お役立ちコラム お墓の色々
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ベトナムのお盆「ヴーラン祭(Vu Lan/盂蘭盆会)」とは?由来や意味、日本のお盆との違いを解説

日本では、お盆になるとご先祖さまの精霊(しょうりょう)を迎え、お墓参りや法要を行う風習があります。地域や宗派によって違いはあるものの、故人を偲び、家族が集まる大切な行事として受け継がれてきました。
実は、日本と同じように「お盆」の文化を持つ国があります。それがベトナムです。
ベトナムは約2000年にわたって仏教文化が受け継がれてきた国で、現在も仏教は人々の暮らしに深く根付いています。そのため、旧暦7月になると各地の寺院では、ご先祖さまを偲ぶさまざまな行事が営まれます。その代表的なものが、ベトナムのお盆ともいわれるヴーラン祭(ブラン祭、ブーラン祭とも表記されます)です。
ヴーラン祭は旧暦7月15日に行われる仏教行事で、新暦では例年8月下旬頃にあたります(年により前後します)。この時期には祖先だけでなく、縁のない霊にも供物を捧げる風習が見られるなど、日本のお盆とは異なる特徴もあります。日本のお盆と共通する部分も多い一方で、「親への感謝」を特に大切にすることや、紙のお金を燃やす風習などの文化も受け継がれています。
今回は、ベトナムのお盆ともいえるヴーラン祭の由来や意味、特徴についてご紹介します。
ベトナムのお盆「ヴーラン祭(Vu Lan)」とは?
ヴーラン祭は、ベトナム全国で広く行われている仏教行事です。ベトナム各地の華僑文化が根付く地域では、旧暦7月を「鬼月」や「凶の月」「幽霊の月」などと呼び、先祖の霊や精霊がこの世を訪れる月と考えられています。そのため、早い地域では旧暦7月の初旬ごろからヴーラン祭の準備が始まります。
ヴーラン祭は、ご先祖さまを供養するだけではなく、両親や家族へ感謝の気持ちを伝える大切な日でもあります。そのため、メディアなどで『親への感謝の日』と紹介されることもあります。
寺院では法要が営まれ、多くの人がお経を唱えたり、お供え物をしたりして、先祖や亡くなった家族の冥福を祈ります。また、健在の両親がいる人は健康や長寿を願い、家族そろって参拝する姿も多く見られます。
祖先を敬い、家族とのつながりを大切にする考え方は、日本のお盆にも通じるものがあります。
ヴーラン祭の起源
ヴーラン祭の始まりは、仏教で古くから語り継がれてきた「目連救母(もくれんきゅうぼ)」という説話に由来するとされています。目連(ベトナム語ではムック・キエン・リエン)は、お釈迦様の弟子の一人であり、優れた神通力を持つ高僧として知られていました。
ある日、亡くなった母親の行方を探した目連は、母が餓鬼道で苦しんでいる姿を見つけます。生前の母は欲深く、人に施しをしなかったため、その報いを受けていたといわれています。母を助けたい一心で食べ物を差し出しますが、母が口へ運ぼうとすると、その食べ物は炎へと変わり、食べることができませんでした。
どうしても母を救えなかった目連は、お釈迦様へ助けを求めます。すると、お釈迦様は「旧暦7月15日に多くの僧侶へ供養し、その功徳を母へ回向(えこう/功徳を分け与えること)しなさい」と教えました。目連がその教えを実践したところ、母は苦しみから解放されたと伝えられています。
この出来事をきっかけに、旧暦7月15日は亡くなった家族やご先祖さまへ感謝を捧げる日となり、やがて親への感謝や供養を大切にするヴーラン祭として受け継がれていきました。
また、この説話は日本のお盆の由来とも深く関わっており、日本各地で行われている盂蘭盆会(うらぼんえ)の起源ともされています。そのため、日本とベトナムのお盆には共通するルーツがあると考えられています。
ヴーラン祭にはどのような意味がある?
