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花まつり(灌仏会/かんぶつえ)とは?お釈迦様の誕生日を祝う行事を紹介

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花まつり(灌仏会/かんぶつえ)とは?お釈迦様の誕生日を祝う行事を紹介

古くからお寺で執り行われてる春の行事「花まつり」をご存知でしょうか。
ご存知ない方には、「花に関するお祭り?」「お花見みたいなもの?」と想像されるかもしれませんが、正式には灌仏会(かんぶつえ)と呼ばれるお釈迦様の誕生を祝う行事です。
当日は「甘茶の振る舞い」や「稚児行列」などが行われますが、この記事では灌仏会とはどのような行事なのか、お寺で何をするのかを紹介します。

灌仏会とは

灌仏会は、お釈迦様の誕生を祝う行事です。キリスト教におけるクリスマスのような行事だと考えると、イメージしやすいのではないでしょうか。
この日は、お寺で誕生仏(たんじょうぶつ)に甘茶を灌(そそ)ぐため、「灌仏会」と呼ばれています。
たくさんの花を飾って祝うことから、明治時代には「花まつり」という呼び名も生まれました。現代では、花まつりという名前のほうがなじみがあるという人も多いようです。
他にも、「仏生会(ぶっしょうえ)」「降誕会(ごうたんえ)」「浴仏会(よくぶつえ)」などさまざまな呼び名が存在します。

灌仏会の歴史は古く、西暦600年代にも行われていました。大正時代には、日比谷公園で大規模な稚児行列が催されたこともあります。もしかしたら、あなたの親戚やご先祖様も、灌仏会に参加したことがあるかもしれません。
もちろん現代でも、灌仏会の伝統は受け継がれています。具体的な催しの内容は地域によって異なりますが、昔から受け継がれてきたとても大切な行事とされており、2月15日の涅槃会(ねはんえ)、12月8日の成道会(じょうどうえ)と合わせて、三大法会とも呼ばれています。

灌仏会の日程

お釈迦様が生まれた日は、旧暦の4月8日と伝えられてきました。
現代では、お寺によって灌仏会の日程が異なります。
新暦の4月8日、5月8日(旧暦の4月8日に近い日)などさまざまです。お寺のホームページで日程が公開されていますので、確認してみると良いでしょう。

お釈迦様が生まれたときの出来事とは

灌仏会の内容は、お釈迦様が誕生したときの出来事と深い関わりがあります。

お釈迦様は約2500年前、ルンビニー(現在のネパールとインドの国境付近にあった国)で生まれました。父親は釈迦族の王、浄飯王(じょうぼんおう)。母親は妃である摩耶夫人(まやぶにん)。つまりお釈迦様は王子です。
摩耶夫人は、白い象が右脇から自分の胎内に入る夢を見て、お釈迦様を妊娠したと伝えられています。
その後、摩耶夫人は出産のため、実家があるコーリヤに帰ろうとしました。途中、ルンビニーの花園で休憩します。花園にあった無憂樹(むゆうじゅ)の枝を取ろうとして右手を挙げたとき、右脇からお釈迦様が生まれました。
お釈迦様が生まれると、竜が空から甘露の雨を降らせたといいます。この雨が産湯となりました。
お釈迦様は生まれてすぐに、7歩歩きました。そして天と地を指さして、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言ったそうです。
誕生仏は、このときの様子を模した仏像です。右手で天を指し、左手で地を指しています。

天上天下唯我独尊とは、「世界中の人は皆尊い存在である」という意味です。「唯我独尊」の部分だけでは、自分だけが偉いという意味に見えるかもしれませんが、そうではありません。
自分だけではなく、誰もが皆、尊く大切な存在だと伝えたのです。

灌仏会には何をする?

灌仏会には、お寺で法要が営まれます。お寺によっては、一般の人も法要に参加できます。法要の前後には餅つきなどを行うお寺もあるため、お住まいの地域の灌仏会をチェックしてみるのも良いでしょう。
また法要以外にも、お寺や街でさまざまなことを行います。お釈迦様が生まれたときの出来事にちなんでいる点にも注目してみてください。

花御堂を用意し誕生仏を安置する

お寺ではたくさんの花で飾った御堂、「花御堂(はなみどう)」が用意されます。
花御堂はお釈迦様が生まれたルンビニーの花園を模したものです。中には誕生仏が安置されています。
花まつりという呼び名は、この花御堂の様子からつけられたと言われています。

参拝者が誕生仏に甘茶をかける

お釈迦様が生まれたときに甘露の雨が降ったという言い伝えから、参拝者は柄杓で甘茶をすくい、誕生仏にかけ拝みます。
こうしてお釈迦様の誕生を祝います。
甘茶は、ヤマアジサイの変種であるアマチャを発酵させたお茶です。アマチャヅルとは別のもので、砂糖を入れなくても甘い味を楽しめます。

甘茶を飲む

参拝者に甘茶を振る舞うお寺もあります。
灌仏会に甘茶を飲むと無病息災で過ごせると伝えられているため、お寺に行った際には飲んでみてはいかがでしょうか。
お寺によっては、甘茶の持ち帰りも可能です。

稚児行列を行う

灌仏会には、子供たちの無病息災を願うという側面もあります。
戦前には、子供の祭りとして稚児行列も行われていました。大正時代には、日比谷公園で100人以上の稚児が花御堂を一周する催しが開かれています。
現代でも、稚児行列が行われる地域があります。特に、善光寺がある長野市の稚児行列は大規模です。親子3代にわたって稚児行列に参加している家族もいるなど、長年親しまれています。

稚児行列に参加したい場合、下記の点を確認しておきましょう。
・事前申し込みの方法
・参加費
・本番前に、着付け指導などを受ける必要があるか
早めに情報を集めておくと安心です。

灌仏会を機に家族と話してみませんか

お釈迦様の誕生を祝う灌仏会は、昔から受け継がれてきた大切な行事です。
あなたの親戚やご先祖様も、誕生仏に甘茶をかけたり、稚児行列に参加したりしていたかもしれません。
昔のことを知っている親戚に、灌仏会の思い出を聞いてみてはいかがでしょうか。
家族でお墓参りに行って、「ご先祖様も甘茶をかけたことがあるのかもしれないね」と語り合ってみるのも良いでしょう。

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