お役立ちコラム お墓の色々

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直葬(火葬式)とは?意味や流れを説明します

葬祭基礎知識

直葬(火葬式)とは?意味や流れを説明します

現在はお墓だけでなくお葬式も多様化しています。「直葬」という言葉をご存じでしょうか。あまり聞きなれない言葉ですが、通夜から火葬までをシンプルにした葬儀の方法で、都市部を中心に増えています。直葬とは一体どんなものなのか、メリット・デメリット、課題点、実際の流れを説明します。

直葬とは?

「直葬」とは、通夜や告別式は行わず、火葬だけを行う葬儀です。ご遺族や親戚などの身内の方だけで行われる場合が多いです。通夜や告別式にあたる故人とのお別れの時間は、火葬炉の前で簡単に行われます。別名「火葬式」と呼ばれることもあります。日本の法律上、人間が亡くなった場合には火葬か埋葬をしなければいけませんので、直葬は最もシンプルな葬儀の形といえます。
近年、急激に増えた葬儀形態の一つで「お葬式」の形式にこだわらない人が増えた事が大きな理由と考えられます。このような葬儀自体は実は以前から行われていましたが、葬儀会社がひっそりと行っているものでした。しかし、「直葬」という名前が付いてから、徐々にインターネット上で見かけるようになり、今は認知度が高まっています。
直葬は、主に都市部を中心に行われています。これには人との繋がりが薄くなりやすいという原因が考えられます。逆に、地方ではご近所や親戚とのつながりが強いこともあり、直葬の割合は低くなります。地方では地域のつながりが強く、伝統的な葬儀の形を大事にされている方が多いと考えられます。

直葬のメリット

直葬のメリットには、時間・手間・費用を抑えられることが挙げられます。
通夜や告別式を行わないため、葬儀の費用を抑えることができます。これらの儀式には祭壇や式場、霊柩車やマイクロバスなどが必要です。直葬はこれらの用意が一切不要なので、安価に抑えることができます。また、お通夜のあとには通夜振る舞い、葬儀のあとは精進落としなど、食事の場が設けられることも多いですが、直葬では食事の場も設けないのが一般的です。少人数で行うので、参列者への代表挨拶や受付係の手配などの手間もありません。
時間的にも、火葬場で故人とお別れの挨拶をして骨壺に納めるまでを、およそ半日で終えることができます。一般的な葬儀は1日か2日かかることを考えると、直葬は時間も短く済みます。

直葬のデメリット

①気持ちを整理する場が少なくなる

通夜や告別式は故人の供養のために取り行われるものですが、残された家族にとって悲しみを慰め合う機会でもあります。ご親戚、友人が集まって生前の姿を語り合い、故人との別れを惜しむ通夜や告別式は、ご家族にとってもかけがえのない時間になるはずです。くれぐれも慎重に決断しましょう。

②親族の理解が必要になる

直葬と言われてもよくわからない親族の方もいると思われます。一般的な葬儀とは異なる点をしっかり説明して、理解してもらう必要があります。当日になってトラブルになるようでは故人に申し訳が立ちません。

③参列を希望されていた方へも配慮が必要

参列者が多いことが予想されるにもかかわらず直葬を行うと、後々トラブルになる可能性があります。遠縁の方やご友人には葬儀に参列できなかったことを悔やまれる方がいるかもしれません。葬儀の形は故人と家族の意思が尊重されるものですが、大切な方を失くして悲しいのはご家族だけではありません。ご友人・知人にも配慮が必要です。

④菩提寺へ納骨できない可能性がある

菩提寺がある方は、葬儀やその墓地への納骨をお願いする場合が多いと思われます。直葬によって宗教的儀式を省いてしまうと、お寺から快く思われず、関係性を損ねてしまう可能性がありますのでご注意ください。最悪の場合、菩提寺への納骨を断られたり、後々の法事に影響が出る可能性もあります。事前にしっかりと相談しておくようにしましょう。

直葬の実際の流れ

1、ご臨終後、葬儀会社に連絡
2、24時間経過するまでは遺体を安置。直葬の打ち合わせ
3、納棺後、安置場所から火葬場へ出棺
4、火葬場でお別れの挨拶や読経
5、火葬、骨上げ

一般的な葬儀では亡くなった翌日に通夜、さらに翌日に葬儀と火葬を行うというスケジュールが多いです。直葬では通夜や葬儀を行いませんが、すぐに火葬ができるわけではありません。火葬をするには、死後24時間以上経過していなければならず、これは法律で決まっています。そのため、直葬ではご臨終から火葬までの間、ご自宅または葬儀社・火葬場の霊安室などの遺体を安置する場所が必要になりますのでご注意ください。

直葬を検討する際に重要なこと

経済的で手間も少ない直葬ですが、安易な気持ちで選択するのは後悔のもとです。
合理性ばかりを追求すると、葬儀やお墓、故人への供養は必要ないという考え方をする人もいるかもしれません。しかしこれらの習慣には、故人の冥福を祈って感謝するだけでなく、私たちの気持ちを整理する役目もあります。縁のある方々が集い、一緒に別れの悲しみを癒す場でもあるのです。通夜や告別式の場で思い切り泣くことで、別れの悲しみから早く立ち直れる人もいると思います。ご自身の感情も大切に、家族が望む後悔のない「供養」を選びましょう。