お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

独身・単身者など、お墓を引き継ぐ人がいない場合に取れる4つの選択肢

墓地・墓石コラム

独身・単身者など、お墓を引き継ぐ人がいない場合に取れる4つの選択肢

お墓はその家の子供が引き継ぐことが一般的でしたが、未婚率の上昇や少子化などにより、お墓を引き継ぐことが難しい、引き継ぐ人がいないなどのケースが増えてきています。

1990年時点での生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人)は、男性が5.6%、女性が4.3%だったのに対し、直近の国勢調査となる2015年では男性23.4%、女性が14.1%にまで増加しました。

また、合計特殊出生率(1人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均)の推移も、戦後間もない1949年では4.32人だったのに対し、2017年は1.43人にまで落ち込んでいます。

独身・単身者が増えている現代、「将来的に先祖代々のお墓を守れなくなる時が来たらどうすればいい?」「自分が亡くなった後のお墓はどうすればいいの?」と悩まれている方に、4つの選択肢をご紹介いたします。

1.お墓を永代供養付墓地に移設する

永代供養(えいたいくよう)とは、寺院や霊園がお墓の承継者に代わり、永代にわたって故人を供養し、お墓を管理することです。寺院や霊園によって異なりますが、契約の最後の方がご納骨されてから満期日(7年、13年、33年、50年等)を迎えた後は、合祀されるのが一般的です。後継ぎがいない方でも、無縁仏になる心配はありません。

永代供養付墓地(えいたいくようつきぼち)とは、通常のお墓に永代供養がついたお墓です。承継者の方がいなくなった際に墓じまいが行われ、ご遺骨はお寺が責任をもって永代供養してくれます。墓じまいと永代供養の費用をあらかじめ含んでいるので、一般の墓地よりも多少割高とはなります。

永代供養付き墓地は一般のお墓と同じように一戸建てのお墓を建てることができ、デザインなども自由に選ぶことができます。実は、あまり大きな声では言えませんが、寺院の境内墓地等の中には、資料などに情報が出ていなくても、檀家さん向けに内々で同じような事をしてくれるお寺もあります。境内墓地を見学する際は、永代供養付き墓地に詳しい石材店などに事前に相談してみるのもいいでしょう。

2.墓じまい→永代供養墓、納骨堂、樹木葬等

墓じまいとは、墓石を撤去し、墓所を更地にして使用権を返還することです。先祖代々のお墓を処分し、永代供養墓・納骨堂・樹木葬等にお骨を移します。墓石の撤去、墓所を更地にする費用は1㎡あたり10〜15万円ほどが相場となります。

永代供養墓

墓地や霊園、ご遺骨の数によって費用は異なりますが、約30~150万円ほどが相場です。
また最初から合祀墓(ごうしぼ)での永代供養をする場合は、墓石を個人で建てるわけではありませんので、永代供養料やお布施・刻字料など一式で約10万円ほどが費用の相場となっています。
なお、ご遺骨をまとめてしまうので、一度合祀をすると取り出せなくなり、他の場所に移すこともできなくなりますので注意が必要です。

納骨堂

墓石を建てずにご遺骨を永代にわたり安置して供養するものです。全天候型の屋内納骨施設が増えており、ロッカーのような形をしたものから仏壇を模したものなど、大都市を中心に様々な形態のものが登場しています。立地などにもよりますが、費用の相場は1人用で約50万円前後、2~4人用で約100万円前後です。

樹木葬

樹木を墓石代わりにする樹木葬には方法が3つあります。シンボルとなる大きな樹木のもとに、他の家族の方と一緒にご遺骨を埋葬する「合祀型」は、約5~20万円。埋葬する場所の地下区画を個別に分けて埋葬する「集合型」は、約15~60万円。1本の樹木を個別に用意して、その下にご遺骨を埋葬する「個別型」は、約20~80万円。さらに、集合型と個別型の場合は、別途年間管理費が約8,000円~2万円ほどかかります。

3.先祖代々の墓に入り、承継者に託す

独身・単身者の方でも、場合によっては他の方に先祖代々のお墓の承継者になっていただいて、ご自身が先祖代々のお墓に入ることも可能です。
先祖代々のお墓を引き継ぐことができるのは「本家の跡取り」だけと思われる方が多いかもしれませんが、兄弟や親族であっても、お墓を承継することは可能です。稀なケースとはなりますが、制度上は血縁関係の無い方でも承継することができます。

お墓は祭祀(さいし)財産となり相続財産とは区別され、相続税の対象にもなりません。

承継者の指定は口頭や遺言、家庭裁判所の選定などで行われます。祭祀財産の承継者として選ばれると基本的に拒否できませんが、どう処分するかは自由となります。
つまり、祭祀承継者の選出を誤ると、代々伝わる祭祀財産を処分されてしまったなどのトラブルが生じる可能性もありますので、十分に話し合う必要があります。

4.おすすめできない選択肢「何もしない」

1~3の選択肢を選ばなかった場合に残るのが「何もしない」です。
自らが亡くなった後のお墓の準備をしない。また、先祖代々のお墓の承継者がいない場合は、どのようになるのでしょうか。

引き取り手のない遺体は、多くの自治体でその遺骨を骨つぼなどで一時保管し、定められた期間内に引き取り手が現れなければ、公費を使って市営霊園の納骨堂などに合葬しています。自治体によっては保管する遺骨が年々増加し、保管スペースに苦慮するケースも多くなっています。

管理・供養する人がいなくなったお墓については、平成11年3月に「墓地、埋葬等に関する法律施行規則の改訂」が行われ、これにより、墓地の使用者が一定期間以上管理料を支払わずに放置した場合、霊園などの管理業者は契約を解除して、墓地の整理をすることができるようになりました。
この場合、管理料を支払わない霊園の使用者に未払いの旨を伝えることを目的として、官報に情報を掲載し、墓地のわかりやすい場所に立て札を1年間設置する必要があります。
それでもなお、未払いが続くと、当該墓地を整理し、お墓は無縁仏として扱われることになります。

[ ご縁を大切にしてほしいからこそ知ってほしい「無縁仏」のこと ]
無縁仏であったとしても供養はされますが、無縁塚等のスペースに限りもあるため、遺骨は収納しやすいよう粉砕したり、一部だけを埋葬し残りを産業廃棄物として処分される場合があります。無縁仏は不憫な扱いを受けることになり、故人のことを思えば、無縁仏とならないようできる限り注意したいものです。

おひとり様こそ、早めの終活を

独身・単身の方のみならず、お墓承継に関して悩まれている方は少なくないと思います。やむを得ず先祖代々続いてきたお墓が途絶えてしまう場合でも永代供養付墓地や永代供養墓など取れる選択肢はまだ残されています。ただ、手続き等時間がかかることになりますので、お近くの石材店等専門家にも相談し、できるだけ早いうちに対策をされるとよいでしょう。