お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
お墓の引っ越し「改葬」に必要な手続きリスト
お墓の引っ越しのことを「改葬」といいます。改葬には、墓石ごと移動する場合と遺骨だけを移動させる場合とがありますが、いずれも許可証や証明書の取得や提出が必要となり、容易にできるものではありません。
今回は改葬の「手続き」に特化し、チェックリストを通して解説していきます。語句が似ているものもあり、一見間違えそうになるものもありますが、実際に改葬をされる際は、ぜひこのチェックリストをご活用ください。
なお、ご遺骨1体ずつの手続きが必要となります。仮にご遺骨が3体あれば、1つの手続きごとに各1枚ずつ、計3枚の書類が必要となりますので、ご注意ください。
【お墓の改葬手続きチェックリスト】
書類関係 (※数字は取得する順序を表しています)
□ ① 墓地使用許可証
発行元:お墓の移動先となる霊園、墓地管理者
提出先:工事をする石材店
「墓地使用許可証」は、「受入証明書」「墓所使用承諾証」「永代使用許可書」などと名称が異なることがありますが、移動先のお墓がお骨を受け入れられることを証明する書類であれば大丈夫です。墓地使用許可証の発行には実印や故人の除籍抄本が必要なケースもあります。
□ ②-1 埋葬・埋蔵許可証
発行元:各地方自治体(死亡届と引き換えに発行)
提出先:お墓の移動先となる霊園、墓地管理者
日本では埋葬許可証なしにお墓にお骨を納めることは禁止されています。実際に埋葬許可証とは、焼骨に必要な「火葬許可証」に火葬場の火葬されたことを証明する印が押された書類を指します。つまり埋葬許可書と火葬許可書は用紙としては同じ書類です。
なお土葬の場合には埋葬証明書、火葬の場合には埋蔵証明書になります。
なお、埋葬許可証を万が一紛失してしまった場合は、②-2「埋葬・埋蔵許可証の再発行」にお進みください。
□ ②-2 埋葬・埋蔵許可証の再発行
発行元:死亡届を提出した各地方自治体
提出先:お墓の移動先となる霊園、墓地管理者
埋葬許可証を万が一紛失してしまった場合でも、亡くなってから5年未満であれば、死亡届を提出した市町村役場で再発行できます。再発行には、手数料がかかる場合があります。
5年以上経過した場合でも再発行はできますが、「火葬証明書」が必要となります。
詳しくは、②-3「火葬証明書」にお進みください。
□ ②-3 火葬証明書
発行元:火葬を行った火葬場、または地方自治体
提出先:埋葬許可証を受けたい自治体(死亡届を提出した自治体)
火葬証明書とは、遺体の火葬を行ったことを証明する証書のことです。火葬証明書は、火葬を行った火葬場に申請します。公営の火葬場では30年間火葬簿の保管がされるため、30年未満であれば、火葬証明書を再発行できます。民間の火葬場でも保管されている可能性がありますので、対象の火葬場にお問い合わせください。
□ ③ 埋葬・埋蔵証明書
発行元:現在使用している霊園、墓地管理者。個人墓地の場合は、個人で証明書を作成。
提出先:現在のお墓がある自治体。
埋蔵証明書とは、現在使用している墓地等にお骨が埋蔵・収蔵されていることを証明する書類です。「改葬許可証」の交付申請の際に必要になります。
自治体のホームページ等から書式をダウンロードできるケースもありますので、一度確認してみましょう。
□ ④ 改葬許可証
交付元:現在のお墓がある自治体。
提示先:現在使用している霊園、墓地管理者(※お骨を取り出す時)
提出先:お墓の移動先となる霊園、墓地管理者(※お骨を納める時)
◆お骨を取り出す時
改葬許可書を現在使用している墓地の管理者等に提示し、お骨を取り出します。
なお、新しい墓地でも改葬許可証は必要となりますので、提出はせず提示のみとなります。
◆お骨を納める時
改葬許可書を、お墓の移動先となる霊園や墓地管理者に提出し、納骨を行います。
改葬許可証は各自治体に申請すると交付されます。改葬許可証の交付には、改葬許可申請書、埋葬証明書の他に墓地使用許可証の提出や印鑑、手数料(無料~1,000円、自治体により異なる)などが必要です。
なお、改葬許可申請書は必要事項の記入が必要ですが、書式を自治体のホームページ等からダウンロードできるケースもあります。
儀式関係
□ 閉眼法要
閉眼供養とは、お墓からお骨を取り出す際に、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式です。「手続き」とは若干異なりますが、お経をあげてもらう僧侶の手配を事前にしておきましょう。
閉眼供養はお寺や宗派によって方法や準備すべきものが異なる場合がありますので注意が必要です。閉眼供養は家族のみで執り行われるのが一般的です。
□ 開眼法要
開眼法要は新しいお墓に魂を入れる儀式です。こちらも閉眼法要同様に、お経をあげてもらう僧侶の手配を事前にしておきましょう。開眼法要には供養だけではなくお祝いの目的もあるため、儀式が終了した後は参列者や僧侶と会食するのが一般的な流れとなっています。
開眼法要を行うために、お墓の清掃やお供え物、祭壇の準備も必要です。地域によって準備するものが異なりますので、事前に確認しておきましょう。
なお、開眼供養の対象である魂の概念が無い浄土真宗では、開眼供養は行わず代わりに建碑祝いを行います。
□ 建碑祝い
浄土真宗におけるお墓を建てた際の儀式です。新しく建てたお墓をお披露目する法要のことを建碑(けんぴ)式といいます。お墓は家と同様だと言う考えがあり、新しいお墓も新しく家を建てたときと同じくお祝いをする風習があります。建碑祝いはおめでたいものという捉え方をするので、喪服ではなく略礼服で参列するのが一般的です。建碑祝いは地域によって様々ですが参列者がご祝儀を持参するケースもあり、盛大に行うこともあります。
改葬に関する手続きは、地域によって若干異なる場合がありますが、このリストと照らし合わせながら進めていくとわかりやすいのではないかと思います。
そして、改葬をお考えの方は、まずはお近くの石材店でご相談されることをおすすめいたします。地元の石材店は改葬の手続きや詳細をよく知っている存在です。きっとあなたの力になってくれることでしょう。
なお、改葬に関する記事は他にもございますので、ぜひ一度ご覧ください。
◆お墓の移動、引っ越し(改葬)について知っておくべきポイント
◆お墓の移動・引っ越しってどうやる?できる?詳しく解説します
◆墓じまいの費用相場や手続きについて紹介します
◆複数のお墓をひとつにまとめることはできるの?