お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

葬儀の喪主は誰がやる?喪主の決め方や役割を詳しく解説

葬祭基礎知識

葬儀に際して、遺族を代表して参列者に挨拶をするなど、葬儀を取り仕切る喪主。葬儀に参列したことがある人なら、そんな喪主の姿を見たことがあるでしょう。ただ、経験したことがない人にとっては、「喪主は誰がやるの?」「そもそも何をすればいいの?」と喪主の決め方や役割については詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、家族に万が一の事があった時、喪主をどう決めたら良いかわからず、戸惑った経験がある人もがいらっしゃるかもしれません。

今回は、喪主の決め方や役割、心構えについて詳しく解説します。万が一のときに慌てないためにも、ぜひ参考にしてください。

そもそも喪主とは?

喪主とは

喪主とは、葬儀を執り行う代表者のことです。

逝去から葬儀を終えるまでには、葬儀社や葬儀の詳細の決定、関係各所への連絡、各種手続きなど、限られた時間の中で多くのことを進める必要があります。喪主は、それらを中心となって取り仕切り、進めていく役割を果たし、参列者への挨拶や対応も行います。訃報連絡や葬儀案内、葬儀後のお礼状なども喪主の名前で出すのが一般的です。

施主と喪主の違い

喪主に似た立場として「施主」という役割もあります。

葬儀における施主とは、葬儀社への支払いや僧侶にお渡しするお布施といった、葬儀にかかる費用を負担する役割を担う人のことを言います。 近年では、喪主と施主を同一人物が務めることが一般的ですが、年齢や健康上の理由から、喪主と施主を分けることもあります。例えば、故人の妻が高齢であるため、息子が喪主を務め、施主は故人の妻が担うといった場合などです。

葬儀で喪主が担う4つの役割

葬儀全体の段取り・最終決定

故人の逝去から葬儀までの間には、喪主が中心となって、葬儀場や安置場所の決定、親族への連絡、死亡届などの手続き、葬儀社や僧侶との打ち合わせ、葬儀日程や内容・費用などの決定、訃報連絡や葬儀案内、葬儀に向けた準備など、葬儀に向けた段取りや最終決定を行なっていきます。 葬儀を終えるまでの細かい流れについては、葬儀社がサポートしてくれるため、わからないことは相談しながら進めると良いでしょう。また、同時に考え決めていかなければならないことがたくさんあるため、家族や親族と相談しながら、役割分担をすることも大切です。

葬儀当日に行う参列者への挨拶

喪主は、通夜や告別式などで遺族の代表として挨拶を行います。主な場面としては、以下のようなタイミングがあります。

・通夜や葬儀・告別式の終了時

・出棺時

・通夜振る舞いや精進落としの開始時と終了時

・参列者の出迎えや見送りの時

・僧侶にお布施を渡す時

どのように挨拶すべきかと身構えてしまうかもしれませんが、参列してくれたことへの感謝の気持ちを、短くても構わないのでしっかりと伝えることが大切です。

お金の管理、葬儀後のお返しなど

お布施や香典などのお金の管理、香典返しや手伝ってくれた方への謝礼なども喪主の役割です。

香典返しは、四十九日法要後から1ヶ月以内を目安に行うのが一般的ですが、最近では通夜や葬儀当日に3,000円程度の品をお返しする、「当日返し(即日返し)」も増えています。 また、例えば喪主である配偶者が悲しみに暮れて何も手につかず、子どもが代わりに全てを取り仕切ったというような場合でも、香典返しやお礼の差出人は、喪主の名前とするのが一般的です。

葬儀の主催者として周囲に気を配る

喪主は葬儀の主催者として、参列者や関係者に気を配り、円滑に葬儀が進むように務める役割も担います。

参列者の皆さまに分け隔てなく挨拶をする、遠方から来た参列者に配慮する、遺族間の調整を行うなど、葬儀が滞りなく進行するよう心がけましょう。

喪主は誰がやる?決め方のポイント

喪主は、慣習や家庭の事情を踏まえて、血縁者の中から最も故人と近しい方が務めるというのが一般的です。しかし、「喪主を誰がやれなければならない」という規定はないため、基本的には誰が務めることになっても問題ありません。一昔前は家長や家の跡取りが務めるのが一般的でしたが、近年では家庭ごとの事情を優先し、柔軟に決めるケースが増えています。 喪主を決めるにあたって、留意するポイントを解説していきます。

遺言状で指名された人

故人が遺言で喪主を指名していた場合は、故人の意思を尊重するのが一般的です。ただし、やむを得ない事情などで難しい場合は、遺族で相談し、別の人が喪主を務めても差し支えありません。

