お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

永代供養はいつからはじまった?

供養・埋葬・風習コラム

永代供養はいつからはじまった?

永代供養とは、故人に子どもなどの遺族がいない、または遺族がいても遠方でなかなかお墓参りに行けない場合などに、寺院や霊園が代わりにご遺骨の管理・供養をするものです。

近年は少子化の影響などもあり永代供養を選ぶ方が増えていますが、そもそも永代供養はいつから始まったものでしょうか。

江戸時代から永代供養は存在した?

永代供養の起源は明らかになっていませんが、江戸時代にはすでに存在していたといわれております。その理由は、当時の永代供養の存在を記す永代台帳が多くの寺院から見つかったためです。

ただ、当時は檀家制度が主流であったため、檀家でなければ永代供養を利用できなかったとされております。また、当時の永代供養墓がどのような形であったのかも明らかになっていません。

お墓を取り巻く状況の変化

近現代日本におけるお墓は、明治時代に制定された家制度に基づき、先祖代々、家族が同じお墓に入る「家墓」が中心でした。お墓はその家の跡継ぎに引き継がれていき、また寺院の檀家となることで供養とお墓の管理を受けていました。

しかし時代が進むにつれ家を中心とした社会は変化を迎えます。生活スタイルや家族のあり方、そして価値観の多様化です。また少子化も進んでいきます。この社会の変化はお墓を取り巻く状況にも影響を与えることとなり、お墓を引き継ぐ人が減るなどの理由で、家墓の維持が難しくなる家庭が徐々に増えていきました。

こうした時代に対応するかのように登場したのが、寺院や霊園が代わりにご遺骨の管理・供養をする永代供養墓です。

永代供養墓の登場

日本で最初の永代供養墓は、1985年に登場した比叡山延暦寺大霊園にある「久遠墓(くおんぼ)」といわれています。

比叡山延暦寺は天台宗の総本山ですが、宗旨宗派や国籍・承継者の有無を問わず永代に渡って供養と管理を行うのが久遠墓の特徴です。共同で納骨室を利用する共同墓ではなく、広大な敷地に一代限りとなる個人墓や夫婦墓などが2000基近く建てられました。また30年以上たった現在でも十分に通用する画期的な利用システムだったこともあり、久遠墓はテレビや新聞などのメディアに何度も取り上げられ大きな注目を集めることとなります。

永代供養墓はその後も増え続け、2年後の1987年には新潟県にある角田山妙光寺で「安穏廟」が、1990年には東京都巣鴨にある平和霊苑で「もやいの碑」が開設されていきます。

永代供養の広まり

永代供養は2000年以降に本格的に広まっていきます。そのきっかけとなったのは、1999年に部分改正された「墓地、埋葬等に関する法律」です。それまで様々な手続きが必要であった「無縁墓から遺骨を取り出し他のお墓に移すこと」が、この法律の部分改正によって大きく簡略化されました。

その他、時を同じくして急速に拡大したインターネットも、永代供養が広まった一因とされています。インターネットによって永代供養の情報を得やすくなり、また永代供養の募集も行いやすくなったためです。

永代供養の種類

永代供養は時を重ねるにつれてその種類を増やしていきました。大きくは屋内型/屋外型にわかれますが、安置の方法やお墓を設置する場所などで様々な種類が存在します。

霊廟/納骨壇タイプ(屋内)

霊廟が上下2段に分かれているのが特徴です。上段には仏壇、下段には納骨壇を備えています。近年では納骨スペースそのものが塔の形になっており、その内部をエレベーターで移動するといった施設もあります。

屋内ロッカータイプ

コインロッカーのような納骨スペースだけがあり、そこに骨壺を収めるものです。
仏壇などもなく従来のお墓のイメージとかけ離れた感はありますが、省スペースのため費用を安く抑えることができ、比較的立地の良い場所に多くあることが特徴です。

単独/個別安置タイプ(屋外)

ご遺骨を個人別の骨壺に収め、専用の墓石を建てて納骨します。
家族墓や夫婦墓もこれに含まれます。

集合安置タイプ(屋外)

一つの場所にまとめて安置しますが、合祀とは違い骨壺と石牌は個別に用意されています。
そのため、改葬や分骨をすることもできます。

合祀タイプ(屋外)

合同墓ともいわれるもので、多くの故人のご遺骨をまとめて納骨します。納骨に必要な面積が少なくて済むため、他のタイプに比べて費用は格安です。ただし、いったん合祀するとご遺骨を分けて取り出せないため改葬はできません。

単独墓タイプ(屋外)

普通のお墓に永代供養がついたお墓です。他のタイプに比べて多少費用は高くなりますが、お墓のデザイン等も自由に決めることができ、通常通りのお墓参りをすることもできます。もしお墓の後継ぎがいなくなった場合でも、墓じまいや永代供養を寺院や霊園が行ってくれるので、無縁仏にもならず、ご遺族の負担にもなりません。

なお、永代供養付き墓地や永代供養墓の詳細については、以下の記事をご覧ください。

◆費用から考える、あなたにあったお墓とは?

まとめ

生き方や価値観の多様化にあわせるように、様々な供養の形が登場していますが、故人や先祖を思う気持ち、そして遺される家族を思いやる気持ちは昔も今も変わらないものです。

あなたに合った供養の形はきっとあると思います。供養やお墓に関してのお困りごとがありましたら、お近くの石材店など専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

なお永代供養についての記事は他にもございます。ぜひご一読くださいませ。

◆永代の意味から「永代供養」のことを知りましょう

◆独身・単身者など、お墓を引き継ぐ人がいない場合に取れる4つの選択肢

◆独身でもできる永代供養やお墓事情について解説