お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

数珠の色に意味や気をつけるべきマナーはある?数珠の素材について詳しく解説します

葬祭基礎知識

数珠は、葬儀や法事だけでなく、日常のお参りや心を整える場面でも寄り添ってくれる大切な仏具です。故人や仏様と私たちの「縁」を結ぶものとも言われ、その役割はとても奥深いものです。

近年は、お店やオンラインショップで手軽に購入できるほか、オーダーメイドで自分だけの一本を作ることもできます。また、お葬式やお墓参りには不適当とされていますが、数珠ブレスレット(腕輪念珠)をお守りやファッションとして普段から着用している人もよく見かけます。

しかし、いざ数珠を購入しようとすると、種類や色、素材が実に多く、「どれを選べばいいの?」「色に意味はあるの?」「どんな色でも大丈夫?」と迷ってしまう方も多いでしょう。

今回は、数珠の種類や素材ごとの特徴、色にまつわる考え方などをわかりやすく解説します。

これから数珠を選ぶ方が、自分に合う一本を見つけられるよう、参考にしてみてください。

数珠とは?

数珠は「玉」と「房」で構成され、故人の冥福を祈り、成仏を願う気持ちを表すために使います。

玉一つひとつを静かに操ることで心を落ち着かせ、故人への思いを深められるとされています。珠(玉)を数えるということで数珠(すず)、念仏を唱えるときの珠という意味で念珠(ねんじゅ)とも呼ばれます。

また、

・仏様と心を通わせるための道具

 ・魔や厄災を遠ざけ、福を呼び込むもの

としても重宝されてきました。

数珠には 男性用・女性用 があり、さらに

 ・本式数珠

 ・略式数珠

の2種類に分かれます。

男性用と女性用の違い

男性用と女性用は玉の大きさに違いがあります。

 ・男性用:10〜12mm

 ・女性用:6〜8mm

 ・子供用:さらに小さめ

本式数珠(正式数珠)

本式数珠は玉が108個使用されており、いずれの宗派も二連になっています。

男性は約54cm、女性は約24cmが一般的です。

本式数珠は宗派ごとに定められたものがあるため、購入前によく確認しましょう。

略式数珠(片手念珠)

略式数珠は、宗派を問わずに使用できます。ブレスレットのように一連になっており、玉の数は男性用22個、女性用37〜43個が一般的ですが、特に決まりはありません。

数珠の持つ意味や起源に関してはこちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。

数珠の意味とは?どんなものを選ぶといいの?

数珠はどんな色でも大丈夫?

結論からいうと、数珠の色そのものに気をつけるべきマナーはありません。

基本的には、自分の好みや持っていて心地の良いものを選びましょう。ピンクや薄紫といった色でも特に問題ありません。

ただし厳密に言うと、宗派や地域によっては玉や房の色、素材などに決まりがあったり、葬儀や法事、慶事用や弔事用、故人が身内であるかどうかで使い分けたりするため、事前に確認しておくと良いでしょう。 後述で説明しますが、数珠の玉の素材は様々あり、色には意味があるものもあります。どの素材や色を選んだら良いのか迷っている方は、説明を参考にして選んでみてください。

数珠の素材

数珠の玉の素材は大きく以下の3種類に分かれます。

・天然木

・天然石

・その他の素材

天然木

軽くて手に馴染み、扱いやすい素材です。木の温もりが魅力で、長く使うと玉の表面に艶がでたり、色合いが変化したりする楽しみがあります。

代表的な素材:黒壇(こくたん)、紫壇(したん)、栴檀(せんだん)、柘植(つげ)、屋久杉(やくすぎ)、菩提樹(ぼたいじゅ)など

天然石(パワーストーン)

ひんやりとした触り心地とつややかな輝き、様々な色合いがあることが特徴です。石の意味やお守りの効果もあるとされています。

代表的な素材:水晶、アメシスト、ローズクォーツ、琥珀(こはく)、翡翠(ひすい)、瑪瑙(めのう)、ジェットなど

中でも、日本の国石でもある翡翠は古来より勾玉にもよく利用されていことから、その効果はお墨付きです。

翡翠については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

国鳥は「キジ」国花は「菊」…では、日本の国石は?

天然石(御影石・花崗岩)

祈珠(いのりじゅ)や縁添珠(よりそいじゅ)とも呼ばれる大切な故人やご先祖様が眠るお墓と同じ素材の石で作る数珠もあります。

「故人ともっと身近に」「ご先祖様に見守ってもらいたい」というような願いをカタチにした数珠で、遠方に住んでいるためお墓参りに行くのが難しい方や手元供養をお考えの方に人気です。

お墓きわめびとの会のオンラインショップでも万成石・庵治石・翡翠の数珠を販売しています。

ohakakiwame お墓きわめびとの会 オンラインショップ

その他の素材

珊瑚・真珠・貝・象牙・ガラス・アクリル・プラスチックなど

数珠の房

房の種類

数珠の玉以外の部分を「房」と呼び、主に4種類あります。

・切房(きりふさ):もっともベーシックでシンプル、装飾がない

・頭付房(かしらつきふさ):切房の上に丸い頭がついた形

・梵天房(ぼんてんふさ):丸い形で、ふわふわした菊梵天やきちんと編まれた梵天、小田巻梵天がある。紐がなく絡まないため子供も持ちやすい

・紐房(ひもふさ):太めの紐が下がった形で、男性用に多い

略式数珠はどんな形の房を選んでも問題ありませんが、本式数珠は宗派によって決まりがあるため、事前に確認しましょう。

房の色

房の色は、玉の色とのバランスを考慮し、同系色を選ぶと良いでしょう。玉の色と反対色(赤と緑、紫と黄色など)は、華美な印象を与え、悪目立ちしてしまう可能性があります。

