お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

通夜の会食・通夜振舞いのマナーを知ろう

葬祭基礎知識

通夜の会食・通夜振舞いのマナーを知ろう

通夜式の後の会食のことを、通夜振舞いと言います。地域や宗教によって違いがありますが、通夜が終了したのち、遺族が別室で弔問客に料理やお酒、お茶を振る舞う慣習です。故人や遺族との関係性によっては通夜振舞いに参加するべきかどうか悩んでしまう人もいるかもしれません。お断りする場合でも参加する場合でも、マナーを知っておくと、失礼に当たることなく、故人への感謝や哀悼、遺族へのねぎらいの気持ちを表すことができます。今回は、通夜振舞いの席でのマナーをお話します。

通夜振舞いの意味

通夜振舞いには2つの意味があります。ひとつは、会食を通して故人を偲び、思い出話をすることで個人への弔いとすること。もうひとつは、喪家(もけ・そうけ)から僧侶や弔問客への感謝の気持ちを表すことです。

通夜振舞いに参加するのはどんな人?

地域によって違いがあると言われていますが、主に関東では親族に加えて故人の仕事・学校関係、近所の人など基本的に参列者全員に食事を振る舞います。対して関西では、親族や近親者のみで通夜振舞いを行うことが多いようです。また、通夜振舞いを行う慣習がないという地域もあります。その他宗教によっても慣習が異なります。

通夜振舞いに誘われたら

通夜振舞いがある場合は通常、通夜の最後に喪主や葬儀社のスタッフから通夜振舞いの案内を受けます。案内される前に勝手に会場に入るのはマナー違反なので、案内に従って別室の会場へ向かいましょう。故人や遺族との関係性によっては、参加を迷ってしまうこともあるかもしれませんが、通夜振舞いへの案内を受けたら参加するのがマナーです。通夜振舞いの席でお食事をいただき、故人を偲ぶことでお悔やみの気持ちを表すことになるとされているからです。

時間がない場合も、できるだけ辞退せず、お食事に箸をつけることがマナーとされていますので、一口でも箸をつけてから機を見て退出するほうがよいでしょう。都合によりどうしても参加が難しい場合はやむを得ない事情があると伝えて丁重にお断りし、目立たないように退席します。

通夜振舞いは最後までいなくてはいけない?

かつては夜通し行われるのが習わしだった通夜振舞いですが、近頃では通夜自体の時間短縮に伴い1~2時間と短く切り上げるのが主流になってきました。しかし、最後まで着席していなくてはいけないなどということはなく、故人や遺族との関係性にもよりますが、喪主の閉式の言葉を待たずに30分ほどで退席しても良いとされています。あまり長居しすぎると、遺族の負担にもなりますので、遺族への挨拶をすませ、故人の思い出を語り合い少しお食事やお茶をいただいたら滞在時間としては十分と言えるでしょう。途中で退席する場合は「お先に失礼します」と両隣の人に声をかけて退席しましょう。

通夜振舞いの際の席順

通夜振舞いの席には、明確な席順といったものは設けられておらず、会場に通されたら空いている席に座ります。ただ、故人の写真の近く、上座と言った重要な席には僧侶が、その横に親族が座るのが通例です。親族の中でも、年配者が上座に近い席に座ります。あとは故人との関係性や滞在時間によって席を選ぶと良いでしょう。親族以外であれば、親族が集まって座っている中に座るのは避けるべきです。また、滞在時間が短いようであれば会場の奥に座らず、会場を出やすい場所に座る方が無難です。

子連れで通夜振舞いに参加する場合

まずは通夜振舞い以前に、通夜に子どもを連れて参列する場合は事前に遺族に連絡しておくことをおすすめします。通夜振舞いに子どもを連れて参加する場合は、いくつか持参すると良いものがあります。

座布団の上に乳児を寝かせるなどという場合は、おくるみなど敷物にできるものを持参すると良いでしょう。また、子どもが食事をこぼしたりすることも考えられるので、膝の上に敷いたりできるような大判のハンカチや、万が一こぼした際に拭くものを用意しておくと良いです。

ただ、食事用エプロンや子ども用食器などは、あたかも食事をいただくつもりで通夜に参列したかのように思われてしまうこともあるので、持ち込まない方が無難です。その他、場の雰囲気や子供の体力も考慮しながら、様子を見て早めに退出すると良いかもしれません。

通夜振舞いの席でお酒は必須?

