お役立ちコラム お墓の色々

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住職?和尚?お坊さんの呼び方はどうするのが正解?

葬祭基礎知識

住職?和尚?お坊さんの呼び方はどうするのが正解?

故人のためにお経をあげてくれるお坊さんは、葬儀や法要、ひいては故人の供養にとって欠かせない存在です。喪主を務める時も参列する時も、良い関係を築きたいものですが、実際に目の前にすると、どのように呼べばいいか困ってしまう人も多いと思われます。「お坊さん」と呼ぶのもなれなれしい感じがしますよね。お坊さんの呼び方にはいくつかの種類があり、正しい呼び方は宗派や役職によって違います。いざというときに失礼のないように、お坊さんの正しい呼び方を知っておきましょう。本記事ではお坊さんの呼び方の種類と意味、注意点や、実際に使いやすい呼び方をご紹介します。

「お坊さん」「和尚」「住職」それぞれの違い

一般的な「お坊さん」「住職」「和尚」の3つの言葉の正しい意味をご紹介します。

「お坊さん」の意味

「お坊さん」という言葉は、僧職の方全般を指すものです。元々は「房主」と書き、僧侶が集まる僧房(僧侶が生活する空間や建物)のリーダーである主僧を意味する言葉でしたが、次第に僧侶全体を意味するようになりました。
また、奈良・平安時代の都の区画が語源という説もあります。「坊」という言葉は当時の一区画の単位を指します。「大きな都の中の小さな一区画」であった「坊」が、次第に「大きな寺院に所属している小さな寺院」も指すようになり、「一坊の主人」という意味から「坊主」という言葉になったとも考えられています。

「住職」の意味

「住職」という言葉は、役職を示す言葉です。お寺に住み込みで勤めるお坊さんを意味し、そのお寺の代表者に使うものです。会社で例えるなら「部長」「常務」などの役職者であることを意味します。また、住職の補佐をする方や住職見習いのお坊さんは「副住職」と呼ばれます。
お坊さんが一人だけのお寺なら、その方は住職とお呼びすることができます。注意が必要なのは複数のお坊さんが働いているお寺です。「住職」に当たるのは代表者だけなので、別のお坊さんを住職と呼んでしまうのは厳密には正しくありません。
ちなみに「住持」という呼び方も同じ意味を持ちます。他に、女性の住職には「庵主(あんじゅ)」、住職の息子さんは「若院(じゃくいん)」という呼び方があります。浄土真宗では「院主(いんじゅ)」という呼び方をすることもあります。

「和尚」の意味

「和尚」は、修行を積んで一人前と認められたお坊さんを指す言葉で、地位の高い方を呼ぶ場合に使われることが多いです。古代インドの言葉で「先生」や「師匠」を意味する「ウパージャーヤー」が語源と考えられています。
和尚は、同じ字でも宗派によって読み方が違うのでご注意ください。浄土宗や臨済宗、曹洞宗では「おしょう」、天台宗は「かしょう」、真言宗では「わじょう」と呼ばれています。日蓮宗の場合は、近い言葉で「上人(しょうにん)」というものがあります。
浄土真宗では、使わない言葉です。語源のとおり、「和尚」という言葉には「戒律を授ける者」という意味が含まれています。浄土真宗には戒律の考え方がないので、和尚は存在しないことになります。寺院の人間という意味で「院家(いんげ)」や「御院(ごいん)」という呼び方をします。

お坊さんの呼び方 注意点

「お坊さん」「和尚」「住職」を実際に使う場合には、注意が必要な点もあります。

実は使いにくい「お坊さん」

「お坊さん」という呼び方は、第三者の会話で使う分には問題ありません。しかし、直接本人に呼びかけるシーンを想定してみると、少しなれなれしい印象があります。「お坊さん」という呼び方は、丁寧ではありますが、敬意を感じにくい言い回しです。一方で、僧職の方全体を指す言葉でもあるので、「君」「あなた」で呼ぶような距離感も感じます。全く知らない通りすがりの方に使うならともかく、これから葬儀や法要でお世話になる方に使うのには、やはり違和感があります。
最も一般的な呼び方ですが、本人に呼びかける際に使うのには向いていないでしょう。

間違えると気まずい「住職」

先述したとおり、「住職」は役職名であり、お寺の代表者の方を指します。「住職」はどのお坊さんにでも使える呼び方ではありませんので注意が必要です。葬儀や法要に出向いてくださったお坊さんが、「住職」でないことも多いものです。確認してから使うようにしましょう。

宗派によって異なる「和尚」

「和尚」は、宗派によって呼び方が異なる点に注意しましょう。間違えた呼び方をすると失礼にあたります。宗教・宗派が故人と違う方や無宗教の方は特に気をつけましょう。「和尚」という言葉を使うならば、故人の宗派の呼び方を事前に調べておく必要があります。
日本で一番門徒の多いのは浄土真宗です。したがって、浄土真宗の葬儀や法要に参列する可能性は高いと言えますが、先述したとおり「和尚」という言葉は使えません。

失礼のないお坊さんの呼び方

お坊さんにお声掛けするときに、使いやすい言葉をご紹介します。

「○○寺様」

お寺の名前に「様」をつけた呼び方は、役職や宗派に関係なく使うことができます。組織の名前に「様」をつけたやりとりはビジネスシーンでもたびたび見かける光景なので、葬儀の場でも使いやすいでしょう。

「僧侶様」

僧侶はお坊さんと同義なので、こちらも役職や宗派に関係なく使うことができます。「お坊さん」よりも、かしこまった印象があります。

「名字+様」

本名がわかるのならば、本名でお呼びしても失礼にはなりません。

上記の呼び方でしっくりこない場合、素直に聞くことも大切です。菩提寺から呼んだお坊さんでも知らない方がいらっしゃることもあります。その場合はご親戚に聞いてみましょう。葬儀社などが手配したお坊さんであれば、手配者に聞けばわかります。
ご自身が参列者の場合は、お寺の名前やお坊さんの名前がわからないかもしれません。その場合は「僧侶様」でお呼びするのが無難でしょう。

お坊さんの呼び方にも誠意を込めましょう

平常心でいられないことも多いお葬式や法要の場ですが、お坊さんへは誠意をもって対応しましょう。失礼のないことが第一ですが、役職や宗派に合った呼び方ができればより好印象です。