お役立ちコラム お墓の色々
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6月の季節の行事・イベント・風物詩といえば?お墓参りのタイミングも紹介

夏の始まりを感じる6月は、梅雨を迎えて気分が沈みがちになることもありますが、この時期ならではの風景や風習に目を向けてみると、自然の恵みや季節の移ろいを感じることができる趣深い月です。「衣替え」「夏越の祓え(なごしのはらえ)」など伝統的な風習や行事に加え、「ジューンブライド」いった華やかなキーワードが思い浮かぶ方もいらっしゃるのかもしれません。そんな6月には、他にどのような行事や風物詩があるのでしょうか?
今回は、6月の季節の行事やイベント、風習や風物詩を順に紹介し、お墓参りに良いとされるタイミングについても解説していきます。
6月はこんな月
揺れる空模様に季節を感じる6月
多くの地域が梅雨入りを迎え、空模様の変化に心も揺れがちな6月。うっとうしくも感じるこの時期の雨は、田畑を潤し草木を育てる大切な恵みになっています。
また、夏至に向けて日が長くなっていく中で、気温も上がり、本格的な夏の気配が感じられるようになります。平均気温が上がってきた近年では、この時期から本格的な熱中症対策を始める人も少なくないようです。
水無月(みなづき)と呼ばれる由来
6月には「水無月(みなづき)」という和風月名(日本古来の月の呼び名)があります。梅雨のこの時期に「水が無い月」と書くのは、不思議に思えるかもしれませんが、一説には、旧暦の6月は田んぼに水を引き入れる月であることから、「水の月」の古い言い方である「水な月」や「水月」が転じたのではないかと言われています。その他、水の力が鳴り響き、稲をはじめ生命力がみなぎることを意味する「水鳴月」が転じたとする説もあるようです。
一方で、旧暦の6月は今の7月頃にあたり、暑さも厳しく水が不足しがちで 、田んぼの水も干上がることから、その文字の通り「水が無い月」と考えられていたという説もあります。
祝日がひとつもない月
6月は1年の中で唯一、国民の祝日や、夏季休暇・年末年始休暇などの習慣的な休日がまったくない月です。息抜きがないように感じて、がっかりする方もいらっしゃるかもしれません。しかし、平日・休日(オン・オフ)のペースが変わらない日常が続くからこそ、日頃の生活リズムや、健康的に働けているかどうかを見つめ直す、良い機会にもなりそうです。
6月の行事・イベント
衣替え
6月1日は、冬服から夏服への衣替えをする日です。衣替えは、平安時代に中国から伝わったとされる伝統的な習慣で、元は、衣服や調度を替えるだけでなく季節の変わり目に穢れを祓う儀式でもあったようです。洋服が広まった明治時代以降、6月と10月の年2回の衣替えが定着し、今でも多くの学校や職場で取り入れられています。
現在では、昔とは気候が変わり季節の変わり目が曖昧になりつつあることから、気候に合わせた服装についても柔軟に考えられるようになっていますが、衣替えの習慣は、日本人が大切にしてきた季節の節目や季節感を意識する機会にもなっています。
弘法大師 降誕会(こうぼうだいし ごうたんえ)
6月15日は、真言宗の開祖である、弘法大師・空海の誕生日とされており、全国のゆかりの寺院では「弘法大師 降誕会」と呼ばれる法要が盛大に執り行われます。和歌山県の高野山金剛峯寺(こんごうぶじ)や京都の智積院(ちしゃくいん)などでは、「青葉まつり」として特別な催しが開かれることもあり、空海の教えと功績に感謝を込め、多くの参拝者が訪れます。
弘法大師降誕会については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
◆弘法大師・空海は何をした人?空海の誕生を祝う「弘法大師降誕会」とは?
父の日
6月の第3日曜日は「父の日」です。アメリカで、「母の日」に続いて始まった習慣が、日本にも伝わりました。日本では、普段使いの財布やネクタイ、ワイシャツなどを贈るのが定番ですが、花を贈る場合は「黄色いバラ」を贈ると良いと言われています。
バラの花は、「父の日」の提唱者であるドット夫人が父親のお墓に白いバラを供えたことが由来とされ、アメリカでは父親が故人なら白いバラ、存命なら赤いバラを贈る習慣があるようです。ではなぜ、日本では黄色なのかといえば、日本の「日本ファーザーズ・デイ委員会」が、イギリスやアメリカで「身を守る色」として大切にされている黄色にちなんで、「父の日黄色いリボンキャンペーン」を開催したことがきっかけになったと考えられています。
夏越の祓(なごしのはらえ)
6月30日には、多くの神社で「夏越の祓」が行われます。これは、一年のちょうど折り返しであるこの時期に半年間のけがれを祓い、残る半年の無病息災を祈る神事です。 茅(ちがや)と呼ばれる植物で作られた大きな輪をくぐり心身を清める「茅の輪くぐり」や、紙でつくった人形(ひとがた)などに、心身の穢れや厄災を移して川や海に流す「形代流し(かたしろながし)」といった儀式が有名です。
ジューンブライド
「6月の花嫁」を意味する「ジューンブライド」は、6月に結婚すると幸せになれるという、ヨーロッパに古くから伝わる言い伝えです。これは、ローマ神話に登場する、結婚や出産を司る女神ユノ(Juno)が、6月の守神であるということや、ヨーロッパでは農業が忙しい3〜5月の結婚式が禁止されており、6月になると結婚を待ち侘びた多くのカップルたちが式を挙げたこと、ヨーロッパの6月は過ごしやすい気候となり花がたくさん咲くことから、結婚式にぴったりの時期とされていたことなどが由来と考えられています。
