お役立ちコラム お墓の色々
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関東と関西とでは水引が異なる〜香典を包む不祝儀袋を解説
香典袋や祝儀袋にかける帯紐「水引」。魔よけや未開封の証拠といった意味もこめられており、お祝いごとの時には赤白を、葬儀などの時には黒白のものを使うことが多くなっています。
この水引…特に不祝儀袋に用いるものは、関東と関西で異なることをご存知でしょうか。たとえば関東出身の方で、「京都で営まれたお通夜に参列した際、見慣れない色の水引を持った方を見かけた」という経験をお持ちの方もいるかと思います。今回は、「関東と関西の違い」も含めた水引の違いと、不祝儀袋(香典袋)について解説いたします。
水引の色の違い
黒白(黒✕白)・青白(青✕白)
黒白の水引は、通夜、葬儀、法事・法要の香典を包む際に使用し、地域によってはお布施を包む際にも用いられます。神道の場合は、玉串料、榊料、御神前などを包む際にも用いられることがあります。ただ、五十日祭(仏教の四十九日法要に似た儀式)や一年祭までしか用いられず、それ以降は使えません。
青白の水引は、半分が白でもう半分が紺色に染められているものを指し、こちらも葬儀や法事で使うことが可能です。ただ、基本的には黒白を使い、青白の使用は一部地域にとどまっており、近年はあまり見かけなくなっています。
黄白(黄✕白)
一方、京都を中心とした関西圏や、北陸や山陰などの一部地域で主に使われるのが黄白の水引です。特に京都では、黒白の水引の不祝儀袋を使わないことが多く、黄白の不祝儀袋を使うことが一般的となっています。
黄白の水引を使用する背景
そもそも、日本における“喪を表す色”は「白」でした。しかし、明治以降に外国の習慣に合わせるようになったことで、“喪を表す色”は「黒」へと変わります。それに伴い、水引にも黒を用いるようになりました。
しかし、京都では“喪を表す色”として「黒」を用いることはありませんでした。一説には、皇室に贈り物をする際に使用していた玉虫色の水引「紅井水引」(くれないみずひき)が、黒色に近かったためです。
そこで京都では、黒の次に高貴な色である「黄」を“喪を表す色”として使うようになったといわれています。
双銀(銀✕銀)
銀色だけの水引「双銀」は、高額の香典の場合に使われます。 目安として5万円以上です。
不祝儀袋の使い分け
水引にはいくつかの色の種類がありますが、その結び方にも種類があります。不祝儀袋としての使う際の水引の結び方は以下の2つです。
水引の結び方(不祝儀の時)
あわじ結び
2色の水引を8の字にクロスして結ぶのが「あわじ結び」です。左右に引くと更に固く結ばれることから、「同じことが起きないように」という意味が込められています。また、「末永く付き合う」という意味から、お布施の場合にも多く使われます。
結び切り
結び切りは一度結ぶと二度と解けない結び方です。あわじ結びと同様に「一度で終わる」という意味合いで使われています。
金額別、不祝儀袋の使い分け
下記の金額を目安として、不祝儀袋を使い分けましょう。
なお、水引の本数は、3本、5本、7本と奇数のこよりを束にして使用します。その理由は、「偶数は割り『切れる』ことからあまり縁起が良くない」という説や、「偶数を陰数、奇数を陽数」とする古代中国の陰陽説からきているという説があります。
包む金額が5,000円以下
→水引の色:黒白、青白、黄白
水引が印刷された不祝儀袋でも構いません。
包む金額が1万円〜3万円
→水引の色:黒白、青白、黄白
水引の本数:5本
印刷ではなく、水引が実際に結んである不祝儀袋(水引金封)を使用します。
包む金額が5万円〜10万円
→水引の色:双銀
水引の本数:7本
印刷ではなく、水引が実際に結んである不祝儀袋(中金封)を使用します。
包む金額が10万円以上
→水引の色:双銀
水引の本数:10本
高級和紙を使用した大判サイズの不祝儀袋(大金封や特大金封)を使用します。
なお、偶数であるため10本の水引を使用しない地域や宗教、宗派があります。事前に確認した上で使用してください。
他にもある不祝儀袋に関するマナー
不祝儀袋の使い分け以外にも、香典を出すにあたって気をつけるべきマナーがあります。たとえば、不祝儀袋は、水引が折れたり袋が破損することを防ぐために袱紗(ふくさ)に包むことが大切です。また、お金を封筒に入れる際の向きや、包んだ金額を中袋に書く際、その書き方にも注意が必要です。
香典(御霊前)に関する詳しい解説記事がございますので、こちらも合わせてお読みください。
◆御霊前の書き方・入れ方・包み方などを詳しく解説
まとめ
どんなに気持ちを込めておこなったことでも、マナーや意味を知らずに行うと、「失礼な人間だ」と受け取られてしまう可能性があります。相手のことを慮り、自分の気持ちが、きちんと相手に伝わるようにするためにも、一般的な知識やマナーを覚えておくことはとても大切です。
いざという時に困らないためのマナー関連記事を他にもご用意しています。
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