お役立ちコラム お墓の色々

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「これは避けた方がいい?」お彼岸にやっていいのか迷う5つのこと

供養・埋葬・風習コラム

「これは避けた方がいい?」お彼岸にやっていいのか迷う5つのこと

1年に2度、春と秋に訪れるお彼岸。親戚が集まり、お墓参りに行くという光景をイメージする方が多いと思います。お彼岸の期間は、「春分の日」「秋分の日」という祝日にもなるので、お墓参り以外の予定を入れようと思う方もいるかもしれませんが、「お彼岸の時期にやってはならないこと、避けた方がよいこと」があることをご存知でしょうか?
今回は「お彼岸にやっていいのか迷う5つのこと」と題し、具体的な例を挙げながら、お彼岸の時期にやってはならないことや避けた方がよいことを見ていきます。

そもそもお彼岸とは?

お彼岸とは、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた各7日間(1年で計14日間)を指します。あの世とこの世が最も近づく彼岸の中日に、先祖に感謝をしてお墓参りをし、残る6日間に六波羅蜜(悟りの境地に達するのに必要な6つの項目)を1日1つずつ修めることが、本来のお彼岸とされています。
「彼岸」とは、三途の川の「あちら側」という意味。つまり仏様の世界、死後の世界という意味です。煩悩に苦しめられる現生(此岸)から、善行を積み、悟りを開いて煩悩から解き放たれ、永遠に平穏に過ごせる仏様の世界(彼岸)へ至ることが、仏の教えにあります。
そこから転じて現代では、お墓参りをして故人や先祖をしのび、感謝をし、日頃の自分の行いを見つめなおしたり、反省したりする期間ともされています。

お彼岸にしてはいけないこと

昔からお彼岸には「仏事」と「神事」を一緒にしてはいけないと言われています。
仏事とは、仏教に基づき僧侶が取り仕切る行事のことです。主に、葬儀・法事・お墓参りなどをいいます。
一方、神事とは、神道に基づき神主が取り仕切る行事のことです。主に、お宮参り・七五三・建前(上棟式)などをいいます。
神道において死は穢れ(けがれ)とされていることが、仏事と神事を一緒にしてはいけない理由です。
地域によっては「お彼岸の時期にお祝い事をしてはいけない」という風習がある場所もありますが、実際はどうなのでしょうか。

これはお彼岸にやっていいの?

①結婚式、結婚の挨拶、結納、招待状の送付

お彼岸は「喪」の期間ではありません。したがって、縁起が悪いということはなく、仏教的にも問題はありません。
ただ、お彼岸にはお墓参りや法要などがあり、各家庭でお供えや精進料理を用意するなど慌ただしい時期であるといえます。また、先祖や故人の供養をするためお彼岸であるので、この時期のお祝い事を「先祖や故人をないがしろにしている」と感じる方もいるかもしれません。二人の記念日であるなど、どうしてもこの時期に行いたい場合は、中日を避けたり、親族への説明をきちんと行うなど周りへの配慮を忘れずにしましょう。
招待状の送付も、到着する時期がお彼岸の時期にならないかどうか、相手への配慮を常に頭において行いましょう。

②水辺での遊び

水辺での遊びを避けた方がよい理由として、仏壇やお墓がなく供養をされずにさまよう霊魂が、人を水に引きずり込む…という迷信をご存じの方もいるかもしれません。ただ、迷信だからと言い切れない部分も実はあります。秋のお彼岸は台風の時期とも重なるため、水の事故が起きやすいです。特に小さなお子さんのいるご家庭はご注意ください。

③お見舞い

先祖や故人の供養をするのがお彼岸であるため、病気の方やケガをされた方へのお見舞いは「故人として扱う」「すぐに亡くなるであろうと思っている」と考えられてしまうこともあります。そのため、お彼岸の期間のお見舞いは、大変失礼な行為、つつしむべき行為とされています。病気やケガの方を思いやるお見舞いの気持ちが、全く反対のものと受け取られてしまうこともありますので、控えるようにしましょう。

④新築祝い、引っ越し

新築祝い、引っ越しをお彼岸中にしてはいけない、ということは仏教上ではありません。しかし、お彼岸の本来の目的は、先祖や故人の供養です。忙しさのあまり、お墓参りに行く時間が取れなくなったり、後回しになってしまうことに抵抗を感じる年配の方もいらっしゃることでしょう。落ち着いて先祖や故人の供養をするためには、新築祝いや引っ越しは別日に行う方がよいかもしれません。

⑤新車の納車

日取りを選んで行われることが多い、車の納車。自分や大切な人の命を乗せて走るとあって、大安吉日などを中心に縁起を担いで納車日を決めることが一般的です。仏教には「忌日」という考え方は実はありません。また。お彼岸は「喪」の期間でもないので、新車の納車に代表されるような「新しく何かを始めること」を慎まなければならないということもないのです。

相手への配慮を忘れずに

「お彼岸にやっていいのか迷う5つのこと」を見てきましたが、お彼岸はお祝い事にふさわしくない縁起の悪い時期、「喪」に服す時期、というわけではなく、どれも仏教的にやってはいけないとされていることではありません。
しかし、本来の目的である「お墓参りや、法要に参加して先祖に感謝し、故人をしのぶ」ためには、他の行事を入れて慌ただしくすることは、可能であれば避けた方がよいのかもしれません。
先祖に感謝し故人をしのび、自らを見つめ直す時間を、ぜひ大切にしてみてください。