喪主に関しては、遺言書に「祭祀承継者」(先祖の祭祀を主宰し、墓などの祭祀財産を管理する人)として指定することができます。しかし、「祭祀継承者」が喪主を務めるとの定めはなく、葬儀方法や喪主に関しては法的効力が及ばない事項となるため、最終的には遺族の判断に委ねることになるということは、覚えておきましょう。

故人と血縁関係にある人

一般的には、配偶者が喪主を務めます。配偶者がいない場合や、健康上の理由などで難しい場合には、子どもや親、兄弟姉妹といった近親者が務めます。 一般的な優先順位は以下の通りです。

1.配偶者

2.子ども(男性や年長者が優先されることが多い)

3.故人の両親

4.兄弟姉妹

5.その他の親族

ただし、血縁関係が近い人が喪主を務めなければならないわけではないため、事情に合わせて家族や親族で相談して決めると良いでしょう。

喪主は複数人でもよい

1人で務めるのは不安がある、1人に決めるのが難しいなどの場合には、単独ではなく複数人の連名で行っても問題ありません。

その場合は、金銭面の他、葬儀方法や誰が挨拶を行うか、また、葬儀社のスタッフが誰に指示を仰ぐのかなどをしっかりと話し合っておくことで、トラブルなくスムーズに進めることができるでしょう。

故人に家族や親族がいない場合の喪主は?

故人に家族や親族がいない場合は、友人や知人が喪主を務めることもあります。例えば、特に親しくしていた友人や、所属していたコミュニティーの代表などです。また、喪主を引き受ける方がいないときには、後見人やお寺の住職が喪主を代行することもあります。

なお、全く身寄りがなく、喪主の代理になる人もいない場合は、葬儀は行われずに火葬されます。遺骨は一定期間保管され、引き取る方が現れない場合は、無縁塚に埋葬されるのが通常の流れです。

身寄りがなく「無縁仏(むえんぼとけ)」となった方の供養については、こちらで詳しく解説しています。

年間8000柱超え、増加する無縁仏とその対処法

喪主の心得と負担の軽減方法

ここまで書いた通り、喪主には多くの役割があります。そのうえで、身近な人を亡くした悲しみを抱えたまま、短期間でさまざまな判断を下さなければならず、大きな負担となることも少なくありません。

しかし、葬儀で最も大切なのは、心を込めて故人を偲ぶことです。そのためにも、喪主としての役割を果たしながら、形式にとらわれすぎず、できるだけ無理をせずに、負担を軽減できる方法を考えておくことが大切です。ここでは、周囲の協力を得ながら、心のこもった葬儀を行うための工夫について紹介します。

家族や親族と仕事を分担する

喪主でなくてもできることは多くあります。親族への連絡、手書き書類の準備、香典返しの準備など、家族や親族と分担することで、喪主の負担を大きく軽減できるでしょう。無理なく協力し合いながら進めることが大切です。

葬儀社のサポートを活用する

葬儀社によっては、各種手続きや葬儀全体のアドバイスだけでなく、香典返しの選定や発送、遺品整理のサポートなどを行なっているところもあります。こうしたサービスを上手に活用することも、喪主も含めた遺族の負担軽減につながります。

負担のない葬儀方法を選ぶ

近年では、葬儀後の負担を減らすために、葬儀と一緒に初七日や四十九日法要まで済ませる「繰り上げ法要」を行うことや、香典を辞退する、香典返しを当日返しにするなどの方法を取ることも珍しくありません。また、家族葬など、規模を抑えた形式を選ぶことで、喪主や遺族の精神的・経済的な負担を軽くすることもできます。

無理せず、心を込めて故人を送り出せるよう、家族と相談しながら、自分たちにあった方法を考えると良いでしょう。

事前準備できることは少しずつ進めておく

いざという時に慌てないために、事前に準備できることもあります。例えば、どのような葬儀にしたいか家族で話す機会を作る、信頼できる葬儀社を探しておく、万が一の時に知らせて欲しい人のリストを作り家族と共有しておく、喪主になる人を相談しておくといったことを、少しずつ進めておくのも良いでしょう。

まとめ

喪主は、葬儀全体の責任を担い、心を込めて故人を送り出す大切な役割を果たします。

しかし、大切な人を亡くした直後は、深い悲しみの中で冷静に物事を判断するのが難しいこともあるかもしれません。それでも、後悔のない形で見送るためには、できるだけ早く喪主を決め、みんなで協力して必要な手配を進めることが大切です。

人は誰しも最期を迎えます。だからこそ、万が一に備えて相談し、あらかじめ決めておくと安心です。家族の最期について話し合うことは、今をどう生きるかを考え、家族の絆を確かめる機会にもなります。まずは、終活について話題にするところから始めてみてはいかがでしょうか。

葬儀の準備からの流れや、葬儀のマナー、万が一への備えについて詳しく解説している記事もございます。 自宅で簡単に終活の基本が学べる動画もご用意していますので、ぜひご覧ください。