お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花【秋の花編】
お墓参りのお供えとして欠かせない花。お墓にお供えする花には、場を清め参拝する人の心を穏やかにする、供養の気持ちを表す、仏様を美しくお飾りするなどの意味が込められています。
仏花の定番と言えば菊や百合などですが、季節の花や故人が好きだった花をお供えするのも良いとされています。中には、「供養の気持ちを表現するのに良い花が他にもないの?」と探している方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、「花言葉からみる、お墓参りにおすすめの花」ということで、追悼や悲しみを表す花言葉を持つ花を中心に、気持ちに寄り添う、秋のお墓参りにおすすめの花をご紹介していきます。
追悼や悲しみの花言葉をもつ秋の花
リンドウ
深いブルーで、釣り鐘状の花をつけるリンドウは、「枕草子」に登場するなど日本で古くから親しまれている秋の花です。開花時期は8月〜11月頃で、和を感じさせる落ち着いた雰囲気や花持ちの良さから、8月のお盆や秋のお彼岸でのお供えにも人気があります。
リンドウには、「勝利」「正義感」「誠実」などの花言葉がある一方で、「あなたの悲しみに寄り添う」「寂しい愛情」という花言葉もあり、これはリンドウが群生せず、1本ずつ単独で咲くことに由来すると言われています。海外では「悲しんでいるあなたを愛する」という花言葉もあるようです。大切な人を亡くした孤独感や悲しみに、静かに寄り添ってくれる花としてお供えするのも良いでしょう。
センニチコウ
センニチコウ(千日紅)は、茎の先に、紫やピンク、白、黄、赤など、色鮮やかで小さいボールのような花をつける可愛らしい植物です。切花にしても1週間〜10日ほどもつという花持ちの良さから、お供えの花のアクセントとしても重宝されています。
センニチコウは、その名の通り花が長く咲き、ドライフラワーにしても色が長く残ることから、花言葉には「不死」「不朽」「色あせぬ恋」「変わらぬ愛」「永遠の恋」があります。特に、「変わらぬ愛」は、「お別れすることになっても変わらず愛している」と捉えることもでき、故人を大切に思う気持ちを伝えることができるでしょう。
シオン
うす紫色の、細長い花びらを放射城に開くシオンは、9〜10月ごろに咲く、秋の訪れを告げるキク科の花です。『源氏物語』にも登場する花で、日本の伝統色の一つである「紫苑色(しおんいろ)」の由来にもなっています。
花言葉には、「追想」「あなたを忘れない」「遠くにある人を思う」があります。これらは、平安時代の説話集『今昔物語集』に納められた、亡くした父への想いを忘れないために、お墓のそばにシオンを植え、欠かさずお墓参りをしたというエピソードに由来すると言われています。大切な人と過ごした時間に思いを馳せながらお墓にお供えするには、ぴったりの花と言えそうです。
その他、秋のお墓参りにおすすめの花
追悼や悲しみといった花言葉はありませんが、お墓へのお供え、仏花として、秋によく選ばれる花についても紹介します。
真夏の暑さが和らぎ涼しさが増してくる秋は、見ごろを迎える花もたくさんあります。暑さが落ち着くと言いっても、まだまだ残暑が厳しい日もありますので、日持ちのする花を選ぶのがおすすめです。夏におすすめの花としてもご紹介した、ケイトウや、秋の七草であるキキョウ、オミナエシも、引き続き秋のお墓を彩ってくれるでしょう。
コスモス
秋に桜のようなピンク色の花を咲かせることから「秋桜」とも書き、秋の代表的な花の一つであるコスモス。秋風になびく明るい色の花は、秋らしくお墓を彩ってくれるでしょう。茎が細く可憐な印象ですが、意外と丈夫で花持ちが良く、お供えとしてもおすすめです。
ダリア
ダリアは、花びらが何層にも重なって咲く姿が印象的な花です。開花時期は6月中旬~11月頃とされていますが、真夏は咲きにくく、9月中旬~10月頃に色が鮮やかになり花数も多くなるようです。
品種が大変多く、色や咲き方も様々。花言葉には「華麗」「優美」「気品」「威厳」「優雅」「栄華」などがありますので、故人の人柄や好きだった色などに合わせて選ぶのも良いでしょう。
ワレモコウ
長い茎の先に、小さな花が楕円の玉のように集まり、実のような花を咲かせるワレモコウも、コスモスなどと並んで秋を代表する花の一つです。和の雰囲気と上品な佇まいが魅力で、アレンジメントや生花、ドライフラワーとしても人気があります。
