お役立ちコラム お墓の色々

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葬儀でのNGワードを知っておこう〜使ってはいけない「忌み言葉」や言い換え例を紹介します〜

葬祭基礎知識

葬儀でのNGワードを知っておこう〜使ってはいけない「忌み言葉」や言い換え例を紹介します〜

冠婚葬祭の場において、相応しくないために使用を控えるべきとされている言葉のことを、「忌み言葉」と言います。通夜や葬儀などのお悔やみの場においても気をつけるべき忌み言葉があり、遺族の気持ちに寄り添うだけでなく社会人としてのマナーを守る意味でも、参列者側、喪主・遺族側の両方の立場において注意が必要です。ここでは、忌み言葉を避ける理由と合わせて、具体的なNGワードや言い換え例を紹介していきます。いざという時のためにも、一度目を通して、マナー違反や相手に失礼となる言動を避けられるよう確認しておきましょう。

「忌み言葉」とは

前述の通り「忌み言葉」とは、冠婚葬祭の場において相応しくないとされ、使わない方がよいとされている言葉のことです。「忌詞」「忌言葉」「忌み詞」と呼ばれることもあります。

日本では古来より「言霊(ことだま)」という考え方があり、縁起の良い言葉は幸せを呼び、逆に縁起の良くない言葉は災いを呼び不幸につながると考えられてきました。そのため、不吉な事柄を意味する言葉や縁起が良くない言葉は口にしないよう避けるという風習が広まったと言われており、これが「忌み言葉」の由来とされています。

特に冠婚葬祭は、人生における重要な場面となるため、相手を気遣い「忌み言葉」を避けた丁寧な言葉遣いが、社会人としてのマナーとなっています。

「忌み言葉」や言い換えを知っておくべき理由

遺族を傷つけないため

まず配慮すべきことは、残された遺族や関係者を傷つけないということです。
遺族は、大切な方を亡くされた悲しみの中にあります。茫然自失とされている方もいらっしゃるかもしれません。
お悔やみの場では、故人の死を悼み、悲しみに暮れるご遺族の心に寄り添うことが一番大切です。悲しみに暮れるご遺族に対して、傷つけたり余計な負担をかけたりしないよう、避けるべき言葉、ふさわしい言葉遣いを知っておくことが大切です。

社会人としてのマナーのある立ち振る舞いをするため

マナーとは、お互いが気持ちよく過ごすために、それぞれの場面でしかるべきとされる行儀作法で、その場にいる方々に気を配る行為とも言えます。
忌み言葉を知って、避けたり言い換えたりすることは、お悔やみの場でのマナーの一つであり、参列者側の立場でも、喪主・遺族側の立場でも、その場にいる方々に心を配り、安心して故人とお別れができる場を作ることにつながるのです。

また、事前にこのようなマナーを知って準備しておくことで、失礼のない行動ができ社会人としての信頼も得られますし、常識がない人だと思われてしまうことも避けられます。

忌み言葉とその言い換え

具体的に、忌み言葉の種類と言葉、言い換えの例を紹介していきます。

「生死」を直接的に連想させる言葉

生死を直接的に連想させる言葉や表現は、ご遺族を傷つけたり不快な思いをさせてしまったりすることがあるため言い換えが必要です。

・死亡・死ぬ → 亡くなる・逝去(せいきょ)・他界
・急死 → 突然のこと・急逝(きゅうせい)
・生きていた・生きている時・生存中 → ご生前・お元気な時・お元気だった頃・お元気でいらした頃

<例文>
「急死と伺い、いまだに信じられません。」→「このたびは突然のことで、いまだに信じられない思いです。」
「生きておられた頃は大変お世話になりました。」→「お元気でいらした頃には大変お世話になりました。」

不吉とされる言葉

以下の言葉も、不吉、縁起が良くないとされています。言い換えることは難しいため、使わないように気をつけましょう。

つらい・苦しい・浮かばれない・消える・落ちる・迷う・終わる・切れる・とんでもないこと・四苦八苦・七転八倒

数字については、四(し)は「死」を、九(く)は「苦」を連想させるため、なるべく使わないようにします。どうしても使う必要がある場合には、読み方を変える、書き言葉の場合は数字で書くなどの配慮しましょう。

・四(し)→ よん・よっつ・4
・九(く)→ きゅう・ここのつ・9

不幸が重なることを連想させる「重ね言葉」

同じ言葉が繰り返される表現は、「重ね言葉」とも言います。日常で使うことも多いのでつい言ってしまいそうになりますが、不幸が重なることを連想させてしまうため注意が必要です。
複数の意味合いを持つ言葉もあるので、場面や文脈によって言い替えられると良いでしょう。

・重ね重ね → 深く・加えて
・度々・たびたび → よく・いつも・何度も
・次々・つぎつぎ → たくさん・立て続けに・休みなく
・重々 → 十分に・よく・どうぞ・改めて
・益々・ますます → もっと・さらに・一段と・より一層の
・近々・ちかぢか → 近いうちに
・時々・ときどき → たまに・時折
・くれぐれも → 十分に・よく・どうぞ・どうか・改めて
・返すがえすも → 本当に・まことに・思い起こせば・振り返ると
・いよいよ → ついに・さらに・一段と
・だんだん → 少しずつ
・しばしば → よく・いつも
・いろいろ → 多くの・多様・多彩な・たくさんの
・たまたま → 思いがけず・珍しく・偶然
・つくづく → 心から
・わざわざ → あえて・そのために
・ぜひぜひ → ぜひとも・ぜひ
・どんどん → たくさん・たっぷり・積極的に
・日々 → 毎日
・みるみる → 見るまに
・さまざま → 多様
・もともと → 元来・元は・はじめは
・まだまだ → まだ・もっと・より
・とうとう → これから・ついに

