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グリーフケア・遺族ケアとは?意味や悲しみに寄り添う方法を解説します

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グリーフケア・遺族ケアとは?意味や悲しみに寄り添う方法を解説します

大切な人との別れを経験すると、深い悲しみを感じるものです。大きく落ち込んだり、後悔を感じたり、時には自分の生きる意味を感じられなくなることもあるかもしれません。
このように、大切な人を失い深い悲しみの中にある人に寄り添い、支援・サポートする仕組みとして近年注目されている、「グリーフケア」をご存知でしょうか。

家族や地域の在り方が変化し、葬儀も縮小される傾向にある中で、悲しみを分かち合う場が減っていることからも注目が集まっているグリーフケア。今回は、その意味や方法、気をつけるべきポイントなどについて解説していきます。

グリーフケアとは?

グリーフケアとは、「グリーフ(grief)/悲嘆、深い悲しみ」の「ケア(care)/世話、配慮」という言葉の通り、深い悲しみの中にある人が立ち直れるよう、寄り添い、支援・サポートすることを言います。特に、大切な人・親しい人が亡くなった際の悲しみに対するケアを意味することが一般的で、「遺族ケア」や「悲嘆ケア」と呼ばれることもあります。

グリーフケアの歴史

グリーフケアは1960年代にアメリカからヨーロッパへと広がり、1970年代には日本でも研究されるようになりました。アメリカ・イギリス・オーストラリアなどでは、病院で大切な人が亡くなった後も定期的に病院に通ってケアを受けるなど、医師やグリーフケアアドバイザーによるケアが一般化しています。

日本で一般に広がったのは、2005年に起こった西日本旅客鉄道の福知山線脱線事故がきっかけだと言われています。近年では、家族形態や地域社会の変化から、悲しみを十分に分かち合えず一人で抱え込んでしまう人が増えていることもあり、医療機関や市民グループなどでも積極的に取り組まれるようになっています。

グリーフケアを必要とする症状や反応

大切な人を亡くした悲しみは、孤独感や絶望感、不安感を引き起こし、身体的な症状が現れたり、日常生活や行動パターンが変わってしまったりすることも少なくありません。人によっては、いくつかの症状が重なったり、すぐには反応が出なくても時間が経ってから症状が現れたりすることもあります。
自身や遺族に、以下のような反応・症状があると感じた時には、周囲にサポートを求めるなど、グリーフケアを検討すると良いでしょう。

精神的な反応・症状

  • 悲しみや寂しさ、怒り、やるせなさ、孤独感、絶望感などを感じる
  • 虚無感や無力感、罪悪感を感じたり、自分を責める言葉が出たりする
  • 気力が湧かず、対人関係を避けるなど鬱の症状が見られる
  • ふとした瞬間に強い不安や恐怖、敵意が湧き、感情の起伏が激しい

身体的な反応・症状

  • 摂食障害、睡眠障害、呼吸障害などを起こしている
  • 急に体重や体力が落ちたり、免疫機能が低下したりする
  • 常に強い疲労感があったり、気力を失ったりしている
  • 頭痛・嘔吐・消化不良・動悸などの不調がみられる
  • お酒や薬に依存する
  • 白髪が急増する

行動・認知の変化

  • 集中力・注意力・思考力・判断力が低下する
  • 落ち着かず、色々なことを確かめて回る
  • やる気がなくなり引きこもる
  • 記憶の混乱や動揺がある
  • 落ち込んでいる自分を何とか奮い立たせようとして動き回る

グリーフケアは誰がやるの?

「グリーフケア」と聞くと、専門の人が行うように感じるかもしれませんが、身近な人でも行うことができます。
身近な家族や友人が、ケアが必要な人の気持ちに寄り添うことも、グリーフケアと言えるでしょう。

また、グリーフケアには「グリーフケアカウンセラー」「グリーフケアアドバイザー」「グリーフケア専門士」といった民間資格があり、医療関係者や葬儀関係者など、専門知識を持ってより高度なケアを提供する人も増えています。

グリーフケアの方法

グリーフケアの方法は、明確に決まっているわけではありません。疲弊した心や体を癒す行動や回復のためのケアは全てグリーフケアであり、必要な時にすぐ始めることもできます。
とはいえ、癒し方、寄り添い方にはいくつかポイントがあるので、グリーフケアの方法やポイントを知っておくと良いでしょう。

