お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

お葬式をしないとどうなるの?

葬祭基礎知識

お葬式をしないとどうなるの?

「私のお葬式はやらなくてもいい」。そう口にする方が、最近増えてきたように思います。つい冗談のように聞き流してしまいますが、では仮に本当にお葬式をしないとすると、どんなことになるでしょうか?問題はあるのでしょうか?
本項では、まず法律から解説し、次に起こりうる問題点を紹介。最後に、お葬式をしない場合の法要やお墓についてお答えします。「お葬式をしないとどうなるの?」を考えることで、「なぜお葬式をするのか?」も見えてくるでしょう。

お葬式をしないという選択肢はあるの?

日本のお葬式は、故人とのお別れの儀式として、伝統的に受け継がれてきたものです。
法律で義務づけられているわけではありませんので、お葬式をしないという選択も可能です。
ただし、「遺体の取り扱い」は法律上の決まりがあります。「墓地、埋葬等に関する法律」には、遺体に関する以下のような取り決めが定められています。
・火葬(地域によっては土葬)を定められた施設で行うこと
・必要な手続きや実施までの待機時間など
・埋蔵・埋葬場所の条件
つまり、お葬式を行うか否かは個人の判断に委ねられていますが、遺体は必ず火葬(または土葬)しなければいけないのです。

「お葬式」をしないお葬式・直葬とは?

お葬式をしないということは、ご遺体を死後24時間安置させた後、通夜や告別式をせず、そのまま火葬場に向かうということです。この方法を「直葬」または「火葬式」といい、近年増加しています。その理由は、お葬式の形式にこだわらない人が増えたことが大きな要因と考えられます。昔は葬儀会社がひっそりと行っているものでしたが、徐々にインターネット上で見かけるようになり、今は認知度が高まっています。

直葬について詳しくはこちらをご覧ください
直葬(火葬式)とは?意味や流れを説明します

お葬式をしない場合の懸念点

では、もしお葬式をしない場合、何か問題は起きるのでしょうか?

①悲しみを癒す場が少なくなる

通夜・告別式は、故人と縁のある人たちが思い出を語り合ったり、寂しさを慰めあったりする場です。つまりお葬式は、別れの悲しみを乗り越えるひとつの節目でもあるのです。こうした時間を設けられないことで、辛い気持ちを消化できず、悲しみを引きずってしまうかもしれません。

②周囲に理解してもらえない可能性も

「お葬式をしないなんて考えられない」と思う方もいらっしゃいます。特に、高齢の方・地方にお住まいの方の中には抵抗を感じる方が多いでしょう。こうした方々が親族にいらっしゃったり、故人と仲の良い方の中にいらっしゃったりする場合、ご理解いただけずにトラブルになるかもしれません。じっくり話し合ってご理解いただきたいところですが、一般的には没後からお葬式までに時間の猶予はありません。後々まで引きずる揉め事にならないように注意が必要です。

③弔問客への対応が多くなる

直葬は、基本的に親族のみで行いますので、その場でお別れのできなかった友人・知人の方が後日弔問を希望されるケースが多くなります。ありがたいことではありますが、人数が多いようだと、負担に感じる方もいるでしょう。お葬式には、「親戚も友人も、一堂に会してお別れができる」という良いところがあるのです。

④菩提寺に埋葬することが難しくなる場合も

お寺によっては、火葬式を認めてもらうのが難しい場合もあります。信頼関係を損なうと、墓地での埋葬を断られたりするケースもあるようです。

お葬式をしない場合、法要はどうなるの?

「お葬式はしなかったものの、四十九日法要はしっかり行う」という方もいらっしゃるようです。お葬式をしなかったからといって、法要までできないわけではありません。「故人に申し訳ないような気がする…」と感じるようでしたら。法要だけでも営んで差し上げると、気持ちに区切りがつくかもしれません。
ただし、お葬式を省略したせいで菩提寺との関係が悪くなっていたりすると、そのお寺では法要ができないこともあるかもしれません。その場合は、別のお寺と会場を探して行うことになります。

お葬式をしない場合、お墓はどうなるの?

お葬式をしないからといって、お墓が建てられないわけではありません。ただし、先述したように菩提寺との関係によって、そのお寺の墓地では断られてしまうかも知れません。その場合は、別の墓地・霊園を探しましょう。
お墓を建てることで、「故人の眠る場所」と「自分自身のルーツを辿る場所」を、子供や孫の代に渡って残すことができます。お墓参りをきっかけに家族の仲が深まったり、親戚一同が集まる機会にもなるでしょう。人生の節目にお参りすることで、自分自身の振り返りの場にもなるはずです。

故人の意思だけでなく、自分の気持ちも大切に

死者を追悼する儀式は、地域によって形は異なるものの、世界的に見ても共通の概念として存在します。つまり、死者を悼むのは、「人間の本能」とも言える感覚なのです。
「葬式はしないでいい」というご本人の言葉も、遠慮しているのか、それとも本気で思っているのか、亡くなった後では確認ができません。お葬式もお墓も法要も、故人のためのものではあるのですが、残された私たちにとっても気持ちを整理するうえで大切なものです。生前のうちにお互いの想いをよく話し合っておくことをおすすめします。普段は言えないような気持ちを伝えあう、良い機会になることでしょう。

「人はなぜ供養をするのか?」その理由はこちらで解説しています
そもそもご供養の意味とは?