お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

仲間の死を悼む動物たち~ゴリラ編

供養・埋葬・風習コラム

仲間の死を悼む動物たち~ゴリラ編

人間にとっての「死」は、単に亡くなった故人の生死の問題だけでなく、周囲に対して大きな悲しみと、取り残された感覚を与えてしまいます。そのため故人の安息を祈り、生きている人の悲しみを慰め、前に進む力を見い出すために「葬儀」や「供養」を行います。
では人間以外の動物たちは「死」をどう受け止めているのでしょうか?

私たちが生活する中で動物との触れ合いは切っても切れないものです。その動物たちは実際どうなのでしょうか?
「仲間の死を悼む動物たち」ということで、今回は人に近い動物とされるゴリラを紹介します。

動物たちにとっての「死」

動物には感情があるのでしょうか?人間とは異なる動物たちの感情を知るのは困難で、有識者の間でもその意見が分かれています。
ある学者は「言葉を扱うことが人間と動物の境目であり、社会性の高さこそが人間の特徴だ」と主張しています。しかしコミュニティを持つ動物は少なからず存在します。人間に最も近い霊長類などがその代表格ですが、他にもいろんな動物がコミュニティを持ち、共に暮らしています。そしてその中でも「仲間の死を悼む」という行為をする動物がいるといいます。
イルカやキリン、猫など、野生あるいは飼育下にある様々な動物が「仲間の死を悼んでいる」としか思えない行動を示す例が数多く報告されています。動物の「感情」を客観的に調べるのは非常に困難ですが、動物たちにも「他者の死を深く悲しむという人間で見られるような特性を垣間見ることができる」と考えられます。

ゴリラは死を理解する

主にアフリカ大陸の中央部に生息しているゴリラ。そのゴリラは「死に対して強い関心を抱いている」と霊長類学者であるダイアン・フォッシーは言っています。
一例として、コンゴ民主共和国にあるヴィルンガ国立公園の監視員ムブラヌムウェは、ルズジという1頭のメスのゴリラの記録を始めました。彼女は初産の我が子を生後2週間も経たずに亡くし、深く悲しむかのように遺骸の傍で1週間以上も過ごしていた、とされる写真や文章が、世界180か国以上で読まれる雑誌「ナショナルジオグラフィック」の誌面などでも紹介されました。
また親を失った子供のゴリラは、冷たくなった母ゴリラの遺体に寝そべったり、体の上に座ったりしながらじっと顔を見つめたり、母親の頭を軽く動かしたりした後、母親の遺体の毛づくろいをしたり、とっくに乳離れしているというのに乳まで吸おうとまでしたそうです。
そして仲間ではない別種のゴリラに対しても、同様の行動を取ることが確認されています。中には遺体が目を覚まさないことに憤りの行動を見せるゴリラもいたそうです。

手話ができるゴリラのココ

ナショナルジオグラフィックの表紙を2度も飾り、人と交流するだけでなく手話で会話もしていた、一部で有名なココというゴリラがいます。
心理学者のペニー・パターソンさんによって幼い頃に手話を教えられたココは、死という概念を理解していました。
「このぬいぐるみは生きている? 死んでいる?」という質問に対しては「死んでいる」 と答え、「ゴリラは死ぬ時にどう感じる?死ぬとどこに行くの?」という質問に対しては「眠る」「苦痛 の無い穴にさようなら」と答えました。ココは12歳の時にペットとして猫を与えられ、飼っていました。ココは、まるで人が猫を飼うかのように可愛いがったそうです。ココは猫に「オール・ボール」という名前を与えました。残念なことに1985年、オール・ボールは車に轢かれて死んでしまいました。
そのことを聞かされたココは10分ほどうつむいたのち、声を上げて泣き出しました。
しばらくして落ち着いたあと、手話でこう言ったとされています。
「猫」「泣く」「さようなら」「ココ、愛」と。
また2014年、親交のあったロビン・ウィリアムズの訃報を聞いたココはまた塞ぎこみ手話でこう伝えたとされています。「泣いている。悲しい」と。
ココは手話で実際 に話をし、ペットを愛し、親しい者が死ねば悲しみました。
当時、一部有識者からは「ココは自分が出している手話の内容を理解しているのではなく、手の動きを真似しているだけ」 もしくは「感情はなく、ご褒美をもらいたくてやっているだけ」といった懐疑的な意見も出ました。
しかし近年霊長類の知能とコミュニケーションスキルの高さが明らかになるにつれ、こうした意見は少数派になっていきました。
ちなみにココは、2018年に46歳で亡くなりました。

まとめ

このように、ゴリラは死の意味を理解し、仲間を弔うと考えられます。
また個体差はありますが、人間に対しても哀悼の感情を持つことが確認されています。
人間に近い霊長類という理由もあってか、仲間の死を悼むと言う気持ちは共通しているのかも知れません。

ただ「 墓標に名を刻み記憶に残す」という行為は人間だけが行う特別な儀式です。 供養とよばれる行為が子々孫々に渡り受け継がれ形作られてきたもの、それが墓石です。
私たち日本人はお墓を偲ぶ場所であるとともに亡くなった家族やご先祖様と繋がりを持つ場所としても、大切にしてきました。ご先祖さまに感謝し自分のルーツを大切にすることは、その先に生まれた自分自身も大切にするということです。そして、感謝し大切にすることは、ありがたさや豊かさを感じるということでもあり、幸せにも繋がっていきます。
ご先祖様とつながり、自分の存在を大切にできるようになるお墓文化。その文化と供養の心を次の世代まで受け継いでいきたいものですね。

また「仲間の死を悼む動物たち〜ゾウ編」という記事もありますので合わせてお読みください。

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