お役立ちコラム お墓の色々
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メキシコ「死者の日」とは?起源や祭壇の意味、日本のお盆との共通点を解説

「死者の日」は、毎年11月1日・2日を中心にメキシコで行われる、故人の魂をお迎えする伝統行事です。
同じように故人の魂をお迎えする行事である日本の「お盆」は、静かに祈ることが多いですが、メキシコの「死者の日」は、カラフルで明るい行事で、死を悼むのではなく故人とのつながりを祝福し、盛大に祝われます。
映画『リメンバー・ミー』や『007 スペクター』に登場しており、映像を見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
今回は、メキシコの「死者の日」はどのような行事なのか、その起源から行事の内容、日本のお盆との共通点を詳しく解説します。
死者の日とは?
死者の日は、スペイン語で「ムエルトス」といい、直訳すると「死者たちの日」という意味です。「ディア・デ・ムエルトス」と呼ばれることもあり、正式名称は「死者に捧げられた先住民の祭礼」と言います。
2008年には、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
家族や友人が集い、故人の魂が帰ってくるのをお迎えして、国を挙げて盛大に祝う行事です。
メキシコでは、死を生の延長として、人が本当に死ぬのはその人が忘れ去られたときと考えるため、家族が故人を忘れず、ずっと離れないための儀式でもあります。
死者の日は、街にガイコツがあふれ、各家庭に祭壇が設けられます。お墓は美しく飾り付けられ、パレードやパーティーが開かれるなど、国全体が明るく賑やかなムードに包まれます。
世界には、日本とは違うお墓の形や弔いの儀式がたくさん存在します。気になった方はこちらの記事をご覧ください。
死者の日の起源は?
死者の日の起源は、非常に古く、数千年前のメキシコ先住民の文明まで遡ります。
かつてメキシコ中央部で栄えたアステカ文明の死生観では、死は終わりではなく、長い旅の始まりだと信じられていました。そのため、死を悼むことは旅立つ者への非礼にあたると考えられてきたのです。家族が流す悲しみの涙は、故人が通る道を濡らし、歩みを止めてしまうと言われており、代わりに歌や踊り、好物のお供え物で賑やかに魂を励ますことが、残された者の大切な役割とされてきました。
16世紀、スペインによる征服が始まると、ヨーロッパからキリスト教がもたらされ、メキシコ先住民の信仰とカトリックの行事「万聖節」「万霊節」が結びつき、現在の独特の行事に発展していったのです。
死者の日はいつ、どこで開催される?
現在は11月1日・2日をメインに行う地域が多いようですが、正式な期間は10月31日から11月2日までの3日間です。地域によっては10月25日頃から11月5日ごろまで飾り付けが見られます。
- 10月31日: 万聖節の前夜祭。街にろうそくが灯り始めます。
- 11月1日: 亡くなった「子供たち」の魂が帰ってくる日と考えられています。
- 11月2日: 亡くなった「大人たち」の魂が帰ってくる日と考えられています。
「死者の日」は、もともとトウモロコシや豆など農作物の収穫時期に合わせ、8月に行われていましたが、スペインによる征服後、カトリックの暦に合わせて現在の11月へと調整されました。
キリスト教(主にカトリック)では、11月1日を万聖節、11月2日を万霊節(または死者の日)と呼び、亡くなった聖人と信者の方のために祈りをささげる日とされているため、この日程が定着しました。
メキシコでは11月2日は国の祝日となっており、学校や職場も休みになるところが多く、国を挙げて故人との再会を盛大に祝います。
死者の日への参加は可能?
