お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
お焚き上げとは?いつ行うの?意味やタイミングについて解説します
日本には、「お焚き上げ」といい、神仏にかかわるものや、思いがこもったものなどを火で燃やして処分する習慣があります。
お焚き上げは伝統的な供養の方法であり、大切な方の遺品を供養するために行われることがあります。また、神社やお寺などに前の年のお守りやお札を持ち寄って浄火してもらうお焚き上げは、お正月の風物詩になっており、見た事がある方もいらっしゃるかもしれません。
この他にも、お焚き上げはさまざまな目的で行われていますが、どのような意味があり、どのような時に行われるのかなど、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、お焚き上げの意味や由来、行うタイミングなどについて詳しく解説して行きます。
お焚き上げとは
「お焚き上げ」とは、お札やお守り、古い神棚や位牌、不要になった愛用品や亡くなった方が生前大切にしていた遺品など、粗末に扱うことができない品物を、浄化・供養し、火で焚いて手放す儀式のことです。
神社や寺院で宗教行事として行われていることが多く、祈祷や読経によって浄化や供養が行われた後に火で焚くのが一般的です。また、霊園や専門の業者で引き受けてくれるところもあります。以前は各家庭で燃やすことも少なくなかったようですが、現代は火災の心配や行政上の取り決めなどがあり各自で燃やすことはできなくなっています。
なお、多くの地域で小正月や2月の節分に合わせて行われる「どんど焼き」もお焚き上げ行事の1つです。
お焚き上げの意味については、神道と仏教で解釈が異なり、神道では、「火の神の力を借りて天界へ還す儀式」、仏教では「物に宿った魂を天に送って供養する儀式」「思い出の品を焚き上げて故人に返す儀式」と考えられています。
お焚き上げの起源
お焚き上げの起源は、平安時代に遡ります。
・宮中において、神事の際に、場の浄化や神を招く意味を込めて焚かれた、「庭燎(にわび・ていりょう)」という特別なかがり火。
・宮中行事として国家安泰を願って行われた「左義長(さぎちょう)」という火祭り。
・天下泰平、五穀豊穣、家内安全などを願う仏教行事で、真言宗を開いた空海の孫弟子に当たる聖宝理源大師が初めて行ったとされる護摩法要、「柴燈護摩供(だいさいとうごまく)」。
これらの、宮中の神事や宗教行事が、正月に歳神様を迎えた札などを焚くどんど焼きや、魂が宿ったものを供養するお焚き上げに繋がっていると考えられています。
日本では古くから、「物には気持ちが宿る」と言われており、また、「火は、穢れを清めて魂を天に返す力や、神仏に祈りを届ける力がある、神聖なもの」と考えられてきました。そのため、大切な物品を感謝の気持ちとともに火で燃やすことで浄化・供養するという風習が、受け継がれてきたのでしょう。
お焚き上げの目的・効果
お焚き上げは、焚き上げるものによって色々な目的で行われています。
故人へ返す・届ける
お焚き上げを行うことで、大切な品物や品物に宿った魂を、故人の元へ届けることができるとされています。そのため、納棺の際に入れ忘れた物があったり、遺品整理で故人が大切にしていた物や思い出の品が出てきたりした際に、お焚き上げを行うことがあります。
神仏・魂に元の場所へ還っていただく
神棚や仏壇、神仏像や神仏画、お札やお守りなどは、神仏の拠り所であると考えられています。それらを処分する際には、仏様や神様に元の場所へ戻っていただく儀式として、お焚き上げを行います。また、故人の魂を天に還すという意味もあるため、仮位牌を処分する際にもお焚き上げが行われます。
お札やお守りなどは、神社や寺院で、随時または年末年始のタイミングに納め所を用意して回収しているところもあります。神棚や仏壇、仮位牌、神仏像や神仏画などについては、まず「閉眼供養」や魂を抜く御祈祷などをしてもらった後に、お焚き上げを行うことが一般的です。
「どんど焼き」もこの考え方に基づいており、正月飾りを燃やすことで、家に来てくださった歳神様を見送るという意味があります。
物に宿った思いや魂を供養する
前述のように、日本では「物には気持ちや魂が宿る」と考えられてきました。そのため、大切に使われてきた道具や愛着のある物、思い出が詰まった写真や日記、思いのこもった千羽鶴やダルマなどを、ただ捨てるのは心苦しいと感じる方も少なくありません。「人形供養」は有名ですが、お焚き上げによって物に宿った思いや魂を供養できるとされており、大切に使われてきた物や、加護をいただいた神仏への感謝の気持ちを込めて手放す際にも行われます。
人形供養にて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
◆人形供養とは?大切な人形・ぬいぐるみと心残りなく別れる方法
悪い縁を切る
お焚き上げには火の力で浄化するという意味あることから、悪い縁を切る目的で行われる事もあります。
日本では古くから、「物事はすべて繋がって成り立っている」という考えがあり、「縁」が重要視されてきました。良くないことが起きたときには、関連している書類や品物をお焚き上げすることで、悪い縁を切り、徐々に良い縁が増えていくとも考えられています。
革製品などを供養する
毛皮のコートや本革の小物など、動物に関する製品は身の回りにたくさんあります。それらをお焚き上げすることで、動物たちの痛みや苦しみを慰めて供養することができると考えられています。
お焚き上げを行うタイミング
お焚き上げは、いつ、どのようなタイミングで行われているのでしょうか?