<例文>
「重ね重ね感謝いたします。」→「深く感謝申し上げます。」
「まだまだ一緒に過ごしたかったのですが・・・」→「もっと一緒に過ごしたかったのですが・・・」
「くれぐれもお体にはお気をつけてお過ごしください。」→「どうぞお体にはお気をつけてお過ごしください。」

不幸が続くことを連想させる言葉

重ね言葉と同様、繰り返されることを連想させる言葉も言い換えるようにします。

・追って → 後ほど、同様に
・繰り返し → 深く・しきりに
・再び・再度 → 改めて・今一度
・何度も・再三 → 頻繁に・大変多く
・また → さらに・今一度・その他に
・次に → その後・新たに・別の機会に
・続いて・続けて → 同じく・同様に
・続く → 拡がる・保つ・保持する
・引き続き → これからも
・重ねて → 本当に、誠に・深く
・もっと → 一段と・その上

<例文>
「追ってご連絡いたします。」→「後ほどご連絡いたします。」
「引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。」→「これからも、どうぞよろしくお願いいたします。」

宗教によって避ける言葉

ここまでは、どの宗教でも共通して避ける方が良い言葉を紹介してきましたが、宗教ごとに注意すべき言葉もあります。これは、宗教や宗派によって、死に対する捉え方や考え方が異なるためです。

仏教

仏教では、故人の魂が無事に死後の世界と言われる冥界(冥土)へ行き成仏(仏様として生まれ変わること)するという考え方があるため、以下のような成仏できないことを連想させる言葉は使わないようにします。

・浮かばれない・浮かばれぬ・迷う

また、仏教の中でも浄土真宗では、「人は亡くなるとすぐ極楽浄土に往生する(仏様として生まれ変わる)」とされ、冥界(冥土)へは行かないという考え方があるため、「冥福」という言葉を使いません。

<例文(浄土真宗の場合)>
「ご冥福をお祈りいたします」→「お悔やみ申し上げます」

神道

神道では、葬儀のことを「神葬祭」といい、死者の御霊(みたま)を神として祀るとための儀式とされています。このように、仏教とは考え方が大きく異なるため、一般的な忌み言葉の他に、以下のような仏教用語も使いません。

・冥福・成仏・供養・焼香・往生・弔う・あの世

また、故人の御霊は家にとどまり、その家の守り神になるとされていることから、神道特有の表現もありますので、それも合わせて例文を紹介しておきます。

<例文>
「ご冥福をお祈り申し上げます。」→「御霊(みたま)のご平安をお祈り申し上げます。」
その他、「ご愁傷さまでございます。」「謹んでお悔やみ申し上げます。」「胸中お察しいたします。」なども使うことができます。

キリスト教

キリスト教では、人の死は「神のもとに召される喜ばしいこと」という意味を持ち、葬儀も神に感謝し故人を偲ぶ式典と考えられているため、亡くなったことを悔やむ言葉を使いません。また、神道と同様、仏教における言葉も使いません。

・お悔やみ・冥福・成仏・供養・焼香・往生・弔う・あの世

ネガティブな表現を避け、「安らか」「平安」「旅立ち」などのように、個人の安らかな眠りを祈る表現を使うようにします。

<例文>
・「心からお悔やみ申し上げます。」→「安らかに眠られますよう、心よりお祈り申し上げます。」

仏教と神道・キリスト教についてはお墓の違いについてもまとめています。
神道と仏教のお墓の違い
キリスト教と仏教のお墓の違い

その他、遺族の負担になるために避けるべき言葉や表現

悲しんだり落ち込んだりしている時には、励ましの言葉や、後悔を感じさせる言葉が負担となってしまうことがあります。「忌み言葉」と言われているものではありませんが、以下のような内容を話すことも控えるようにしましょう。

・頑張ってください
・元気を出してください
・あの時こうしていれば・・・

<例文>
「頑張ってください」→「どうぞお体にはお気をつけてお過ごしください。」
「元気を出してください」→「心をしっかりとお持ちになって、お体をこわされませんようご自愛くださいませ。」

まとめ

今回は、具体的な忌み言葉や、言い換えの例をご紹介しました。これらは、マナーとして覚えておくと良いですが、あまり神経質になる必要はありません。言い回しを気にしすぎることで、かえって言葉に詰まったり違和感のある表現になってしまったりと、思いがしっかり伝わらなくなってしまうこともあります。
もし間違った言葉が出てしまったとしても、心を込めて伝えていれば、その思いは届くものです。目の前の人の気持ちに寄り添うことを心がけましょう。


お悔やみの言葉に関わるマナーや例文についてはこちらでも詳しく紹介しています。
通夜や葬儀の場にふさわしいお悔やみの言葉とは〜マナーやNGワードを紹介〜

お悔やみをメールやメッセージで送ってもいい?マナーや送り方を解説

「お悔やみの言葉」文例集〜通夜・葬儀でのお悔やみの言葉の使い方を解説します〜

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