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仏教の開祖 お釈迦様の生涯とは?8つのキーワードで簡単に解説

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仏教の開祖 お釈迦様の生涯とは?8つのキーワードで簡単に解説

お葬式やお墓参り、大晦日の除夜の鐘など、仏教は私たち日本人の生活に深く浸透しています。

その仏教の始まりとなった人物がお釈迦様です。しかし開祖であることは知っていても、具体的にどんな人生を送ったのかまではわからないという人は多いのではないでしょうか?

この記事では、八相(はっそう)と呼ばれる8つの大きな出来事をもとに、お釈迦様の生涯を簡単に、わかりやすく紹介します。

お釈迦様はどんな人?

お釈迦様は約2500年前、修行の末に悟りを開き、仏教の開祖となった人です。
現在のインドとネパールの国境付近にあった国、ルンビニーで釈迦族の王子として生まれました。

実はお釈迦様の本来の名前は、ゴータマ・シッダールタといいます。
「お釈迦様」という呼び方は、釈迦族の偉大な人という意味で使われています。
ほかにもお釈迦様を尊敬する呼び方は複数あり、釈尊(しゃくそん)、釈迦牟尼(しゃかむに)があります。

仏陀(ブッダ)と呼ぶこともありますが、これは必ずしもお釈迦様だけを指す呼び名ではありません。

ブッダは「悟りを開いた人」という意味の言葉で、お釈迦様以外の悟りを開いた人にも用いられます。

お釈迦様の人生を8つのキーワードでわかりやすく解説

実は、お釈迦様の人生は波瀾万丈とも言えるものでした。

その人生の転機は、八相(はっそう)と呼ばれる八大事相(8つの大きな出来事)に分けて語り継がれ、各地で重要文化財として大切に守られている鎌倉時代の絵画「釈迦八相図(しゃかはっそうず)」としても描き残されています。

この八相を見ていくことで、お釈迦様の人生や仏教の成り立ちについても簡単に知ることができます。

下天(降兜率)

下天(げてん)または降兜率(ごうとそつ)とはお釈迦様がこの世に生まれる前、前世の段階のことです。

前世のお釈迦様は、兜率天(とそつてん)という場所で、悟りを開くために修行していました。兜率天はさまざまな仏様が住む「天」という世界の一つです。

お釈迦様はこの世に生まれるにあたって、いつの時代に、どこで生まれるとよいか十分に考えた末、釈迦族の王と王妃の間に生まれることにしました。

そして前世のお釈迦様は6本の牙を持つ白い象に姿を変え、今私たちが暮らすこの世界に降りてきたのです。

入胎(托胎)

入胎または托胎(たくたい)は、お釈迦様の母である摩耶夫人(まやぶにん)が妊娠した段階です。
白い象の姿になったお釈迦様は、母となる摩耶夫人の右脇から胎内に入りました。

摩耶夫人は夢の中で、6本の牙を持つ白い象が天から降りてきて、自分の体に入ってくる様子を見たそうです。
お釈迦様の両親はなかなか子供に恵まれなかったため、この懐妊をとても喜びました。

誕生(出胎、降誕)

出胎(しゅったい)、降誕(ごうたん)はお釈迦様がこの世に生まれる段階です。

摩耶夫人は出産のために実家へ帰る道中、4月8日にルンビニーの花園で休みました。
花園には無憂樹(むゆうじゅ)の花が咲いており、この枝を取るため右腕を上げた際、右脇からお釈迦様が生まれたのです。

お釈迦様は生まれた直後にもかかわらず、立ち上がって7歩歩き、天と地を指差して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えたという逸話が残っています。

天上天下唯我独尊はこの世界にいる誰もが皆尊い存在である、という意味です。

お釈迦様の誕生を祝うため、現在でも4月8日には、各地のお寺で灌仏会(花祭り)と呼ばれるお釈迦様の誕生祭が行われています。

灌仏会(かんぶつえ)の詳細は以下の記事で解説しています。
花まつり(灌仏会/かんぶつえ)とは?お釈迦様の誕生日を祝う行事を紹介

出家

出家は、お釈迦様が王子という立場を捨て、修行を始める段階です。

実はお釈迦様が生まれてから7日後に、母である摩耶夫人は亡くなってしまいます。しかし摩耶夫人の妹に育てられ、お釈迦様は何不自由ない生活を送っていました。

やがて成長して結婚し、子供も生まれ、周囲からは幸せな人生を送っているように見えましたが、豊かな生活を送る一方で、お釈迦様には悩みもありました。

お釈迦様は、以前から虫が小鳥に食べられ、その小鳥が鷹に食べられるといった弱肉強食の厳しい現実に心を痛めていたのです。

さらに城の外で年老いた人や、病気で苦しむ人、亡くなった人を見て衝撃を受けます。
どんな人も「生・老・病・死」から逃げられないという世の無常に直面して悩んでいたとき、今度は城の外で、質素ながら堂々として気高い修行者に出会いました。