通夜振舞いでは、お料理と共にお酒が振る舞われる場合があります。一般的に遺族がお酒を注いで弔問客を回りながら挨拶をします。遺族からのお酒の勧めですが、お酒が飲めない場合は断っても構いません。その場合は「車で来ているので」「体質的にお酒が飲めない」と言った旨を申し添えて、丁重にお断りしましょう。

通夜振舞いで避けるべき行動

乾杯

乾杯とは、慶事や祝いの席で、場を盛り上げるために行われます。そのため、通夜振舞いの席では望ましくありません。弔事では、故人への敬意と哀悼を表し手杯を捧げる「献杯」を行うことが多いです。通常乾杯では杯を高く上げて、場合によっては参列者同士で杯を合わせるといったことがありますが、献杯では胸より高く杯を上げることはせず、杯を合わせることもありません。また、発する言葉も語尾を伸ばしたり、大きな声を出したりすることもしないのがマナーです。

遺族と話し込む

遺族は弔問客に挨拶をして回るだけでなく、料理や飲み物の状況など、気を配らなくてはいけないことが多くあります。そのため、挨拶に回ってきてもらった際にはできるだけ引き留めないことが大切です。お悔やみの言葉と遺族へのねぎらいの言葉、故人の思い出話を多少する程度にとどめます。遺族との面識がない場合は、故人との関係性を述べたうえで話し始めると良いでしょう。

大声で話す、笑う、飲みすぎ食べすぎ

大切な人を失った悲しみの中でも気丈に振る舞い、笑顔を見せる遺族もいるかもしれませんが、あくまでもお悔やみの場であることを意識しましょう。酔っぱらうほどお酒を飲みすぎるのも不適切ですので、お酒はほどほどにします。お食事も遺族から「たくさん召し上がってください」と言われたとしても、あまり食べすぎるのも場の雰囲気にそぐわないことが多いので注意したいところです。あくまでも、宴会ではなく故人を偲ぶ席であることを忘れないことが大切です。

忌み言葉を使う

遺族や親族との会話の際に気をつけたいのが「忌み言葉」です。生死に関した直接的すぎる表現や、不幸が続くことを連想させる弔事にはふさわしくない言葉で、通夜や葬儀などでは使用を控えたほうが良いとされています。

具体的には「死亡」「ご存命中」といったような直接的な言葉や「離れる」「終わる」「去る」といったような不幸や死を連想させる言葉、不幸ごとが繰り返されるイメージを抱かせる「わざわざ」「たまたま」「益々」といったような重ね言葉は避けましょう。

また、宗教上の忌み言葉も存在します。仏式葬儀では「浮かばれない」「迷う」、神式やキリスト教式葬儀では「成仏」「供養」「冥福」「往生」といった言葉が忌み言葉だとされています。

死因を尋ねる

大切な人が亡くなったばかりで、遺族は深い悲しみの中にいます。現実を受け止めることがまだまだ難しい中で、最期の別れの場を執り行うために気丈に振る舞っています。そんな遺族の気持ちに配慮して、生前の病状や死因を尋ねることはしないのがマナーです。遺族から直接死因を聞いた場合でも、他の参列者には伏せておくべきだとされています。

故人に関係ない話をする

通夜振舞いは、故人の思い出話をしながら偲ぶ場です。仕事で関わりのある人と顔を合わせたり、長年の知人と再会したりすることもあるかもしれませんが、名刺交換や遊びの約束など、故人に関係ない話はご法度です。

通夜振舞いのマナーを守って故人を偲びましょう

通夜振舞いは、故人との最後のお別れを前に、故人へ想いを馳せ、故人とのご縁に今一度感謝しながら送り出す時間です。通夜振舞いの意味や遺族の気持ちを考えることによって、どのような振る舞いが望ましいかがイメージしやすくなるでしょう。遺族への思いやりを忘れず、故人に敬意をもってお見送りしたいものですね。

その他通夜や弔事のマナーについて、まとめた記事もありますので、あわせてご覧ください。
「お悔やみの言葉」文例集~通夜・葬儀でのお悔やみの言葉の使い方を解説します〜
葬儀でのNGワードを知っておこう~使ってはいけない「忌み言葉」や言い換え例を紹介します〜
通夜や葬儀に子どもを連れて参列しても大丈夫?~判断基準や基本マナーについて~
通夜・葬儀に参列する際の持ち物リスト~所持品のマナーも紹介~
通夜・葬儀にふさわしい化粧とは?~葬儀の際の基本のメイクマナー~