お役立ちコラム お墓の色々

お役立ちコラム お墓の色々

- 供養をきわめる -

除夜の鐘にはどんな意味がある?一般の人がつきに行けるお寺も紹介

供養・埋葬・風習コラム

除夜の鐘にはどんな意味がある?一般の人がつきに行けるお寺も紹介

毎年、大晦日になると聞こえてくる除夜の鐘。
1年の締めくくりを感じさせる日本の風物詩ですが、最近は音がうるさいなどといった声もあり、時間を昼にしたり、鐘をつくこと自体を控えたりするお寺も増え、残念ながら失われつつある文化でもあります。

しかし除夜の鐘が持つ意味を考えれば、次の1年を気持ちよく過ごすためにも聞いておきたいところです。

そこで今回は、除夜の鐘の意味や、一般の人が鐘をつく際のマナー、実際に鐘をつけるお寺を紹介します。

除夜の鐘をつく意味とは

12月31日の夜、お寺の鐘をつくのが除夜の鐘。大晦日に行う法要と合わせて「除夜会(じょやえ)」と呼ぶこともあります。
「除夜」は旧年を除く夜という意味で、大晦日のことです。
お寺にある梵鐘(ぼんしょう)という大きな鐘を、撞木(しゅもく)という大きな木の棒でつきます。

梵鐘の音には、時間を知らせたり、仏の声を伝えたりする役割があります。仏の声には人々の迷いや苦しみを断つ力があるため、鐘の音を聞くことで旧年の悩みなどが払われ、清々しい気持ちで新年を迎えられるとされています。

一般的に、除夜の鐘は僧侶によって12月31日の間に107回、1月1日になってから1回の合計108回つかれます。108回つく理由は諸説ありますが、人間の煩悩の数が108あるからだという説が有名です。

お寺の僧侶だけでなく、一般の人も鐘をつけるようにしているお寺も数多くあります。
有名なお寺で鐘をつきたい人が多いときは、200回以上つくケースもあるようです。

除夜の鐘の歴史

除夜の鐘が日本で一般的になるまでの流れは諸説ありますが、中国から伝わった説がよく知られています。

もともと中国のお寺には、鬼を払うために毎月末の夜に鐘を108回つく習慣がありました。しかし宋の時代になると大晦日にだけ108回つく形に変化します。
この大晦日に鐘をつく風習が、鎌倉時代、中国から禅宗の僧侶がやってきた際にもたらされたと言われています。

その後、除夜の鐘は各地に広がり、江戸時代には多くのお寺が大晦日に鐘をつくようになりました。

昭和初期にはラジオで除夜の鐘の中継が始まり、年末の恒例行事として、現在もたくさんの人に親しまれています。

一般の人が鐘をつくときのマナー

一般の人も鐘をつかせてもらえるお寺はたくさんあります。
つきに行く際には、下記の点をマナーとして押さえておきましょう。

まず、鐘は参拝前につくようにしてください。
参拝後に鐘をつくことは「戻り鐘」と呼ばれ、縁起が悪いと言われています。

鐘をつく順番がきたら、鐘の前で合掌(胸の前で左右の手のひらを合わせる)して一礼しましょう。

そして、撞木を引いて鐘に打ち付けます。強く打ち付けると鐘が傷んでしまう恐れがあるため、力を入れすぎないように注意してください。

鐘をつくときには、今年1年を無事に過ごせた感謝の気持ちや、来年の願いごとなどを心に思い浮かべましょう。

最後にもう一度合掌と一礼をします。

1回ついたあとは、2回以上つかずに、次の人に順番を譲りましょう。

マナーは以上となりますが、除夜の鐘をついたあとは、お寺で初詣をしたり、修正会(しゅしょうえ)に参加したりするのもおすすめです。

修正会については以下で詳しく解説しています。
修正会(しゅしょうえ)とは?お寺で行う正月行事の意味や歴史を解説

忌中や喪中でも除夜の鐘をつきに行っていい?

忌中(四十九日が明けるまでの間)や喪中(一周忌までの間)には、正月のお祝いは避けるという風習があります。

しかし除夜の鐘をつくことはお祝いごとには当たらないため、つきに行くことは問題ありません。

忌中や喪中に避けたほうがよいことについては、下記で詳しく解説しています。
喪中の過ごし方〜忌中と喪中の違い、喪中にやってはいけないこととは?〜

除夜の鐘をつけるおすすめのお寺

一般の人が鐘をつきに行けるお寺の一部を紹介します。

申し込み方法や整理券の配布時間、費用などについては、年によって変わる可能性もあるため、出かける前にお寺のホームページなどで確認しましょう。

新井薬師梅照院(東京都中野区)

目の病気にご利益があることで有名なお寺です。
大晦日の23時45分ごろから並べば、元日の午前2時まで先着順で鐘をつかせてもらえます。予約は受け付けていません。

108人目までは浄財(寄付金)1000円で、限定のお守りも授けてもらえます。109人目以降の場合、お守りはいただけないものの浄財500円となっています。

太融寺(大阪府大阪市北区)

弘法大師が開いた、約1200年の歴史を持つお寺です。
23時45分から除夜の鐘をつき始めます。年を越す0時までに並べば全員つくことが可能です。
また108人目までは記念品も授与されます。

高台寺(京都府京都市東山区)

豊臣秀吉の妻である北政所が、秀吉を弔うために開いたお寺です。
22時から先着108組に整理券が配布され、この券を持っていれば23時45分から鐘をつくことができます。

瑞光寺(京都府京都市伏見区)

かやぶき屋根の本堂が特徴的なお寺です。
夜ではなく、12月31日の14時から17時30分まで除夜の鐘つきが行われます。人数の制限はなく、時間内に行けば誰でもつくことが可能です。

まとめ

除夜の鐘には、人々の迷いや苦しみを払い、新たな気持ちで新年を迎えられるようにするという意味があります。

新年は神社へ初詣に行って新たな誓いを立てる方も多いと思いますが、今年の大晦日はお寺で除夜の鐘をついて迷いを払ってから、初詣をしてみてはいかがでしょうか。

今回紹介したお寺以外にも、一般の人が鐘をつけるお寺はたくさんあります。あなたの住んでいる地域のお寺でつかせてもらえるところはないか、探してみましょう。

そして、家族が揃う新年には、是非、お墓参りにも行ってください。

「お墓参りはお盆やお彼岸にするものではないの?」と不思議に思う人もいるかもしれませんが、お正月に行っても問題はありません。

親戚に会いに行くような気持ちでご先祖様に挨拶をすれば、きっと喜んでくれることでしょう。ご先祖様に今年の目標を話すことで、より一層気持ちが引き締まり、頑張ろうという気持ちになれるはずです。

お正月にお墓に行っていい理由については、下記で詳しく解説しています。
お正月にお墓参りをしてもいい?年末年始のお墓参りの考え方や注意点をご紹介

あわせて、お墓参りの基本もおさらいしておきましょう。
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう