お役立ちコラム お墓の色々

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エンディングノートはどうやって保管する? 〜クリアすべき2つの条件とおすすめの保管方法・注意点を紹介〜

終活コラム

エンディングノートはどうやって保管する? 〜クリアすべき2つの条件とおすすめの保管方法・注意点を紹介〜

終活の一環として、エンディングノートを作成する方が増えていますが、時間をかけて大切なことを書き上げたあと、「どこに、どうやって保管しておこう?」と悩む方も少なくないようです。
個人的な情報が書いてあるノートですから大切に保管したいけれど、いざという時に家族に見つけてもらえないと意味がありません。
どのように保管すると、大事な情報を守りながらノートを作った目的を果たすことができるのでしょうか。

エンディングノートを安心安全に保管するための2つの条件

エンティングノートを保管する際には、以下の2つの条件を考慮しておく必要があります。

いざという時すぐに見つけてもらえる

エンディングノートには多くの場合、生前の医療や介護、亡くなった後の葬儀やお墓のことなど、いざという時に残される人に伝えたい内容を記載します。もしノートがすぐに見つからない場合、ノートが見つかったときには緊急の医療措置や葬儀・埋葬についてなど急な決断を必要とすることが終わってしまっていて、せっかく書いた希望を実行してもらえないということにもなりかねません。ですから、いざという時に見つけてもらえるかどうかを考えて保管方法を決めておくことが大切です。

盗難や紛失・むやみに見られる心配がない

盗難や紛失についても注意を払う必要があります。残された人にノートが届かない上に、銀行口座など金融資産に関わる個人情報などが他人の手に渡ってしまう可能性があるからです。また、自分や家族に関わる大切なことが書かれたノートですから、むやみに見られるというのも気持ちの良いものではありません。

見つけてもらいやすい場所で、盗難や紛失・むやみに見られる心配がない、という相反する2つの条件を満たすのはなかなか難しいものです。ここでは、エンディングノートを保管する際によく選ばれる場所や注意点、万が一に備えた対策などについて、いくつかの例を紹介していきます。家族構成や住まいの環境、生活の状況が様々ですので、一概に「この場所」「この方法」とは言えませんが、ご自身の状況と照らし合わせて適当な方法を決めるための参考にしていただけたら幸いです。

代表的な保管場所と注意点

保管場所については、市販のエンディングノートなどの紙媒体(アナログ)で作成した場合と、スマホやパソコンなどデジタルで作成した場合に分けて紹介します。

紙媒体(アナログ)で作成した場合

市販のエンディングノート、自治体で作成されているもの、お手持ちのノートなどの紙媒体(アナログ)で作成した場合は、次のような場所に保管しておられる方が多いようです。

・仏壇
・本棚
・食器棚
・机などの引き出し
・金庫

盗難を考慮しつつも、見つけやすく出しやすい場所です。ただ、他の貴重品と重なる場合は、別の場所を選ぶと良いでしょう。

<注意点>
盗難は避けたいですが、保管が厳重すぎるとエンディングノートの意味を果たせなくなることがあるので注意が必要です。お勧めしない場所についても紹介しておきます。

金庫や貸金庫…個人の金庫で本人しか知らない暗証番号などでロックされている場合は、金庫を開けるのが難しくなることがあります。また貸金庫の場合、本人以外が開く場合には煩雑な手続きが必要になります。ノートを見る時には手続きが終わっていたということにもなりかねないので、避けた方が良いでしょう。

人に預ける…どれだけ信頼できる人であっても、紛失・盗難・中を見られてしまうというリスクはゼロではありません。また、預けた相手の心配事も増やしてしまいますし、預けた人に万が一のことが起きた際などにノートを見つけられなくなるかもしれません。自分で意思決定ができる間は、自分で保管する方が良いでしょう。自分で保管することで、書き直したいと思った時にすぐ書き直せるというメリットもあります。

デジタルで作成した場合

最近では、エンディングノートもデジタル化が進み、パソコンやスマートフォンから作成できるデータ版エンディングノートが誕生しています。
その場合考えられる保管場所は以下の3通りです。

