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お地蔵様とは〜いまさら聞けない意味や由来を解説

葬祭基礎知識

お地蔵様とは〜いまさら聞けない意味や由来を解説

その柔和な表情で、子供から年配の方まで広く親しまれている「お地蔵様(お地蔵さん)」。剃髪し袈裟を身に着けた僧侶の姿のお地蔵様を、たとえば地方の道路脇などで一度くらいは目にしたことがあるかと思います。ただ、お地蔵様は、仏教における菩薩の1つであるのですが、その意味や由来を知る人は、実はそう多くないのではないでしょうか。

身近にありながら、意外と知らないことの多い「お地蔵様」について、今回は解説いたします。

お地蔵様とは?

お地蔵様を正しくは「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」といいます。地蔵菩薩は古代インドで生まれ、サンスクリット語では「クシティ・ガルバ」という名前です。「クシティ」には「大地」、ガルバには「胎内・子宮」という意味がそれぞれあります。その名が示す通り、命を育む力を持つ大地のように、大きな慈悲の心で苦悩する人々を包み込み、救ってくれる存在と信じられてきました。

仏教では、お釈迦様が入滅(亡くなること)した後、衆生(しゅじょう=生命のあるすべてのもの)を救済するためにこの世に下るとされる弥勒菩薩(みろくぼさつ)が現れるまで、56億7000万年の時がかかるとされています。そして、現世において人々を救う仏が不在となる間、私たち人間は六道(ろくどう/りくどう)を巡りながら苦しむことになります。

六道とは、人が死後に生まれ変わる6つの世界のことで、餓鬼道・畜生道・地獄道・人道・修羅道・天道があります。それぞれの世界にはそれぞれの苦しみがあり、地蔵菩薩はその苦しみを受ける人々を、仏に変わって救うために六道をめぐっていると伝えられています。

お地蔵様のご利益

仏教の地蔵菩薩に関する代表的な経典である「地蔵菩薩本願経」には、お地蔵様にお線香と花をたむけ、供養をすると28種の功徳と7つの利益を得られるとされています。

28種の功徳は以下の通りです

・天龍護念(天龍が守ってくれる)
・善果日増(善果が日ごと増す)
・集聖上因(勝れた因が集まってくる)
・菩提不退(悟りの境地から後退しない)
・衣食豊足(衣・食に満ち足りる)
・疾疫不臨(病気にかからない)
・離水火災(水の難、火の難に遭わない)
・無盗賊厄(盗賊の被害に遭わない)
・人見欽敬(人から敬われる)
・神鬼助持(神霊が助けてくれる)
・女転男身 (女性から男性になれる)
→いったん男性になることで、成仏することができるようになるとした思想に基づく
・為王臣女(王や大臣の令嬢になれる)
・端正相好(端正な容貌に恵まれる)
・多生天上(何度も天界へ生まれ変われる)
・或為帝王(あるいは人間界に生まれ変わって帝王になる)
・宿智命通(前世に得た智慧によって将来を知る事ができる)
・有求皆従(求める者は皆、従う)
・眷属歓楽(眷属(けんぞく=一族の者や配下の者)が歓び楽しむ)
・諸横消滅(諸々の理不尽なことが消滅していく)
・業道永除(カルマが永久に除かれる)
・去処盡通(赴く場所にうまくいく)
・夜夢安楽(夜の夢見が安らかになる)
・先亡離苦(先祖が苦しみから解放される)
・宿福受生(幸福になる運命の人生を授かる)
・諸聖讃歎(諸聖人が讃えてくれる)
・聰明利根(聡明で利発になる)
・饒慈愍心(哀れみ、慈しむ心にあふれる)
・畢竟成仏(絶対的な悟りを得ることができる)

また、7つの利益があるともされます。

・速超聖地(さらにすぐれた境地へ速やかに進める)
・悪業消滅(悪いカルマが消滅する)
・諸佛護臨(諸々の仏が護ってくれる)
・菩提不退(悟りの境地から後退しない)
・増長本力(本来持っていた能力が増幅される)
・宿命皆通(カルマの全てに通ずる)
・畢竟成佛(必ず仏になる)

お地蔵様の歴史

地蔵経典が日本に伝来した時期ですが、奈良時代には存在していたとされています。ただ、信仰としては殆ど広がりがありませんでした。その後、平安末期から広がりを見せた浄土教の発達に伴い、地獄を恐れる風潮がより強まり、お地蔵様は地獄における衆生の苦しみを救う存在として、また賽の河原において子供を守る守護役として、その存在感を示し始めることとなります。

その過程で、お地蔵様はもともとの菩薩の形から僧侶の姿へと変わっていきました。

地蔵信仰は、日本の民衆に多くの親しみを与え、室町時代には、六道輪廻の各所に現れる六地蔵信仰から爆発的に広がりを見せ、日本古来よりの道祖神と習合(しゅうごう=融合すること)して発達していきます。

また、江戸時代になると、鎌倉時代に始まった身代わり地蔵信仰が発展して泥付地蔵(田植え)・矢取地蔵・縄目地蔵・延命地蔵・子育地蔵・腹帯地蔵・とげぬき地蔵・水子地蔵などが作り出されていきます。


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道祖神としてのお地蔵様

地蔵信仰は道祖神やその土地の神さまと習合していきました。このような仏と神の合体を神仏習合(しんぶつしゅうごう)と呼びます。

道路わきにたたずむお地蔵様は、その土地を悪いものから守る道祖神、すなわち土地神さまとして信仰を集めていて、これも神仏習合の例の1つです。

道祖神として祀られているお地蔵様には、疫病が村に入り込まないよう魔よけをしたり、旅人の安全を願うなど、さまざまな役割があります。また墓地にお地蔵様が建てられることも多く、故人の安らかな眠りを守るだけでなく、墓地に魔物が入り込まないように見張る存在ともされています。

水子供養のためのお地蔵様

墓石のそばに建てられているお地蔵様は、水子地蔵の場合があります。水子とは、流産や中絶によってこの世に生まれることのできなかった胎児や、幼くして亡くなった子供を意味します。生まれて間もなく海に流された日本神話の神・水蛭子(ヒルコ)がその名前の由来となっており、我が子の成仏やあの世での幸せを願う親心が込められているのです。

地蔵菩薩は子供と縁の深い存在です。有名な「賽(さい)の河原」の話では、幼くして亡くなった子供は三途の川を渡れず、親のために石を積み上げるように命令されますが、いくら積み上げても鬼によって崩されてしまいます。子供たちに課せられたこの終りのない苦行も、地蔵菩薩が救うと考えられています。水子供養にお地蔵様をまつるのはこうした背景があるのです。

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まとめ

お地蔵様の意味や由来を知っていただけましたでしょうか。普段よく目にするが故に、意外とその意味や由来を知らない…というものは、少なくないと思います。この記事をきっかけに、お地蔵様への理解を深めていただき、より親しみをもっていただけると幸いです。

お役立ちコラムではこの他「意外と知らない、あんなことこんなこと」といった記事をご用意しています。語句の意味やその背景への知見を深めていただけると、新しい発見があるかもしれません。ぜひ一度ご覧ください。


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