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「うるう年(閏年)にお墓を建ててはいけない」は迷信!本来の意味は?

墓地・墓石コラム

「うるう年(閏年)にお墓を建ててはいけない」は迷信!本来の意味は?

昔は、「うるう年にお墓を建てるのは良くない」と言われることもあったと聞きます。親戚や近所の方から聞いたことがあるという方も、いらっしゃるかもしれません。

2024年の今年は、うるう年にあたり、このような話を聞くと「縁起が悪いのかも」と心配になる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそのようなことはありません。では、この言い伝えはどのようにして生まれたのでしょうか?伝えられるようになった経緯や、本来の意味について解説していきます。

日本の暦(こよみ)と、うるう年について

うるう年の「うるう(閏)」とは、暦と季節を調整するために日数や月数が多いことを意味する言葉です。通常の年を「平年」、調整のために日数や月数が多い年を「うるう年(閏年)」と言います。
「うるう年にお墓を建ててはいけない」と言い伝えられるようになったきっかけには、日本の暦と、うるう年の決め方が関係していますので、詳しく見ていきましょう。

現代の暦(こよみ)

現在私たちが使っている暦は、太陽の動きを元にして作られた「太陽暦」(グレゴリオ暦)で、明治6年から使われています。1年は365日とされていますが、地球が太陽のまわりを回る実際の期間は約365.24日なので、調整のために4年に1回、2月を29日とする「うるう年」が設けられています。

旧暦のうるう年

一方で、それまで使われていた旧暦では、月の満ち欠けと太陽の動き(季節)を合わせて作られた「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」が使われていました。

太陰太陽暦(旧暦)は、新月から次の新月までを1か月とし、12か月で1年と考えます。この場合1か月が約29.53日となり端数があるため、29日と30日の月が交互に設定されていました。ただ、これでは1年が354日と太陽暦の1年より約11日短いため、そのままではだんだんと季節とずれていってしまいます。

そこで、およそ3年に1回、1年を普段の年より1か月多い13か月とすることで、季節のずれを調整し、この13か月目がある年を「うるう年」と呼んでいました。

「お墓を建ててはいけない」の本来の意味は

うるう年にお墓を建てないのは節約のためだった

「うるう年にお墓を建ててはいけない」との言い伝えが生まれたのは、江戸時代だと言われています。

前述のように、当時は旧暦である太陰太陽暦が使われており、約3年に1回訪れるうるう年は1年が13か月ありました。江戸時代の武士などの給金はほとんど年額で支払われていましたが、そうすると、13か月間あるうるう年でも、12か月間の平年と同じ給金で生活しなければなりません。そこで藩主は家臣に、うるう年の余計な出費は極力抑え、墓を建てる、家を建てる、仏壇を作るといったお金のかかることも控えるよう勧めました。中には、仏壇の購入を禁止するといった御触れを出した藩もあったようです。

このように「うるう年はお墓を建ててはいけない」と言う話は、いつもより1か月長いうるう年の生活が苦しくならないよう講じられた、節約のための策でした。やがて年月と共に、「節約のため」という本来の意味が忘れられ、一部の地域では、「うるう年にはお墓を建てたり仏壇を買ったりしてはいけない」「縁起が悪い」「お墓を買うと悪いことが起こる」などの言い伝えとして現代まで残っているのです。

うるう年にお墓の建立を避けたその他の理由

旧暦のうるう年は、平年の12か月の後に、もう一度1か月を繰り返す(重ねる)ことになります。そのため、悪いことも重なるといけないことから、この時期のお墓の建立をさけるようになったという説もあります。

また、1年の日数が単純に1か月分長くなることで、台風や天変地異といった災難の発生件数も平年より多くなったことから、「縁起が悪い」「悪いことが起こる」と考えられるようになったとも言われています。

うるう年にお墓を建てても問題ない

お読みいただいたように、うるう年にお墓の建立を避けるというのは、旧暦の時代においてうるう年を経済的に乗り切るための知恵でした。
また現在は、当時とは違い、4年に一度、2月を1日増やすことで暦の調整を行なっているため、「月を重ねる・繰り返す」ことで縁起が悪いということもなく、うるう年だからといって特別に節約が必要ということもありません。
そのため、お墓を建てても問題はなく、近年は、うるう年にお墓を建てるのを避けるという方も減っています。

ただ、家族や親戚の中には、こういった言い伝えを気にする方がいらっしゃる場合もあります。
その際は、うるう年にお墓を建てても大丈夫な理由とともに、「一周忌や三回忌までにはお墓に入れてあげたい」「故人にゆっくり眠ってもらうためにも早めにお墓を作りたい」といった気持ちを丁寧に伝えることで、理解が得られ、安心してもらえることもあるかもしれません。

うるう年がお墓の建立に良いとされる地域も

うるう年にお墓を建てるのは良くないとの言い伝えがある一方で、うるう年がお墓を建てるのに良い時期だと考えられている地域もあります。

沖縄では、旧暦のうるう月にあたる期間やうるう月を含む1年のことを「ユンヂチ」と言い、うるう月にあたる13か月目を「神様の目が届かないため、しきたりや風習にとらわれることなく行動してもよい期間」と捉えていたことから、お墓の新築やリフォーム、改葬や墓じまい、更に仏壇や仏具を新調するにもよい時期とされています。

「ユンヂチ」については、こちらで詳しくご紹介しています。
沖縄でお墓を建てるのによいとされる「ユンヂチ」とは?

太陰暦と関係が深い韓国でも、太陰暦(旧暦)のうるう月にあたる月を、平年にはない「タダでもらった月」とし、「天と地の神様が人間に対する監視を休む期間」「神の罰を免れる期間」と捉えていたことから、普段は縁起が悪いと言われるお墓の移動や、親の死装束の準備などをすると良い時期とされているようです。

まとめ

お墓は、故人や先祖の供養や追悼だけでなく、亡くなった家族やご先祖様と繋がりを持つ場所、先祖を偲び子孫繁栄を祈る場所としても、大切にされてきました。また、お墓を建てることは、残された家族が前を向いて進むための一つの区切りにもなります。

うるう年にお墓の建立を控えるという言い伝えの出自は、出費の増える時期に人々の生活を守るためのものでした。縁起が悪いというわけではないため、うるう年にお墓を建てても問題ありません。お墓を建てる時期に決まりはありませんし、供養してあげたいという気持ちがあれば、いつ建てても気持ちは通じるものです。
ただ、最近では一周忌までに建てる方が多く、納骨に適した時期とも言われていることから、これが一般的な目安となっているようです。

お墓を建てる時期については、こちらの記事もご覧ください。
お墓を建てる時期に決まりはあるの?期限や避ける時期は?
生前墓(寿陵)についてメリットや注意点を解説
お墓を建てる意味から「縁起のよいお墓」を考える

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