「死者の日」は、見るだけでなく参加することもできる祭りです。
アステカ文明の影響が強いメキシコ中央部から南部にかけて盛大に行われており、北の方ではあまり大々的に行われることがないようです。
特に有名な地域は次の3つです。
- オアハカ:先住民の割合が多く、開催地として有名です。
- ミチョアカン:伝統的な死者の日を楽しめ、特にパツクアロ湖のハニッツィオという島は、有名なスポットです。
- メキシコシティ:メキシコ合衆国の首都であり、最大の都市です。メガパレードと呼ばれる大規模な死者の日のパレードが行われています。実はこれは、映画『007 スペクター』の冒頭シーンが話題となり、それをきっかけに公式パレードとして開催されるようになりました。
ガイコツメイク
死者の日といえば、「ガイコツメイク」が象徴的です。
このメイクはスペイン語で「カラベラ」と呼ばれ、顔にガイコツを模したメイクを施し、華やかな衣装やドレスを身にまとい、街に繰り出します。
ガイコツメイクには、死を怖がらずに受け入れるという意味が込められています。
自分でメイクすることも可能ですが、期間中は街のいたるところに臨時のメイクブースが登場し、プロに任せることもできるようです。
死者の日の主な儀式と意味
死者の日の儀式は、たくさんのシンボルで彩られています。その一つひとつに込められた意味を詳しくご紹介します。
お墓
死者の日には、故人を迎えるためにお墓を飾りつけます。飾り付けには、マリーゴールドをはじめ、真っ赤なケイトウ、キク類など、たくさんのカラフルな花が使われます。
お墓にみんなで集まり、故人を偲んで静かに語り合うこともあれば、お酒が好きだった故人のためにみんなで乾杯して盛り上がることもあります。過ごし方はそれぞれですが、故人と再会できた喜びを分かち合う、温かな時間が流れます。
ガイコツ
街中にあふれるガイコツは、死者の日の象徴です。ガイコツと聞くと不気味なイメージを想像しがちですが、メキシコのガイコツは、楽しそうに笑ったり踊ったりしています。
なかでも、貴婦人の帽子を被ったガイコツ「カラベラ・カトリーナ」は、メキシコの国民的キャラクターとして愛されています。置物だけではなく、砂糖で作られた「シュガー・スカル」も飾られます。
祭壇(オフレンダ)
「死者の日」に欠かせないのが、故人の魂を迎えるための祭壇(オフレンダ)です。
家庭や墓地はもちろん、広場やショッピングモール、レストランなど、街の至る所が趣向を凝らした祭壇で彩られます。
祭壇のまわりでは「マリアッチ」と呼ばれるメキシコの民族音楽が奏でられます。
親族や友人、近所の人々など様々な世代での交流がなされ、飲食を楽しみながら故人の思い出話に花を咲かせる「集いの場」としても機能しています。 祭壇には、日本のお盆やお墓参りなどと同じように供物が捧げられ、それぞれに意味があります。
- 水:現世へ戻ってきた故人の長旅での喉の渇きを潤す
- マリーゴールドの花:香りと橙色の花びらで故人の魂を導く
- 塩:魂が汚れないよう場を浄化し、来年も無事に戻れるようにする
- 塩:魂が汚れないよう場を浄化し、来年も無事に戻れるようにする
- コパル(お香):煙で祭壇の周囲を清める
- パペルピカド:メキシコの伝統的なカラフルな切り紙の旗で、室内や祭壇を装飾する。「風」を象徴し、旗が揺れることで魂の訪れを知らせるとも言われる
その他にも、家族の写真や故人の好きだった食べ物や飲み物、フルーツ、小さな子どもがいればおもちゃなどが捧げられます。
死者の日の象徴「マリーゴールド」
死者の日を象徴する花と言えば、マリーゴールドです。
マリーゴールドは、故人を導く役割があると考えられており、無数の花びらがあることから、太陽の色と熱を込めていると信じられてきました。鮮やかな色の花びらや強い芳香が、故人の魂をこの世へと導く道しるべとなるため、祭壇から墓までの道に花びらをまく場合もあります。
死者のパン (パン・デ・ムエルト)
死者のパンと呼ばれるパン・デ・ムエルトは、日本のお盆における供養食のように、死者の日を象徴する伝統食です。死者の日の定番の伝統食であり、メキシコ南部から中央アメリカにかけて栄えた古代文明「メソアメリカ文明」が起源で、現代に受け継がれたものです。
丸いパンに砂糖がまぶしてあり、真ん中の丸い部分が頭蓋骨、そこから十字に伸びる4本は骨を表しています。
地域により特徴があり、人形型だったり、宗教的な絵が描かれている場合もあります。
日本のお盆について詳しく知りたくなった方は、こちらの記事をご覧ください。
◆お盆とはどういう行事?起源や時期、風習に込められた意味を解説します
まとめ
メキシコの死者の日は、日本で過ごしてきた私たちにとっては、見慣れない光景が多いかもしれません。
しかし、その賑やかさの根底にあるのは、大切な人を忘れない限り、その魂は生き続けるという、故人への深い愛と絆です。
故人を決して忘れず、新たな旅の始まりを笑顔で祝福するメキシコの死生観は、現代を生きる私たちにとっても、命の尊さを再確認させてくれるヒントが詰まっています。
日本のお盆とは形式こそ違いますが、ご先祖様を敬い、故人に想いを馳せるという心のあり方は、私たちにも深く通じるものがあります。
いま心に浮かぶ大切な誰かがいたら、ぜひお墓参りに訪れてみてください。
そこで静かに故人を想う時間は、あなたにとっても、きっと温かな再会のひとときになるはずです。
お墓参りに行くときに参考になる記事は、こちらからご覧ください。