お役立ちコラム お墓の色々

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死化粧はいつ誰が行うの?〜タイミングや注意点、費用について解説します〜

葬祭基礎知識

死化粧はいつ誰が行うの?〜タイミングや注意点、費用について解説します〜

納棺の前に、故人の姿を整えて化粧をほどこす「死化粧」。故人を安らかな姿に整えることは、遺族が心穏やかに故人を見送るためにも大切にされています。

とはいえ、実際にいつ誰が行うのか、遺族がしてあげることができるのかなど、具体的には知らないと言う方もいらっしゃると思いますので、死化粧の概要や、行う際の注意点、費用などについて解説します。

死化粧とは

死化粧(しにげしょう)とは、故人ができるだけ生前のように安らかに見えるよう、表情や身だしなみを整えたり化粧を施したりすることで、「死に化粧」と表記したり、「エンゼルメイク」とも言われたりもします。化粧だけではなく、髪や爪を整えたり、髭や産毛を剃ったり、また、表情がやつれてれば、頬に膨らみを持たせるために口に綿を含ませることもあります。

死化粧をほどこすことによって、生前からのイメージを壊すことなく弔問客と対面することもできますし、旅立ちに際して身だしなみを整えることは、故人の尊厳を守ることにもつながります。

お別れの時に苦しみの跡が見えると、「苦しんだんだ・・・」「もっと、してあげられることがあったのでは・・・」など悲しみや後悔も大きくなりますが、最期に故人の顔や体をきれいに整え、故人の安らかな顔を見ることができると、大切な人を亡くした悲しみが少し軽くなり、安心して見送ることができます。このように死化粧は、遺族の気持ちを癒し慰める「グリーフケア」の役割も担っていると言えるでしょう。

死化粧のタイミングは?いつ誰が行うの?

死化粧は、故人が亡くなってから納棺までの間に行われます。以前は遺族の手でほどこされることが一般的でしたが、現在では病院や施設のスタッフ、葬儀社のスタッフや納棺師などによって施されることが増えています

病院や施設で亡くなった場合には、遺体を安置する前に、エンゼルケアの一環として行われることが多いようです。エンゼルケアとは、医療器具の取り外しや傷の手当て、故人の全身を拭いて清潔にする清拭(せいしき)、着替えなど、遺体の身なりを整える処置全般のことを指します。他のケアと合わせて、死化粧まで看護師や施設のスタッフによって行われるのが一般的ですが、希望すれば遺族が一緒に行える場合もあります。

病院や施設で死化粧を行っていない場合やご自宅で亡くなった場合には、葬儀社のスタッフや納棺師、遺族が行います。納棺の前に故人のお体をお湯で洗い清める「湯灌(ゆかん)の儀」を行い、その一環として死化粧が施される場合もあります。葬儀社や納棺師に依頼した場合も、希望すれば遺族が死化粧を一緒にできる場合があります。

また、通常の葬儀ではあまり利用されることはないかもしれませんが、ご遺体を整える手法には、ご遺体を長く衛生的に保存するための防腐処置を施し、修復も行う「エンバーミング」という方法もあります。エンバーミングは、専門の資格をもったエンバーマーが専門の施設にて行うため、ご遺体の処置後、衣服や身だしなみを整え、死化粧や納棺まで行われたのち、葬儀社やご自宅に運ばれるのが一般的です。

死化粧と、エンゼルケア・湯灌の儀・エンバーミングにては、こちらで詳しく解説しています。
死化粧など故人の姿を整えるエンゼルケアとは?湯灌やエンバーミングとの違い
湯灌の儀とは?意味や歴史、流れについて解説します

死化粧は自分や家族にもできる?

死化粧を行うにあたって特別な資格は必要なく、遺族が行うこともできます。

ただ、ご遺体の扱いについては、感染症などに注意を払う必要があることに加え、自分が行うメイクとは勝手が違ったり、顔色を整えるのが難しかったりするため、葬儀社のスタッフなど専門家の指示の元で行うと安心です。また、前述のように、エンゼルケアや湯灌の儀など、病院や葬儀社などで行うケアや儀式に死化粧が含まれている場合もあるため、遺族で死化粧を行いたい、死化粧に立ち会いたいというときには、事前に病院や施設、葬儀社に相談しておくと良いでしょう。

死化粧に関わる注意点

遺族としての希望があれば伝えておく

死化粧やご遺体のケアを専門家に依頼する際、宗教上の理由や慣習などによる希望や、化粧や髪型に関わる希望などがある場合には、事前に伝えておくようにしましょう。
故人の最期の姿が、「自分たちのイメージと違う」「ああしてあげればよかった」となると、心残りができてしまいます。些細なことでもしっかりと伝えることが大切です。口頭で伝えるのが難しい場合は、生前の表情がよくわかる写真を準備しておくのも良いでしょう。

納棺までの流れや費用を事前に確認しておく

故人が亡くなってから納棺までに行うご遺体のケアやその費用は、亡くなった時の状態や場所、どこにどのように依頼するかによって大きく変わります。知らない間に終わっていたという事にならないよう、病院や葬儀社などに早めに確認をとってどのようにするか決めていくと良いでしょう。

死化粧に使った化粧品は、その後使用しない

感染症リスクを考慮して、ご遺体に使用する化粧道具は使い捨てにしましょう。故人が愛用していた化粧品を使うと、いつもの雰囲気に近づきやすく良いようです。いつも使っていたものなら、使用後に棺の中に入れてあげてもいいかもしれません。

薄化粧にし、保湿をしっかり行う

遺族で死化粧を行う際は、化粧の濃さや肌の乾燥に気を配りましょう。
死化粧は、故人を生前のイメージに近づけて安らかに見えるようにすることが目的なので、自然に見える薄めの化粧にすると良いでしょう。とはいえ、「こうしなければならない」という決まりがあるわけではありません。派手にならない範囲であれば、生前の故人の好みに合わせて、つけまつげやマニュキアを使用しても問題ありません。

また、ご遺体の肌は非常に乾燥しやすいため、保湿が肝心です。オイルや乳液で保湿をすると化粧を施しやすくなります。また、ファンデーションはリキッドタイプやクリームタイプを使用すると肌に馴染みやすいようです。

死化粧に関わる費用

病院で行う場合は、3,000〜15,000円程度が相場と言われています。病院によって、必要最低限のメイクのみ施すところや、手厚く施してくれるところなど、仕上がりに違いがあります。また、故人が亡くなった後の処置が無料の病院や、必要な処置すべてに費用がかかる病院、死化粧については提携先の業者に依頼するという病院など、対応や料金設定もさまざまです。

葬儀社に依頼したときは、5〜6万円程度と言われていますが、この場合も、料金設定の仕方は会社によって様々です。ご遺体の状態によっても費用が変わることがありますし、死化粧だけというプランが設定されていない場合もあるため、事前の確認が大切です。

遺族が死に化粧をするときは、費用はかかりませんが、化粧品・化粧道具といった物品の準備が必要です。

まとめ

昔は死化粧を遺族の手で行うことが当たり前でした。時代とともに形は変わっていきますが、ご遺体を整えて見送ることは故人をねぎらう心の表れであり、故人に対して最初に行う供養とも言えるかもしれません。

死化粧は、故人に安らかに旅立ってもらうというだけでなく、残された遺族が大切な人を亡くした悲しみを受け入れ心を整えていくためにも大切な行為です。また、故人に触れる最後の時間にもなります。この機会に死化粧について知っていただき、いざという時に心のこもった見送りができるよう、どうしたいか、どうして欲しいかを大切な人と話してみてはいかがでしょうか。

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