そんな修行者の姿に心を打たれたお釈迦様は、「生・老・病・死」の苦しみを解決する方法を探すために、自分も出家する決意を固めます。そして29歳で城を出て、厳しい修行の日々を始めました。

降魔

降魔(ごうま)は、悪魔を退けるという意味です。お釈迦様がさまざまな悪魔(迷いや誘惑)と戦う段階です。

出家してから6年間、お釈迦様は山で厳しい修行に励んでいました。しかし衰弱するばかりで、悟りを開くことができません。このまま厳しい修行をしていても悟りは開けないと感じたお釈迦様は、山を下りることにします。

村にいた娘スジャータから乳粥(ちちがゆ)の施しを受けたお釈迦様は、体を回復させ、菩提樹の下に座って瞑想を始めました。

瞑想の途中、さまざまな悪魔が現れてお釈迦様を誘惑しました。

成道

成道(じょうどう)は悟りを開くという意味です。

12月8日の夜明け前、すべての悪魔を退けたお釈迦様は、35歳にして悟りを開きます。

お釈迦様はこれまで「生まれたものはやがて老い病になって死ぬ」という誰もが経験する苦しみについて悩んできました。しかし「生・老・病・死」そのものが苦しいわけではなく、自分の心が苦しみを生み出していたのだと気づきます。そして煩悩を捨て、無我の境地(空 くう)に至ることで、苦しみは手放せるのだと悟ります。

このとき、釈迦族の王子として生まれたゴータマ・シッダールタが悟りを開いた人である「ブッダ」となったともいえるでしょう。

現在もお寺では12月8日に、お釈迦様の成道を記念する成道会(じょうどうえ)が開かれ、座禅やお粥の振る舞いが行われます。

成道会については下記で詳しく解説しています。
成道会(じょうどうえ)とは?仏教誕生のきっかけとなった日について解説

転法輪(初転法輪)

転法輪(てんぼうりん)、初転法輪(しょてんぼうりん)はお釈迦様が初めて説法を行う段階です。転法輪は、仏が人々に教えを説いて広めるという意味です。

実はお釈迦様は悟りを開いたあとにも悩んでいました。「自分が悟った内容をほかの人に話しても、わかってもらえないのではないか」と考え、説法をやめようと思っていたのです。

そのとき仏教の守護神である梵天(ぼんてん)が現れ、お釈迦様に説法を行うよう説得しました。

説得に応じたお釈迦様は一緒に修行をしていた仲間を集め、自分が悟った内容について話しました。話を聞いた人々はお釈迦様の伝えたかったことを理解し、弟子となりました。ある意味ではこのときが、仏教の始まりだったと言えるかもしれません。

涅槃(入滅)

涅槃(ねはん)、入滅(にゅうめつ)はお釈迦様が亡くなる段階です。
涅槃は「一切の煩悩が消えた悟りの境地」という意味です。ここでは、お釈迦様が肉体的に死を迎えることで、食欲なども含めたすべての欲がなくなり、本当の意味で悟りの境地に達することを指しています。

35歳で悟りを開いてから80歳になるまで、お釈迦様は各地でたくさんの人に教えを説いてきました。

晩年のお釈迦様は故郷を目指して旅をしていましたが、その途中、2月15日にクシナガラ(インドのウッタル・プラデーシュ州東部)の沙羅双樹(さらそうじゅ)の下で亡くなります。

一説には亡くなる直前、お釈迦様の母である摩耶夫人が天から駆けつけ、お釈迦様に薬を渡そうと袋を投げましたが、木に引っかかってしまい届かなかったともいわれています。

亡くなる直前もお釈迦様は穏やかな様子で最後の説法を行い、弟子たちにこれからも修行に励むように伝えました。

2月15日には、各地のお寺でお釈迦様を追悼し、その恩に報いるための涅槃会(ねはんえ)という法要が行われます。

涅槃会については下記の記事をご覧ください。
涅槃会(ねはんえ)とは?涅槃図の解説やお寺でやることも紹介

まとめ

こうしてお釈迦様の人生を見てみると、意外にもさまざまな迷いや悩みがあったことがわかります。
お釈迦様も普通の人と同じように、迷い、悩み、苦しんでいたことを知ると、お釈迦様をより身近な存在に感じられるのではないでしょうか。

お釈迦様が亡くなったあとも、弟子たちによってその教えは現代まで受け継がれています。
人生には苦しいことも多くありますが、お釈迦様の教えや仏教がたくさんの人の心のよりどころとなってきました。

私たちのご先祖様も、苦しいときや悩んだときには、お釈迦様の教えを支えにして生きてきたのかもしれません。

仏教では、諸行無常(しょぎょうむじょう すべての物事は時間の流れとともに変わっていく)という教えがありますが、同時にすべては縁でつながっているという考え方もあります。

この機会に三大法会(灌仏会、成道会、涅槃会のこと)に立ち寄ったり、お墓参りに行ったりして、私たちと仏教、そしてご先祖様をつないでいる縁について考えてみてはいかがでしょうか。

あわせて、お墓参りの基本もおさらいしておくとよいでしょう。
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう