お役立ちコラム お墓の色々

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海洋散骨のあとにお墓参りをしたくなったら?供養の方法を紹介

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海洋散骨のあとにお墓参りをしたくなったら?供養の方法を紹介

現代では、供養の形も多様化しています。昔から続いてきたお墓に遺骨を納める方法だけでなく、お墓に遺骨を納めずに海に還す、海洋散骨も行われています。
テレビや雑誌の特集で「死んだあとは自然に還りたい」と発言している人を見た経験はありませんか。
海洋散骨を行った場合、遺骨を納めたお墓がないため、従来とは違う形で供養することになります。「もし家族が海洋散骨を選んだら、お墓参りはどうすればいいの?」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、海洋散骨のあと、お墓参りに相当する供養を行う方法を紹介します。

そもそも海洋散骨とは?

海洋散骨とは、故人の遺骨をパウダー状にして海に撒くことです。
従来は、故人を火葬したあと、遺骨はお墓に納めることが一般的でした。しかし現代では、樹木葬や散骨のように、遺骨が自然に還る方法を選択する人もいます。
海洋散骨は、海が好きだという人が「自分らしいエンディング」として選ぶケースもあるようです。

海洋散骨の基本的な流れ

海洋散骨を請け負う業者に依頼し、業者から案内される流れに沿って進める方法が一般的です。

海洋散骨の申し込みを行う

まず海洋散骨を請け負う業者に連絡し、申し込みを行います。申し込み時に、業者に代理散骨してもらうか、一緒に乗船して散骨するか選ぶことになります。業者によっては、散骨する海域も大まかに指定可能です。

海洋散骨の業者に遺骨を預ける

葬儀が終わったら火葬し、遺骨を引き取ります。そして海洋散骨を依頼した業者に、遺骨を直接持ち込むか、郵送などで預けます。
業者によっては、火葬場ですぐに遺骨を預けることも可能です。

粉骨し袋に入れる

預けた遺骨は、業者側で粉骨されます。粉骨は、日本海洋散骨協会や厚生労働省のガイドラインで必要だと示されており、散骨前に欠かせない工程です。
海洋散骨のあとに、偶然、知らない人が海に撒かれた遺骨を目にする可能性も捨てきれません。知らない人が見た際に遺骨だと判断できないように、目安として2mm以下のパウダー状にする必要があります。
粉骨後は、遺骨を水に溶けるタイプの袋に入れます。

船に乗り沖で散骨する

船に遺骨を乗せ、あらかじめ決めておいた地域の沖まで移動します。
沖に到着したら、袋に入れた遺骨を撒きます。散骨した場所については、後日発行される散骨証明書にて確認が可能です。
最後に黙祷し、陸へ戻ります。

なぜわざわざ沖に行く必要があるのかと疑問に思うかもしれませんが、日本海洋散骨協会や厚生労働省のガイドラインによって、海岸の近くには散骨できないと決められています。そのため、船に乗って沖に行く必要があるのです。

海洋散骨をしたあとのお墓に相当する場所とは

散骨した海域が、遺族にとってお墓のような場所になるという考え方もできます。
散骨を行った正確なポイントを知りたい場合には、海洋散骨の業者が発行する散骨証明書を確認しましょう。散骨海域の緯度・経度が記されています。

また、海全体を故人のお墓と見なすこともできます。海はつながっているため、細かい海域にこだわらなくても、世界中の海が故人のお墓だと考えることも可能でしょう。

海洋散骨後にお墓参りをしたい場合は?供養の方法

お墓に遺骨を納めた場合、お盆やお彼岸にお墓参りをすることが一般的です。しかし、海洋散骨をした場合、散骨後の供養に決められた方法はありません。
お墓参りをしたいと思ったときは、以下のような方法を検討してみてはいかがでしょうか。

海を見ながら手を合わせる

一人でも行いやすい方法です。
お墓の前で手を合わせるような感覚で、故人を思いながら、海に向かって手を合わせましょう。
海洋散骨は、遺骨を大きな海へと還す方法です。お墓のように、「ここに故人の遺骨が眠っている」と特定できる場所はありません。
しかし、海全体が故人のお墓であると思えば、海に向かって手を合わせることがお墓参りになるでしょう。

もし散骨した海域から遠い場所に住んでいたとしても、海の方角へ手を合わせれば供養になるといえます。

散骨場所へクルーズ船で行く

初盆など、親戚や親しい人たち皆でお墓参りをしたいときにおすすめの方法です。
クルーズ船で散骨した場所へ行き、手を合わせます。散骨場所を皆でもう一度訪れることで、お墓参りができたという実感が湧くでしょう。

クルーズ船を1隻貸し切りにするか、他のグループと一緒に1隻のクルーズ船に乗ることになります。貸し切りの場合、費用が高額になることもある点に注意しましょう。

あらかじめ分骨しておき手元供養を行う

頻繁に海に行くことが難しい人に適した方法です。
海洋散骨では、必ずしもすべての遺骨を撒く必要はありません。遺骨の一部を散骨せずに、手元に残すこともできます。
残した遺骨の一部は、手元供養を行うとよいでしょう。
こうすれば、お墓参りに行かなくても、故人はずっとそばにいるという感覚になるかもしれません。
多様化する自分らしい供養方法「手元供養」とは

自宅の仏壇や位牌に手を合わせる

すべての遺骨を散骨した場合も、仏壇や故人の位牌に手を合わせて供養することは可能です。
葬儀や四十九日に合わせて位牌を作った場合、散骨後も処分する必要はありません。手元に置いておけば、海に行けないときにも故人の存在を感じられるでしょう。

なお、仏壇や位牌がない場合は、散骨後に新しく作ることもできます。位牌を作る際には戒名が必要となりますので、地元のお寺に相談してみるとよいでしょう。

故人を思いながらあなたらしいお墓参りを

海洋散骨を行うと、遺骨を納めたお墓が存在しない状態になります。
お盆やお彼岸に、どうやってお墓参りをすればいいのか戸惑うかもしれません。迷ったときには、今回紹介した方法を検討してみてください。

海洋散骨後の供養に決まりがないということは、あなたの思う形でのお墓参りが可能だということです。
大切なのはあなたが故人を思う気持ちです。あなたや故人が「自分らしい」と感じられる供養ができるといいですね。

供養の意味については、以下の記事をご覧ください。
そもそもご供養の意味とは?

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