・パソコンやスマートフォンなどの端末
・USBやSDカード、外付けのハードディスクなど
・アプリ等のクラウドサービス(インターネット上)

デジタル版は、専用のアプリなども登場しており、デジタル機器に慣れている人にとっては、文章作成や修正・編集、管理や閲覧が簡単にできるというメリットがあります。
データ版で作成したものを印刷する場合もありますが、それは上のアナログの場合を参考にしてください。

<注意点>
アナログと違い、デジタルデータだからこその注意点があるのでいくつか紹介します。

・データを、パソコンやスマートフォンといった端末に保存している場合、端末のパスワードが分からないために見ることができなくなる可能性があります。また、機器の故障でデータが消えてしまうリスクについても考えておく必要があるでしょう。
・エンディングノートを見る人がデジタル機器にどの程度慣れているかも考えておく必要があります。印刷して保管するなど、状況に合わせた対応を視野に入れておくと良いでしょう。
・クラウドサービスなどインターネット上に保管している場合も、IDやパスワードの問題が出てきます。また、利用している会社がなくなると、データも消えてしまうという可能性があります。

以上のことから、データのバックアップと合わせて、エンディングノートの存在や閲覧方法を誰にどう伝えるかも考えておく必要があるでしょう。データ版のメリットとデメリットを踏まえた上で、残された人に伝わるよう適切に管理できると良いですね。

万が一に備えるおすすめの対策

盗難や紛失などのリスクを回避しつつ、必要な時に家族や遺族にエンディングノートを見つけもらうための対策を、いくつか紹介します。

エンディングノートについて家族や遺族に伝えておく

エンディングノートの存在や保管場所についてはできるだけ家族に伝えておくと良いでしょう。何も伝えていない場合、探してもらえず色々な手続きが済んだ後でノートが見つかるということにもなりかねません。また、エンディングノートのことに限らず、終活を進めていることを伝える、万が一の時の対応を相談するなど、家族とコミュニケーションをとっておくことで、様々なすれ違いを回避することにもつながります。

保管場所をカードに書いて携帯しておく

エンディングノートの保管場所を小さなカードやメモに書いて、いつも持ち歩く手帳やお財布に入れて携帯するという方法もあります。紛失しないよう注意する必要はありますが、外出先などで突然倒れて身元がわからないときや、死亡後に家族が持ち物を確認する際にもすぐ見つけることができます。
自治体で配布していることもあるので、問い合わせてみても良いでしょう。

エンディングノート保管サービスを利用する

費用はかかりますが、紛失や漏洩のリスクは下がります。万が一のことが起きた際すぐに家族の元に届くのかなど、細かい手続きについては確認しておく必要があるでしょう。

複数のノートを作る

財産情報など生前に人に見られては困る内容と、比較的誰が読んでも問題ない内容、緊急時にすぐ見て欲しい内容などで分けて、複数のエンディングノートを作成するのもおすすめです。内容に合わせて、保管場所も工夫すると良いでしょう。

遺言書もあわせて作成する

財産相続については遺言書を作成し、エンディングノートには遺言書の存在だけを記載するという方法もあります。こうすれば、相続の内容については知られずに済みます。また、もし家族がエンディングノートを見つけられなくても、遺言書があれば財産相続については確実に希望が伝えられます。遺言書は法的な効力を持つものなので、相続についての希望がある場合には作成を検討されると良いでしょう。

遺言書についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
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遺言を正しく伝えるための、遺言書の保管方法や注意点


エンディングノートは、自分の今後の生き方について整理するとともに、家族や遺族に自分の希望を伝えるために書くものです。そして、エンディングノートが家族の手元に渡ることで初めて、書いた内容を伝えることができます。万が一の時、エンディングノートが後から見つかって希望を形にできなかったなど、家族に残念な思いを残さないためにも、自分の環境や状況にあった保管方法を考えてみられると良いのではないでしょうか。


エンディングノートの書き方や遺言書との違いについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
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