宗派が分からない方は、最も多くの宗派で用いられる白色を選ぶと無難です。また、男性は茶色や黒、女性は白や紫を選ぶ方が多いです。

色のイメージと意味

数珠は、素材や色によって雰囲気が変わります。数珠がもつ意味合いや効果はそれぞれの素材によって変わってきますが、ここでは一般的な色のイメージや意味についてみていきましょう。

無色透明

性別、年代を問わず使え、シンプルながら上品で美しい印象になります。透明の数珠は女性が使うことが多く、古くから身を守る色として親しまれてきました。無色透明のため、房の色がアクセントとなります。

代表的な素材:天然石 水晶

水晶は数珠の定番素材なので、「どれを選べばいいか迷う」という方は、水晶を選ぶと安心です。

黒は古くから厳粛さを象徴する色として扱われ、法要などの場でもっとも落ち着いた印象を与えます。高級感や洗練された気品があり、素材が豊富です。黒い数珠は男性が使用することが多く、魔除けの意味を持つ色としても知られています。

代表的な素材:天然木 黒壇、紫壇

天然石 ジェット、ブラックオニキス、青虎目石

茶色

黒より重たすぎず、自然で温かみがあり男女問わずなじみやすい色です。茶色の数珠は男性が使用することが多く、魔除けの意味を持つ色として知られています。天然木の素材では、木目や香りも魅力的です。

代表的な素材:天然木 菩提樹、白檀、柘植、屋久杉

品格を感じさせる色で、落ち着いた華やぎがあります。古くから高貴な色とされ、女性が選ぶことの多い色です。魔除けの意味を持つ、悪いものを退ける効果がある色とも言われています。色の濃さや赤み、青みの強さで受ける印象が変わるミステリアスな色です。

代表的な素材:天然石 紫水晶(アメシスト)、ラベンダーアメシスト

ピンク

女性に人気の色です。柔らかさや温かさを感じさせる色で、穏やかな心をあらわす色として好まれてきました。優しさや思いやりを象徴するとも言われ、やわらかな雰囲気を求める方に選ばれています。ピンクといっても色の濃さや青みがかったもの、黄みがかったものなど幅が広いです。

代表的な素材:天然石 ローズクォーツ、瑪瑙、珊瑚

植物や自然を想わせる緑は、安らぎ、平穏の象徴として用いられてきました。近年、長寿のお祝いにも使われるようになりお祝いごとの色としても注目される色ですが、「悲しみ」や「落ち着き」を表現する色とも言われています。

代表的な素材:天然石 翡翠、グリーントパーズ

青系

青は古くから「澄んだ水」や「清らかな空」を連想させる色として親しまれ、心を静めたい場面や気持ちを整えたいときに選ばれることの多い色です。涼やかで落ち着いた雰囲気があり、控えめながらも品のある存在感があります。派手になりすぎず、性別や年代を問わず使用でき、浄化と魔除けの2つの意味がある色と言われています。

 代表的な素材:天然石 ラピスラズリ

仏教にまつわる色

仏教には、古くから大切にされてきた色や、それぞれの色に込められた意味があります。

数珠を選ぶ際にも、こうした色の由来や象徴を知っておくと、自分に合った一本を選びやすくなるかもしれません。

ここでは、代表的な仏教の色とその意味をご紹介しますので、色選びの参考にしてみてください。

七宝(しっぽう)

七宝とは、仏教経典に登場する七つの宝物を指す言葉です。 経典によって少しずつ色が異なりますが、七宝の数珠を選ぶと、悪いものから身を守ってくれる効果があるとされています。

例:

・無量寿経…金、銀、瑠璃、珊瑚、瑪瑙、玻璃(はり)、しゃこ

・法華経…金、銀、真珠、玫瑰(まいかい)、瑪瑙、瑠璃、しゃこ

玻璃は無色透明の水晶、玫瑰は赤色の宝玉、瑠璃はラピスラズリ、しゃこは白いシャコガイの殻や珊瑚のことです。

五色(ごしき)

仏教を開かれたお釈迦さまの教えを守り、仏の道を歩んでいく時の旗印となるもので、青(緑)、黄、赤、白、黒(紫)の5色です。(ただし、世界仏教徒会議で決められた正式な国際仏旗には、黒の代わりに樺色が使われています。)

袈裟や仏旗、仏具や寺院の装飾に多用されています。

五色については、こちらの記事で詳しく説明しています。

墓石の文字の色は選べる?色の種類や選び方のポイント、メンテナンスについてご紹介

まとめ

数珠の色に気をつけるべきマナーはないため、基本的には好きなものを選んで問題はありません。色や素材、形にはそれぞれの意味や魅力があり、数珠は選ぶほどに奥深さを感じられる仏具です。自分の手にしっくりくる一本を選べたら、その数珠はこれから長く心を支えてくれる相棒のような存在になるでしょう。

せっかく新しい数珠を手にしたら、ぜひ一度お墓参りに足を運んでみてください。

静かなお墓の前で手を合わせる時間は、故人を偲ぶだけでなく、今の自分の心を整えたり、日々の感謝を思い返したりする大切なひとときになります。

新しい数珠とともに、ご先祖様に手を合わせる機会をつくり、心をゆっくりと落ち着かせてみてはいかがでしょうか。

お墓やお墓参りについては、こちらの記事をご覧ください。