お役立ちコラム お墓の色々

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命日とは?意味や過ごし方、お供えのマナーを解説

葬祭基礎知識

命日とは?意味や過ごし方、お供えのマナーを解説

故人が亡くなった日にあたる「命日」。お墓参りやお供物でいつもより手厚く供養を行い、故人に思いを寄せて過ごすことが昔からの習慣となっており、一周忌や三回忌などの節目には法要を執り行うこともあります。
しかし、「手厚く供養するといっても、実際はどのようにすれば良いかよく分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。
命日の過ごし方は、年ごとや月ごとで違いがあります。それぞれに詳しく知っておくことで、より心を込めて故人を供養することができるでしょう。地域や宗派などによって異なる部分もありますが、今回は、一般的な命日の過ごし方やマナーについて解説します。

命日とは(祥月命日と月命日)

「命日」とは「故人が亡くなった日」のことを指し、「忌日(きじつ/きにち)」とも呼ばれます。
その命日の中でも、故人が亡くなった日と同月同日のことを「祥月命日(しょうつきめいにち)」、毎月の同日のことを「月命日(つきめいにち)」と呼びます。
例えば故人が2023年5月1日に亡くなったとすると、翌年以降の5月1日が祥月命日、6月1日、7月1日、8月1日…といった毎月の1日が月命日にあたります。

ちなみに、うるう年の2月29日に亡くなった場合、死亡届や死亡診断書には2/29と記載され、お墓や位牌にも同様に記載されることが一般的ですが、うるう年以外のお参りは2/28に行うことが多いようです。

祥月命日、月命日はどちらも、故人を思い手厚く供養を行うということでは同じですが、それぞれの過ごし方が少し違いますので、具体的に解説していきます。

祥月命日の過ごし方

年に1回の祥月命日は、故人の供養において大切な節目と考えられています。そのため、家族揃ってのお墓参りや、区切りとなる年の法要などを行うことが理想的とされています。

年忌法要を行う

仏教では、祥月命日の中でも、故人が亡くなってから1年目の一周忌、2年目の三回忌、6年目の七回忌といった区切りの年が特に重要視されており、該当する年の祥月命日には「追善法要」「年忌法要」と呼ばれる法要を行います。法要では、お寺や斎場などに親近者を招いて、僧侶による読経や会食で故人を偲びます。

僧侶とのスケジュール調整や招待する方への案内なども必要です。スムーズに営むことができるように、遅くとも2ヶ月前には準備を始めておきたいですね。

四十九日以降の、法要が行われる主な時期は以下の通りです。
・一周忌:故人が亡くなった翌年
・三回忌:命日から2年後
・七回忌:命日から6年後
・十三回忌:命日から12年後
・十七回忌:命日から16年後
・三十三回忌:命日から32年後
・五十回忌:命日から49年後
(地域や宗派にもよりますが、三十三回忌や五十回忌を最後とする場合が多いようです。)

四十九日までの過ごし方についてはこちら
四十九日までの過ごし方〜すべきこと、してはいけないこと〜

親族の都合を合わせようと思うと、当日に行うことが難しい場合もあります。一般的に年忌に合わせた法要は、祥月命日を過ぎなければ日程をずらしても問題ないとされており、多くの場合は祥月命日よりも前の休日などに営まれます。

法要の行い方は、地域や宗派によっても違いがあるので、親族や菩提寺などに尋ねて確認しておくと安心です。

お墓参りへ行く

祥月命日には、遺族や親族など親しくしていた人たちで揃ってお墓参りをすることが理想的と考えられています。
とはいえ、お仕事の都合やお墓が遠いなどの事情で、当日のお墓参りが難しい場合もあると思います。もし当日が難しい場合には、年忌法要と同様、祥月命日を過ぎない範囲であれば日程をずらしても問題ないとされていますので、無理のない休日などに行うと良いでしょう。

お参りの当日は、お墓周りを掃除し、花などをお供えします。自分の近況を伝え、故人の冥福を祈りましょう。

お墓参りのマナーや作法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
【保存版】お墓参りのマナーや常識 5つのポイント
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう

お墓が遠い、高齢で出かけるのが大変、お仕事が忙しいなど、事情がありお墓参りに行くのが難しいけれども手入れや供養を行いたいという方にも、参考になる記事をご紹介しておきます。
お墓参りに行けないときはどうすればいいの?
お墓参り代行業とは?