古典文学にも多く登場し、日本で古くから親しまれてきたワレモコウは、暑さ寒さに強いため、お供えとしても重宝するでしょう。
フジバカマ
フジバカマは「秋の七草」の一つです。茎の先端に赤や紫の小さな花をたくさん付け、蕾が開くと、1つ1つの花から線状の白くフワフワした雄しべが出た可愛らしい姿も楽しめます。色づいた小さな蕾が集まっている様子も美しく、蕾から開花後まで長く楽しめるため、お墓や仏壇へのお供えとしておすすめです。
「あの日を思い出す」という花言葉もあるため、大切な人と過ごした時間を思い出し故人を偲ぶ意味でお供えするのも良いでしょう。
ススキ
フジバカマとともに秋の七草の一つであるススキも、秋を感じさせるお供えとしておすすめです。日本語では「尾花」と書きますが、茎の先に穂のように出た部分が花です。
9月末頃の中秋の名月に、月見団子と一緒にススキを飾る風習があるのをご存知の方もいるかもしれませんが、ススキは古くから神様の依代であり、魔除けの力があるとも考えられてきました。秋らしさの演出だけでなく、場を清める意味でお供えするのも良いでしょう。
お供えにはタブーとされている秋の花
お墓にお供えする花は、故人の好みや季節に合わせて比較的自由に選ぶことができますが、中には相応しくないとされ、避けた方が良い花もあります。棘や毒がある花、ツル状の花、香りが強すぎる花、縁起が悪いと言われる花などです。
「故人が特に好きだった」ということであれば、絶対にダメということはありませんが、お墓の場合、周りの迷惑になってしまう可能性もあります。
棘などを取り除いた上で、お参りの時間だけお供えしてすぐに持ち帰る、お墓へのお供えは控えて仏壇などに飾るなど、周囲に配慮すると良いでしょう。
秋に注意した方が良いとされる花を紹介しておきます。
毒のある花
秋になると、各地で見られる代表的な花に「彼岸花(ひがんばな)」があります。その名前の通り秋のお彼岸ごろに咲く花ですが、その全体、特に根っこに毒があるため、お供えにはふさわしくないとされています。
9月ごろに見ごろを迎える、ガーデニングで人気の「ランタナ」も、実や種に毒性があるため注意が必要です。小さい子どもやペットなどが誤って口に入れてしまうと危険なため、お墓に供えることは避けた方が良いでしょう。
棘のある花
「バラ」「アザミ」は、秋に咲く種類もありますが、棘があるためお供えには相応しくないとされています。
秋に咲くバラは、色が鮮やかで香りも豊かなものが多く、トゲを取るなどしてプレゼントなどに使われる場合もありますが、お墓へのお供えは、参拝者やお墓を管理する人に迷惑をかけてしまう可能性もあるため、控えた方が良いでしょう。
ツル状の花
ガーデニングにも人気があり、一年を通して楽しめる「ブーゲンビリア」や、夏から秋にかけて咲く「マンデビラ」は、南国の雰囲気を楽しめる植物ですが、ツル状の植物ということでお供えには向かないとされています。
ツル状の植物は生命力が強く、そのままにするとツルが伸び、周囲に巻き付いてしまう可能性があります。また、ツルが絡みつく様子が成仏できないことを連想させることから、縁起が悪いと感じる人もいるため、お墓へのお供えは控える方が良いでしょう。
マンデビラについては、夾竹桃(きょうちくとう)と同じ種類の植物で、毒性もあるため注意しましょう。
まとめ
夏の暑さが徐々に落ち着きを見せる秋は、花の種類も豊富です。外出もしやすい季節となり、秋風に揺れる花を目にすると、その姿に心が癒されるという方も多いのではないでしょうか。
お墓参りでお供えする花に、癒しを求めて良いのか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身の心を鎮めることは、穢れを祓って禊ぐことにもつながります。また、故人やご先祖さまを思いながら花を選び、穏やかな気持ちで手を合わせることが、供養につながります。
時には巡る季節を感じながら、故人の人柄や、自身の気持ちを表す花をお墓に手向け、故人と過ごした日々に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
秋になると、少しずつ日が短くなっていき、日々の気温も変わりやすくなります。秋のお彼岸などのお墓参りは、天気と気温をチェックして、調整しやすい服装で向かうと安心です。
他の季節についても、お墓参りにおすすめの花を紹介していますので、よろしければ合わせてお読みください。
秋のお墓参りに向けて、お墓参りの基本、秋のお彼岸などについても確認しておきましょう。