節目を迎えたとき
目標を達成した時、遺品整理を整理したとき、新しい年を迎えた時など、節目となるタイミングにはよく行われます。健康祈願や家内安全祈願など節目が曖昧な事柄にいては、1年を目安としたタイミングで一区切りと考えることが多いようです。
具体的な例
・試験合格や昇進など目標達成したり、祈願していたことが一区切りついたりしたとき
・お札、お守りについて、処分や買い替えをするとき
・お札やお守りを購入して1年が経ったとき
・小正月や節分に行われる「どんど焼き」のとき
・遺品を整理するとき(忌明けとされる四十九日の後や、1回忌などの年忌が終了した時、気持ちの整理がついたタイミングなど)
・引っ越しなどで持ち物を整理するとき
物を手放すとき
特別な節目ではなくても、大切に使ってきた道具や保管してきた思い出の品、古くなった仏具など、思いがこもっている物や神仏に関わるものを手放すときも、お焚き上げに適したタイミングと言えるでしょう。
ただのゴミとして廃棄しにくい場合も、感謝を込めて手放すことが出来ます。
神社やお寺が個別に決めた日
神社やお寺によっては、 小正月や節分以外の時期を始め、お焚き上げの期間や開催日を決めているところもあり、そのタイミングに合わせてお願いするという方法もあります。また、お焚き上げしたいものを随時受け付けていて、ある程度集まったタイミングで執り行うというところもあります。
持ち込み方法や持ち込みの期間、お焚き上げが可能な物品については、神社やお寺それぞれで違いますので、事前に確認されると良いでしょう。
お焚き上げの方法
お焚き上げを行う場合、前述したように、現在では各自で燃やすことはできなくなっています。神社やお寺、葬儀場、お焚き上げ業者、遺品整理業者などで受け付けてくれるところがありますので、お焚き上げを行う物や目的に合わせて選択すると良いでしょう。
お札やお守りなどの小さなものは、神社やお寺に返納する方法があります。お正月やどんど焼きなどのタイミングで受け付けているところもありますし、随時「納札所」を設けて回収しているところもあります。また、窓口で対応してくれるところもあるので、分からない場合は直接確認すると良いでしょう。なお、一般的には、いただいたところとは違う神社やお寺へ納めることも問題ないとされています。
その他、遺品や思いのこもった物品、大きな物などについては、神社やお寺、業者へ事前に問い合わせて、費用も合わせて調べてみると良いでしょう。
大切な物と後悔のないお別れを
お焚き上げについて、詳しくご紹介してきました。お焚き上げの意味やタイミングだけではなく、物にも魂が宿るとして大切にし、最後は感謝を込めて天に還すという、日本人の間で受け継がれてきた美しい心も感じていただけたのではないでしょうか。
お焚き上げによって、ご自身の気持ちを軽くしたり整理したりすることもできます。大切な方や大切な物とのお別れの際には参考にしていただけたら幸いです。
今回は「お焚き上げ」について取り上げましたが、最近では、火の取り扱いに関する条例などによって、お焚き上げが出来ない所も増えています。
大切なものを浄化・供養する際には、必ずお焚き上げしなくてはならないというわけではなく、塩で清めるなど他の方法もあります。迷った時には菩提寺などに相談し、後悔のない方法を選びましょう。
お焚き上げや供養については他の記事でも紹介していますので、合わせてお読みください。
◆そもそもご供養の意味とは?
◆卒塔婆(そとうば)はいつまで立てておく?〜立てる期間や処分方法を解説〜
◆仮位牌(白木位牌)の意味や処分方法を説明します