お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

より良い終活のために知っておきたい「相続」について

終活コラム

より良い終活のために知っておきたい「相続」について

相続における実情

亡くなった方がもつ財産の多少に関わらず、なんらかの形で発生するのが「相続」やそれに伴う諸手続きです。

「相続」と聞いて、多くの方がイメージされるのは「遺言書」ではないでしょうか。

日本財団が60歳上の方に対して行った「遺贈に関する意識調査(2017年)」によると、遺言書を作成済みの方の割合は4.9%である一方で、「遺言書について考えたことはあるが、まだ必要性は感じていない」「まだ遺言書について考えたことはない」と答えた方の割合は72.6%という結果が出ています。

「遺言書を書く程の財産がないから」「遺族がうまくやってくれるだろう」といった感じで、意識・無意識を問わず遺族任せになっている面が、多くの方にあるのではないでしょうか。

仮に財産がない場合でも「遺品はどうするのか」「借金はどうするのか」「供養はどうするのか」など、遺された家族が困ったり迷ったりする場面は少なくありません。

ぜひ、家族のためにどのようなメッセージを遺すのか考えてみませんか。

◆似ているけれど実は大きく違う「遺書」と「遺言書」

◆詳しく知らない?遺書の正しい書き方で無効化を防ぐ

なお、平成30年7月に相続税法が大きく改正され、平成31年1月13日から段階的に施行されています。

(改正の主な内容)

配偶者居住権を創設

「配偶者居住権」とは、配偶者が相続開始時に被相続人(相続財産を遺す方のことです)が所有する建物に住んでいた場合、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利です。

これは、建物についての権利を「配偶者居住権」と「負担付きの所有権」とに分け、遺産分割の際などに、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得することができるようにしたものです。

配偶者居住権は、自宅に住み続けることができる権利ですが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に貸したりすることができない分、評価額を低く抑えることができます。

そのため、配偶者はこれまで住んでいた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになり、配偶者のその後の生活の安定を図ることができるようになりました。

自筆証書遺言に添付する財産目録の作成がパソコンで可能に

これまで自筆証書遺言は、添付する目録も含め、全文を自書して作成する必要がありました。

その負担を軽減するため、遺言書に添付する相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や通帳のコピーなど、自書によらない書面を添付することができようになりました。

法務局で自筆証書による遺言書が保管可能に

自筆証書による遺言書は自宅で保管されることが多く、せっかく作成しても紛失したり、捨てられてしまったり、書き換えられたりするおそれがあるなどの問題がありました。

そこで、こうした問題によって相続をめぐる紛争が生じることを防止し、自筆証書遺言をより利用しやすくするため、法務局で自筆証書による遺言書を保管する制度が創設されました。

被相続人の介護や看病で貢献した親族は金銭要求が可能に

相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が被相続人(相続財産を遺す方のことです)の介護や看病をするケースがあります。改正前の法律では、この人たちは遺産の分配にあずかることはできませんでした。
このような不公平を解消するために、相続人ではない親族も、無償で被相続人の介護や看病に貢献し、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようになりました。

遺言や相続は法的な知識も必要です。
当コラムには税金についての記事もありますので、ぜひ1度ご覧ください。

◆不動産の終活とは?不動産の断捨離で相続・税金問題を回避

◆お墓が相続税対策(節税)になるってホント?税金について解説

トラブルにならないために

遺言に対する意識が高くないこともあってか、相続に関するトラブルは少なくないのが実情です。日本財団「遺贈に関する意識調査(2017年)」には、「家庭裁判所における相続関係の相談件数が過去10年間で2倍に増えている」と出ています。トラブルとまでいかなくても、相続の問題で家族関係がぎくしゃくしたという方は、実際はさらに多いのかもしれません。

なお、トラブルの中で最も多いのは、兄弟姉妹でのトラブル、つまり子ども間でのトラブルです。自分の相続で子どもたちが争うことになってしまうとすれば、とても悲しいことではないでしょうか。

相続で家族が争う事態にならないためには、やはり話し合いが必要です。ただ、可能であればそこに相続の専門家を交えて意見を聞きながら話し合うのが、ベストと考えられます。

たとえば、遺言が法律から逸脱した内容であると、その遺言は無効になることもあり、トラブルの火種になります。実は遺言というのは決められた書式や方法を守れば、何度も見直したり、手直しを加えたりすることが可能です。

もし、すでに遺言を作成されているのであれば、数年に一度、定期的にその内容を考えなおすことも1つの手段でしょう。ぜひ終活の一環として取り組むことをおすすめします。

最後に

終活のイロハをまとめた動画「はじめての終活準備ムービー」は、「これから終活をしようと考えている方」「どこから手をつけたらよいのかわからない方」には特に参考になると思います。より良いエンディングのために、遺言や相続について家族と話し合ってみてはいかがでしょうか。

◆はじめての終活準備ムービー