ヴーラン祭は、ご先祖さまを供養する日であると同時に、「親への感謝」を伝える日でもあります。
ベトナムでは、「親が健在であることは何よりの幸せ」と考えられており、この日には多くの人が寺院を訪れ、両親の健康や長寿を祈ります。また、すでに亡くなった両親やご先祖さまに対しては、お経を唱えたり、お供え物をしたりして冥福を祈ります。
日頃は忙しく、なかなか家族とゆっくり過ごす時間が取れない人も、この時期には実家へ帰省したり、家族そろって食事をしたりすることも少なくありません。
ヴーラン祭は、ご先祖さまを偲ぶだけではなく、「今そばにいる家族の大切さ」を改めて感じる機会にもなっているのです。
寺院へ参拝し、ご先祖さまへ祈りを捧げる
ヴーラン祭には、多くの人が寺院を訪れます。読経に参加したり、お供え物をしたりしながら、ご先祖さまへの感謝を伝え、自分や家族が健康で平穏に暮らせるよう祈ります。また、先祖だけではなく、身寄りのない霊や供養される人のいない霊へ祈りを捧げる寺院もあり、困っている人や弱い立場の人へ手を差し伸べるという仏教の教えも大切にされています。
赤いバラと白いバラを胸につける
ヴーラン祭を象徴する風習の一つが、胸にバラの花をつける儀式です。
母親が健在の人は赤いバラを、すでに母親を亡くしている人は白いバラを胸につけます。
赤いバラは、「今も母親と過ごせることへの感謝」を表し、白いバラは、「亡き母への感謝や追慕」の気持ちを表しています。
この風習は、多くの人に「親がそばにいることは決して当たり前ではない」と気付かせるものでもあり、ヴーラン祭が「親孝行の日」と呼ばれる理由の一つとなっています。
紙のお金や紙製品を燃やす
ヴーラン祭の時期には、紙で作られた『地獄の銀行券(Vàng mã)』や紙製の衣服・家・車の模型を燃やす風習があります。これは、ご先祖さまがあの世でも不自由なく暮らせるよう、現世の品物を届けるという考え方に基づく風習です。紙製品を燃やす文化は中国由来の道教や民間信仰をもととするもので、現在もベトナム各地で受け継がれています。日本でも、沖縄県など一部の地域で同じような風習を見ることができます。
一方で近年は、環境への配慮や防火の観点から、大量の紙製品を燃やすことを控える動きも広がっています。そのため、地域や家庭によっては、お香や花を供えて祈りをささげるなど、より簡素な供養を行うケースも増えています。
また、供養のために紙銭や供え物を道端などに供え、ヴーラン祭が過ぎるとそれを人々に配る地域もあり、それらを受け取ろうと人々が集まる光景は、この時期ならではの風物詩となっています。さらに、個人商店や家庭では、紙製の供物や護符などを焚き上げ、さまよう魂を慰め、災いが及ばないよう祈る風習も見られます。
日本のお盆との違い
日本のお盆とベトナムのヴーラン祭は、どちらもご先祖さまを供養する行事ですが、その過ごし方にはいくつか違いがあります。
日本では、自宅の仏壇にお供えをしたり、お墓参りをしたりすることが中心です。また、地域によっては迎え火・送り火を焚き、ご先祖さまの霊を迎えて送り出す風習も受け継がれています。
一方、ベトナムでは寺院への参拝が中心で、ご先祖さまへの供養に加えて、健在の両親へ感謝を伝える日としても大切にされています。また、胸にバラの花を付けて親への感謝を表したり、地域によっては紙銭や紙製の供物を燃やして故人へ届けたりする風習が見られるのも特徴です。
このように供養の方法には違いがありますが、「故人を偲び、家族とのつながりを大切にする」という思いは、日本とベトナムに共通しています。
まとめ
ベトナムのお盆「ヴーラン祭(Vu Lan/盂蘭盆会)」は、ご先祖さまへの供養とともに、両親や家族への感謝を伝える大切な仏教行事です。
寺院への参拝や、赤と白のバラを胸につける風習、紙のお金を燃やして故人へ届ける文化など、日本とは異なる特色がありますが、その根底には「大切な人を想い、感謝の気持ちを伝える」という共通の願いがあります。
日本でも、お盆にはお墓参りをしたり、仏壇に手を合わせたりして、ご先祖さまを偲ぶ文化が受け継がれてきました。供養の方法は国や地域によって異なりますが、故人を大切に思う気持ちは世界共通です。
そして、その想いを形にできる場所の一つがお墓です。お墓は故人を供養するためだけではなく、家族が集まり、故人との思い出を振り返ったり、ご先祖さまへ感謝を伝えたりする大切な場所でもあります。
ベトナムのヴーラン祭を通して海外の供養文化に触れることで、日本のお盆やお墓参りの意味を改めて見つめ直すきっかけになるかもしれません。この機会に、ご家族と一緒にお墓について話し合い、これからの供養のあり方を考えてみてはいかがでしょうか。
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