お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
いまさら聞けない正しい迎え盆のやりかたについて解説します
故人やご先祖様が自宅へ戻ってくるお盆。お墓参りに行ったり、親族が集まったりして、みんなで故人を偲ぶ機会でもあります。お盆は4日間あり、その過ごし方は地域や家庭によって様々です。一般的には4日間のうち最初の日を迎え盆、間の2日間を中日、最後の日を送り盆と呼び、それぞれの日に合わせて準備をします。
今回は、お盆の最初の日である迎え盆のための準備や、迎え盆のやり方をご紹介します。お盆には普段と違う特別な飾り付けをしますが、それぞれに意味があります。これまでは毎年なんとなくお盆を過ごしてきたという方も、いつも家族が準備をするのを見ているだけという方も、そして毎年自分で準備をしているという方も、ぜひ参考にしてください。
そもそも迎え盆とは
迎え盆とは、お盆の初日、8月13日のことをいいます。お盆の正式名称は盂蘭盆会(うらぼんえ)といい、元々は旧暦の7月15日を中心に行われていた仏教行事でした。新暦が普及するとともに8月13日から8月16日までをお盆とするのが一般的になりましたが、現在も一部の地域や家庭では7月13日から7月16日までをお盆としています。迎え盆は、自宅に故人やご先祖様を迎え入れる大切な日です。無事に戻ってこられるように、しっかり準備をしてお迎えしましょう。
迎え盆のために準備すること
お盆に法要を行ったり、読経をしてもらったりする場合は、事前にお寺へ依頼をしておく必要があります。特に自宅に来てもらう場合は、希望の日時に来てもらうためにはできるだけ早く依頼しましょう。自宅では、迎え盆のために盆棚の準備をします。盆棚は、ご先祖様の霊をお迎えするためにお供えやお盆飾り、仏具と一緒に位牌を安置するもので、精霊棚とも呼ばれています。地域によって異なりますが、一般的には下記のものを用意します。
-小さな机
-真菰(まこも:イネ科の植物)で編んだ敷物
-牛と馬の飾り物
-笹竹
-真菰縄
-蓮の葉、ユリなどの盆花
-お供え物
これらを準備したら、下記のようにして設置します。
1.まずは机の上に真菰の敷物を敷き、四隅に笹竹を立てます。
2.真菰縄を張り、ほおずき、そうめん、昆布などを吊るします(ほおずきは盆提灯の代わりに飾ります)。
3.盆提灯を用意している場合、盆棚の左右に対になるように配置します。
4.位牌を中央に安置し、お供え物、盆花などを並べます。精霊馬(しょうりょうま)と呼ばれるきゅうりで作った馬とナスで作った牛を備えたら完成です。
精霊馬とは、ご先祖様があの世とこの世を行き来するために乗るものとして用意します。牛は、その際に荷物を載せるために連れているとされています。
迎え盆のやり方を細かく解説
お盆の最初の日である迎え盆には迎え火、最終日である送り盆には送り火をするというのが一般的です。ここからは迎え火と送り火のやり方を解説していきますが、それぞれ地域や宗派などによっても違いますので、ここでは今回は一般的な方法をご紹介します。
迎え火のやり方
迎え火に必要なのは、オガラと焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きのお皿です。もともとは、お盆の最初の日である13日に、お墓で焚いた迎え火の火種を盆提灯などで持ち帰り、自宅での迎え火として焚く、という方法で行われていました。しかし、お墓から火種を持ち帰ることが難しい場合もあるため、現在は自宅で火を用意して迎え火をするのが一般的です。迎え火は、焙烙の上にオガラをのせ、火をつけて焚きます。そして盆提灯を玄関や仏壇の近くに置きます。ご先祖様は、燃えているオガラの煙に導かれてやってきます。
送り火のやりかた
お盆の最後の日である16日には、送り火を焚いてご先祖様をお見送りします。迎え火を焚いたのと同じ場所で、迎え火と同じように焙烙の上でオガラに火をつけます。昔は川や海の向こう側にあの世があると考えられていたことから、海や川に送り火を流すという地域もあります。送り火の行事として有名なものに、長崎の精霊流しや奈良の大文字送り火、京都の大文字などがあります。これらの行事は、15日に行われるものや16日に行われるものなど、それぞれ日にちも違います。ご自身の地域でも、何か特別な風習がないかどうか確認してみると良いでしょう。
お盆の飾りは、送り火が終わってから片付けます。初盆の場合、使用した白提灯は送り火の時に燃やすというのが一般的です。ただし、現在は燃やすのが難しい場合も多いため、その場合は菩提寺にお焚き上げを依頼すると良いでしょう。
まとめ
迎え盆について解説しました。お盆の準備や習慣は地域や家庭によって大きくことなりますが、ここでは一般的な伝統に沿ったやり方をご紹介しました。一年に一回、故人やご先祖様を自宅にお迎えする大切な時間であるお盆。もちろん正しい方法で過ごすのは大切なことですが、何よりも大事なのは、先祖を偲ぶ気持ちです。ご先祖様のことを思い出しながら、しっかり準備をしてお盆を迎えましょう。