卒塔婆供養を行う

浄土真宗以外の宗派では、卒塔婆(そとば/そとうば)を立てて故人の供養をすることもあります。立てるタイミングに厳密な決まりはありませんが、供養の節目となる祥月命日や法要に合わせて立てることも多いようです。

以前から立ててあるものがたまっていたり古くなったりしている場合には、このタイミングで新しいものに立てかえるのも良いでしょう。
卒塔婆供養を行う場合には、用意に時間がかかるので、早めに準備を始めましょう。

卒塔婆供養についてはこちらの記事に詳しく解説しています。
お墓の後ろにある卒塔婆、卒塔婆供養の意味
卒塔婆には立てるタイミングがあります
卒塔婆(そとうば)はいつまで立てておく?〜立てる期間や処分方法を解説〜

仏壇にお供えとお参りをする

故人の位牌がある仏壇にも丁寧にお参りすると良いでしょう。
どうしてもお墓参りに行くのが難しい場合にも、この方法でお参りすることで故人の供養になります。
基本の作法は普段と同じで良いですが、祥月命日は大切な日ですので、仏壇をきれいに掃除し、故人が生前に好んでいた菓子やお花などをお供えすると良いでしょう。

月命日の過ごし方

月命日の場合は、大きな法要を行う家庭は少なく、身内だけで故人を偲んで過ごすことが一般的です。

上で紹介しているように、故人の位牌がある仏壇を普段より丁寧に掃除し、食べ物や花をお供えして線香をあげると良いでしょう。

地域によっては、お墓参りや、自宅に僧侶を招いてお経をあげてもらう「月参り」「月忌法要(がっきほうよう)」が習慣として行われているところもあります。詳しく分からない場合には、親族や地域の詳しい方、お寺などに尋ねてみると安心です。

命日のお供えのマナー

命日のお供物については、厳密なルールはありません。しかし、宗教や習慣によって適さないものもありますので、供養をする際のマナーとしてお供えのポイントを押さえておくと良いでしょう。

一般的には白や黄、青、紫の花が良いとされています。種類に決まりはありませんが、日持ちのする花を基本に、故人の好みなどに合わせて選ぶと良いでしょう。

マナーとして、毒のある花は避けた方が良いでしょう。バラなどトゲのある花をお供えしたい場合は、トゲを処理すれば問題ありません。

お供えの花についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
お盆のお墓参りで避けた方がいい花5選

食べ物

命日のお供物は、故人の好物を中心にお菓子や果物などを供えることが一般的です。
こちらも厳密なルールはありませんが、以下のものは避ける方が良いでしょう。
・肉や魚(仏教では本来殺生を禁じているため)
・なまものや日持ちしないもの(傷みやすく、家族がお下がりをいただくこともあるため)

故人が好きだったお酒をお供えすることは問題ありませんが、家族が飲み切れる量とすると良いでしょう。

自宅でのお供えは、家族の考え方で選ぶと良いですが、他家へお供えする場合には、日持ちするものや後で分けやすいものを選ぶ、重くて持ち運びづらいものは避けるなど、相手への配慮を忘れないようにしましょう。

食べ物のお供えについては、こちらにも詳しく解説しています。
お墓参りのお供え物〜食べ物をお供えするときの基本マナー〜

準備を整え、故人への気落ちを大切に過ごしましょう

命日の過ごし方はさまざまで、故人との関係性、地域や家族の習慣、宗教や宗派によっても違いはあります。手厚く供養するために考えられ受け継がれてきた習慣ですので、分からない場合は親族や菩提寺に相談をしながら、準備を整えられると良いのではないでしょうか。
一番大切なことは、故人を思い冥福を祈ることです。その気持ちが届くよう、落ち着いて命日を迎えられると良いですね。