お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
観光地にもなっている墓地・霊園をご紹介
墓地・霊園によっては、散策や名所・旧跡を楽しむ場として人気を博しているところもあります。たとえば、作曲家のショパン、歌手のエディット・ピアフなど、多くの有名人が眠るパリのペール・ラジェーズ墓地は、迷路のような園内の景色も人気で、多くの観光客が訪れます。
このように観光地になっている墓地・霊園は、なにも海外ばかりではありません。本記事では、観光地としても有名な、国内の墓地・霊園をご紹介します。「墓地・霊園を観光」と聞くと少し不謹慎に思われるかもしれませんが、その独特の雰囲気は、物思いにふけったり、人生を振り返ったりするのにはぴったりです。埋葬されている先人達に敬意を払いつつ、静かに立ち寄りましょう。
*お墓参りは密集・密接・密閉の危険が比較的少なく、ウィルス感染拡大の危険が低いものですが、移動中の電車などではお気をつけください。
東京都台東区『谷中霊園』
谷中霊園は、東京都台東区谷中にある都立霊園です。徳川慶喜・渋沢栄一・横山大観など、多くの有名人のお墓が存在する場所として知られており、ファンの方なら一度はお参りしたいスポットになっています。また、都民にとっては緑を楽しむレクリエーションの場でもあります。
もともとは感応寺(現在の天王寺)というお寺の墓地でしたが、1874年に明治政府によって敷地の一部が没収され、東京府の管轄する公共墓地となりました。当時、明治政府のもとで神仏分離政策が進められていましたが、当時の墓地はお寺が中心。神道を信仰する人々が利用できる墓地を増やすために、このような措置がとられたようです。
谷中霊園の特徴は、なんと2015年のミシュラングリーンガイドで二つ星に選ばれている点です。その理由は、2つあります。ひとつは、「歴史的な趣が残っている点」です。約3メートルの大仏「銅造釈迦如来坐像」は、江戸時代から存在している建造物です。現在は台東区の指定文化財にもなっています。また、天王寺の山門から南に向かう「中央園路」は前身である感応寺の参道であり、江戸時代は茶屋が立ち並んでいたと考えられています。
もうひとつの選定理由は、「桜の名所である点」です。先述した中央園路は、通称『さくら通り』と呼ばれており、毎年のお花見シーズンには、桜がトンネルのように咲き誇る名所です。他にも約100メートルにも及ぶ桜並木や「欝金桜(うこんざくら)」という淡い黄緑の花が咲く珍しい桜があります。
谷中霊園
神奈川県横浜市『山手外国人墓地』
異国情緒が漂う観光地として有名な横浜。その中でも「山手外国人墓地」は、墓地でありながらデートスポットにもなっている異色の存在です。十字架が立ち並ぶ様子は、まるで海外のようです。
増徳院というお寺の墓地だった場所に、「黒船」で有名なペリー艦隊の二等水兵が埋葬されたことが始まりと言われています。その後、横浜居留地の開設に伴い、『横浜外国人墓地』になりました。現在は、40数カ国の外国人、約5,000人が眠っているとされています。近代化に貢献した外国人の墓所として、歴史的な観点からも貴重な場所です。併設の『横浜外国人墓地資料館』には、外国人墓地の歴史や埋葬者の業績を紹介する資料が展示されています。
実は横浜には、4つの外国人墓地があります。最も有名なのが、この「山手外国人墓地」です。2つめは保土ケ谷の「英連邦戦死者墓地」で、3つめは中区大芝台にある「中華義荘」です。こちらには、中国から移住してきた人々とその子孫が埋葬されています。4つめは、実は横浜の人にもあまり知られていないという「根岸外国人墓地」です。どちらの墓地も日本のものとは異なる、独特の雰囲気を漂わせています。
山手外国人墓地
北海道札幌市『真駒内滝野霊園』
最後に、紹介するのは一風変わった霊園です。北海道最大規模の霊園である「真駒内滝野霊園」は、お墓のイメージを覆す大変珍しい霊園です。なんと入口に、モアイ像が並んでいます。さらに敷地内にはストーンヘンジを模したオブジェや一面のラベンダー畑、おしゃれでモダンなカフェなど、まるでテーマパークかのような施設・設備が設けられています。そのため、霊園でありながらも観光客に人気のスポットです。
変わり種の霊園ですが、法要施設・納骨堂・合葬墓も備えられています。さらに高さ13.5mの大仏像や読経用の礼拝堂もあります。永代供養も可能、ペットと一緒のお墓に入ることも可能と、大変充実したサービスが整っています。「お墓のイメージが変わった」「明るい気持ちになった」と好評を博しているようです。
ガーデニング霊園や公園墓地は全国各地に存在しますが、その中でもひと際特色を持つのが、こちらの「真駒内滝野霊園」です。
真駒内滝野霊園
最後に…墓地・霊園を巡る際の注意点
それぞれ特色の異なる3つの墓地・霊園をご紹介しました。ご興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。ただし、お墓参りに訪れている方への配慮を忘れないようにお気をつけください。未だ別れの悲しみが癒えていない方もいらっしゃいます。こうした方々の心情を察し、はしゃいだり、騒いだりすることは控えましょう。墓地・霊園には墓地・霊園の楽しみ方があります。心を落ち着けて、静かに楽しみましょう。
墓地・霊園有を巡り、有名人のお墓参りを楽しむ方もいらっしゃいます。
『古くて新しい?お墓を巡礼する墓マイラーとは』
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