日本では、梅雨時期の挙式を増やすために、あるホテルが、この言い伝えを取り入れたことをきっかけに知られるようになったとも言われ、今では6月の結婚式も人気があります。
6月の風習・風物詩といえば
梅雨(つゆ)
梅雨とは、梅の実が熟す春から夏にかけて、雨や曇りの日が多くなる期間のことを指し、気象庁では、豪雨に備える防災の意味でも、天候の経過に基づき梅雨入りと梅雨明けを発表しています。 地域によって時期は異なりますが、5月中旬から7月中旬にかけてとなるのが例年の傾向です。また、北海道では、明確に梅雨と呼べる期間がないと言われていますが、同じ時期に天候が崩れることがあり「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」と呼ばれているようです。
湿気や災害に備えた対策が必要になる時期ではありますが、この時期の雨は、稲や野菜の成長に欠かせないものであり、「恵みの雨」としての大きな役割も果たしています。
梅仕事・梅の記念日
「梅雨」の漢字にもあるように、この時期は梅の収穫時期であり、梅干しや梅酒の仕込みといった「梅仕事」を行う時期でもあります。
梅といえば、室町時代、日照りが続き田植えもできずに困っていた際に、後奈良天皇が京都の賀茂神社で梅を奉納すると、途端に恵みの雨が降り五穀豊穣をもたらしたとの言い伝えがあります。この日にちなんで6月6日は「梅の日」に制定されており、京都の賀茂神社や熊野本宮大社、須賀神社などでは梅を奉納する神事が行われています。神前で梅を漬ける儀式もあるようです。また、6月11日は「梅酒の日」とされており、これは雑節の「入梅(にゅうばい)」の時期に合わせて制定されました。
夏至(げし)
夏至は、二十四節気の一つです。「日長きこと至る(きわまる)」と言われるように、1年の中で最も昼の時間が長い日にあたり、早朝の明るさや夕方の日の長さに、夏の訪れを感じます。太陽の動きを元に決められる夏至の日は、毎年6月21日頃となり、2025年は6月21日(土曜日)です。
全国的な行事や風習はないようですが、三重県伊勢市の二見興玉(ふたみおきたま)神社で日の出に合わせて行われる「夏至祭」、関西の一部地域で豊作を祈願してタコを食べる風習など、地域ごとの行事や風習が見られます。
紫陽花(アジサイ)
梅雨の時期に色鮮やかに咲くアジサイ。全国各地にあるアジサイが有名な寺院は「アジサイ寺」と呼ばれ、多くの人が訪れます。
アジサイには「無常」という花言葉があるだけでなく、昔は、疫病が流行しやすいこの時期に、故人を弔うための花としてお寺にも多く植えられた歴史があるようです。
アジサイとお寺の関係やアジサイで有名なお寺については、こちらの記事をご覧ください。
◆お寺に紫陽花、アジサイが多いのはなぜ?おすすめのアジサイ寺も紹介
6月のお墓参りにおすすめのタイミング
弘法大師 降誕会(こうぼうだいし ごうたんえ)の参拝に合わせて
この行事は、弘法大師・空海の教えや功績に感謝するものですが、真言宗を信仰する方々にとっては、その教えに沿って故人・ご先祖様の冥福に想いを馳せる機会にもなります。
寺院への参拝に合わせてお墓参りをし、日頃の感謝を込めて手を合わせることで、仏様とのつながりをより一層感じられるのではないでしょうか。
真言宗の教えや葬儀・墓石に刻む文字の特徴などについては、こちらの記事で解説しています。
父の日参りとして
近年では、「母の日参り」「父の日参り」と呼んで、母の日や父の日に亡きご両親のお墓参りをされる方が増えているようです。父の日に贈ると良いとされる黄色いバラは、棘があり、お墓のお供えにふさわしくないという考えもありますので、マリーゴールドやグラジオラス、カーネーションなど、黄色い花を選んでお供えするのも良いでしょう。
この時期のお墓参りにおすすめの花は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
結婚式に合わせて
ジューンブライドの6月。結婚式を挙げる予定のある方は、ご先祖様への結婚報告としてお墓参りをするのもおすすめです。現在ではとても珍しいことですが、かつてお墓が家の敷地や近くにあった時代には、嫁ぐ日の朝に花嫁姿でお墓参りをすることもあったそうです。
家族の幸せを願うご先祖様も、きっと新しい門出を喜んでくださることでしょう。
1年の折り返しに
6月には、お彼岸やお盆といったお墓参りの行事はありませんが、行事がなければお参りしてはいけないというわけではありません。1年の折り返しを迎えるこの時期に、心を整える意味でもお墓参りをしてみてはいかがでしょうか。 また、夏に向けて雑草が勢いを増す季節ですので、故人の命日に合わせたお墓参りに合わせて、お盆前の墓掃除をするのもおすすめです。
お墓の雑草対策については、こちらも合わせてお読みください。
まとめ
6月の季節の行事やイベント、風習や風物詩について紹介してきました。6月は、節句やお盆のある月と比べると大きな行事はないものの、季節を感じる風習だけでなく、父の日や結婚式といった大切な人を想うイベントもあります。 そのような機会にご先祖様への感謝や報告のお墓参りをすることは、自分自身や大切な人とのつながりを改めて感じるきっかけにもなるはずです。
雨が多く外出しにくい月ではありますが、すっきりとした晴れ間がのぞく日にはお墓を訪れ、静かに手を合わせてみてはいかがでしょうか。
お墓参りの作法や、命日の過ごし方についての記事もありますので、合わせてご覧ください。