悲しみを肯定する

グリーフケアの大きなポイントは、湧いてくる感情に蓋をせず、悲しみを肯定することです。
大切な人を失って、深い悲しみを感じることは自然なことです。周りに心配をかけないようにと、悲しい気持ちを抑え込む人もいますが、それがかえって、悲しみを強くしてしまうこともあります。まずは、「悲しい」「悲しくて当たり前だ」と、気持ちを認め、肯定してあげましょう。

語り合い、気持ちを吐き出す

感情を言葉にして思い切り吐き出すことも、悲しみを乗り越える助けになります。
例えば、家族や友達、専門のカウンセラーや医師に話を聞いてもらう、お墓や仏壇の向こうに故人がいると思って話しかける、紙に書き出してみるというのも有効なようです。
病院の遺族会など、同じような境遇の人が集まって想いを話す会に参加するのも良いでしょう。

お別れの儀式・セレモニーを行う

葬儀やお別れ会、更には、ご遺体をきれいに整えるエンゼルケアや死化粧、故人の遺品整理、お墓への納骨なども、グリーフケアにつながります。故人を丁寧に見送ることや、最後にケアをしてあげることなどが、大切な人の死を受け入れ、悲しみから立ち直るきっかけにもなるのです。その後の法要やお墓参りなどの供養も、少しずつ悲しみを癒す大切なプロセスと言えるでしょう。

エンゼルケアや死化粧については、こちらで詳しくまとめています。
死化粧など故人の姿を整えるエンゼルケアとは?湯灌やエンバーミングとの違い

専門家に相談する

身近な人でも行えるグリーフケアですが、症状が重い場合には専門家に相談すると良いでしょう。近しい関係にない相手の方が、本当の気持ちを打ち明けやすいという場合もあります。

グリーフケア外来や遺族外来、遺族会を設けている病院もありますし、寺院や葬儀社が、遺族同士の交流会や専門家の後援会を開催している場合もあるようです。また、グリーフケアに関わる団体が開催する、ワークショップや分かち合いの会などもありますので、本人に合う場を探してみても良いでしょう。

気をつけるべきポイント

深い悲しみを抱えている心は、とても繊細です。立ち直るには時間がかかること、浮き沈みを繰り返しながら徐々に回復に向かうということを、支える側も、ケアを受ける側も理解しておくことが大切です。悲しみによる心身の変化は、誰にでも起こり得る反応ですので、その状態を否定せず、焦らずに取り組みましょう。

特に、悲しみの中にある方を支える際には、早く元気になってほしいという気持ちになることもあると思います。しかし、無理な声かけや誘導が感情に蓋をするきっかけになってしまうこともあるので、ふとした時に漏れた本音に耳を傾けるなど、本人が話したいと思うタイミングや気持ちを尊重することが大切です。
また、長い期間、複雑な心や体の変化に寄り添うことで、ケアする側が疲れてしまうこともありますし、近しい関係だからこそ、どう寄り添って良いか分からなくなることもあるでしょう。そのような時は無理をせず、早めに専門家を頼るようにしましょう。

まとめ

大切な人を失った深い悲しみから立ち直るための、グリーフケアについて解説してきました。

大切な人との別れは、突然やってくるものですし、誰もが深い悲しみを感じるものです。その悲しみが、時に遺族の心や体に大きな影響を及ぼし、気づかないうちに一人では立ち直れない状態になってしまうこともあります。
ですから、一人で抱え込んだり感情に蓋をしたりせず、言葉にして誰かと共有することが重要ですが、人に話すことに抵抗を感じる時には、お墓に眠る故人の前で語りかけるのも良いでしょう。

自分や家族の心がどうなるか、予測はできませんが、グリーフケアについて知っておくこと、家族や身近な人と話題にしておくことは、いざという時に助け合うきっかけになるかもしれません。
ご自身のためにも、大切な方のためにも、このようなケアがあることを心に留めていただき、役立てていただけましたら幸いです。

悲しみを癒すことにもつながる供養や葬儀については、こちらの記事をご覧ください。
そもそもご供養の意味とは?
葬儀の準備から納骨式までの流れや必要なものを時系列順に解説
お墓参りの基本や作法をあらためて押さえておきましょう

お墓参りの意味や、お墓参りでの心の残るエピソードが綴られた写真集があります。悲しみを乗り越え故人を偲ぶ、様々な形に触れられますので、ぜひ合わせてご覧ください。
家族の絆が深まるお墓参り『お墓100年プロジェクト お墓参り写真集』