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- 供養をきわめる -

仲間の死を悼む動物たち~犬編

供養・埋葬・風習コラム

仲間の死を悼む動物たち~犬編

人間にとっての「死」は、単に亡くなった故人の生死の問題だけでなく、周囲に対して大きな悲しみと、取り残された感覚を与えてしまいます。そのため故人の安息を祈り、生きている人の悲しみを慰め、前に進む力を見い出すために「葬儀」や「供養」を行います。
では人間以外の動物たちは「死」をどう受け止めているのでしょうか?

私たちが生活する中で動物との触れ合いは切っても切れないものです。その動物たちは実際どうなのでしょうか?
今回は「仲間の死を悼む動物たち」ということで、生活に1番身近な動物である犬を紹介します。

動物たちにとっての「死」

動物には感情があるのでしょうか?人間とは異なる動物たちの感情を知るのは困難で、有識者の間でもその意見が分かれています。
ある学者は「言葉を扱うことが人間と動物の境目であり、社会性の高さこそが人間の特徴だ」と主張しています。しかしコミュニティを持つ動物は少なからず存在します。人間に最も近い霊長類などがその代表格ですが、他にもいろんな動物がコミュニティを持ち、共に暮らしています。そしてその中でも「仲間の死を悼む」という行為をする動物がいるといいます。
イルカやキリン、猫など、野生あるいは飼育下にある様々な動物が「仲間の死を悼んでいる」としか思えない行動を示す例が数多く報告されています。動物の「感情」を客観的に調べるのは非常に困難ですが、動物たちにも「他者の死を深く悲しむという人間で見られるような特性を垣間見ることができる」と考えられます。

犬の知性

世間でも知られている通り、犬は人間の幼児(2〜3歳)程度の知能があると言われています。人の言葉を200以上覚え、理解しているそうです。
また飼い主の表情やジェスチャーなども理解し、飼い主が「嬉しい表情をした」、逆に「怒られた」などを記憶し行動しているとも言われています。
このような行動を取るのは、霊長類を除けば犬だけだそうです。
ちなみにカナダの心理学者が、犬の知能について犬種別のランキングを作成しています。もちろん個体差はありますが、それによれば1位はボーダーコリー、2位はプードル、3位はジャーマンシェパードとのことです。

犬は仲間を弔う

結論から言うと、犬が仲間を弔うと言う報告や研究結果は現在のところありません。
ただ、犬は「自分の仲間が近くからいなくなった」という事実に対して行動の変化を見せることがあるそうです。
共に過ごしてきた期間が長い身近な仲間が居なくなった時に、仲間を探して室内を歩き回る、甘えん坊になる、繊細になる、吠えるようになる、食欲がなくなり体調を崩す…など、人がペットロスに陥った際にみせるのとおなじような現象が見られることがあります。
では飼い主が亡くなった場合はどうなのでしょう。

犬にとっての人の死

先述の通り、犬に死の概念があるかどうかは解明されていません。有名な「忠犬ハチ公」の逸話がありますが、飼い主の死を悲しんで待ち続けたわけではありません。仲間の死と同様に、飼い主が自分の前から姿を消してしまったことに対して悲しみを感じているのでは、というのが最も有力です。
一方で、スコットランドのボビーと言う名前の犬が、14年間飼い主の墓の上に座り守り続けたという話が伝えられています。忠犬ハチ公と同じように銅像も建てられ、1961年には映画にもなりました。

残された犬に対してできること

行動の変化を見せた犬に対して私たちがしてあげられることは何でしょうか?飼い主自身のさみしさも相まってついつい過保護にかまってしまいがちですが、私たち人間と同じように犬も自分自身のペースで喪失のストレスから回復していきます。
基本的には犬自身に任せて、周囲もできる限り平常通りに過ごしてあげるようにしましょう。ただ、食欲不振が長引く場合は別の問題もあるかもしれないので、折を見て病院で診察してもらうのがいいでしょう。

まとめ

すべての犬が死の意味を理解し、近しい飼い主の死を悼むとまでは言えませんが、一部の犬が死の意味を理解し、行動に移すこともあるのではないかと考えられます。
人間と動物、言葉も通じないし見た目も違いますが、仲間の死を悼むと言う気持ちは共通しているのかも知れません。
「ペットロス」と言う言葉が一般に浸透して久しいですが、犬にも同じことが言えるのかも知れません。
飼い主にとってもペットにとっても「死」は悲しいものです。
失った命を弔う供養とよばれる行為が子々孫々に渡り受け継がれ形作られてきたもの、それが墓石です。供養の心を「お墓」として形に残すことで飼い主がペットを想う、またペットが飼い主を想う心の拠り所にもなりえるかも知れません。私たち日本人はお墓を偲ぶ場所であるとともに亡くなった家族やご先祖様と繋がりを持つ場所としても、大切にしてきました。ご先祖さまに感謝し自分のルーツを大切にすることは、その先に生まれた自分自身も大切にするということです。そして、感謝し大切にすることは、ありがたさや豊かさを感じるということでもあり、幸せにも繋がっていきます。ご先祖様とつながり、自分の存在を大切にできるようになるお墓文化。その文化と供養の心を次の世代まで受け継いでいきたいものですね。

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