、作法を気にしすぎてお墓参りに行かなくなってしまうことは本末転倒です。神道ならではのお墓参りの作法やマナーがありましたが、ご先祖様や故人を想う気持ちは、神式でも仏式でも共通するところでしょう。大切なことはまずお墓に足を運ぶことです。ぜひお墓参りをしてご先祖様や故人を偲び、手を合わせてみましょう。