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墓経料とは?お布施との違いや、金額の目安、知っておきたい大人のマナーを解説

お墓の前でお坊さんにお経をあげていただく際、感謝の気持ちとしてお渡しする「墓経料(ぼきょうりょう)」。日々の暮らしの中であまり耳にする言葉ではないため、「何のこと?」「お布施とは何が違うの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?
墓経料は、大切なご遺骨をお墓へお迎えする「納骨式」や、お墓を片付ける「墓じまい」といった、お墓に関わる法要や節目を迎える際に耳にすることがある言葉です。
今回は、墓経料という言葉の意味から、必要となるシーン、金額の目安、そして封筒の書き方やお渡しする際のマナーまで詳しく解説します。
墓経料とはどんな言葉?お布施との関係について
まずは「墓経料」の基本的な意味や、一般的な「お布施」との違いについてわかりやすく紐解いていきましょう。
墓経料とは「墓前での読経」に対するお礼
墓経料とは、墓前(お墓の前)でお坊さんにお経をあげてもらった際に、感謝の気持ちを込めてお渡しするお礼の通称です。
一般的な法要(四十九日や一周忌、三回忌など)は、お寺や自宅、葬儀会館などで行われることが多いですが、納骨式や墓じまいといった「お墓そのもの」に関わる法要では、墓前でお経をあげていただきます。このように「お墓の前で読経をしていただいた際のお礼」であることを分かりやすく表すために、一部で「墓経料」という言葉が使われるようになりました。
「墓経料」と「お布施」の関係
「墓経料」と言われると、一般的な「お布施」とは違うもののように感じられますが、実は正式な仏事用語に「墓経料」という言葉はありません。
そもそも「お布施」とは、葬儀や法要、戒名授与など、お寺やお坊さんにお世話になった際にお渡しするお礼の総称です。
この「お布施」という大きな枠組みの中に、墓前でお経をあげていただいた際のお礼として、「墓経料」という呼び名が含まれているという関係性になります。
・お布施:お寺やお坊さんへお渡しするお礼「全体」を指す言葉。
・墓経料:お布施の一種。「お墓の前で読経していただいたときのお礼」を指す通称。
あくまで「墓前で法要を執り行う際のお布施」を、一部の地域や親族間で分かりやすく呼び分けた通称です。また、同じ意味で「読経料(どきょうりょう)」と呼ばれることもあります。どちらもお布施の一種であることを覚えておくとよいでしょう。
必要なシーンは?
墓経料が必要になるのは、お墓に関わる法要を迎えるときです。基本的には、以下のような場面でお布施を用意します。
・納骨式:火葬したご遺骨をお墓に納める際
・開眼供養:新しくお墓を建てた際(「魂入れ」「お性根入れ」とも呼ばれます)
・閉眼供養:墓じまいや改葬(お墓の引っ越し)に伴い、お墓を解体・撤去する際(「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます)
・お墓の前で行う法要:四十九日や一周忌、三回忌などの際、お墓の前でも読経をお願いした場合
永代供養でも必要?
近年、選ばれている方が増えている「永代供養」ですが、基本的には毎回のお布施(墓経料)を用意する必要はありません。
永代供養は最初の契約時に支払う費用の中に、その後の供養や、お坊さんに墓前であげてもらうお経のお礼があらかじめ含まれているケースが一般的だからです。お寺が合同で執り行う「慰霊祭」や「合同供養」などに出席する場合も、別途で個別に包む必要がないことがほとんどです。
ただし、契約している永代供養のプランやご供養の形によっては、個別にお布施を用意する場面もあります。
- 契約プランに「納骨当日の読経」が含まれていない場合
永代供養のプランによっては、最初の費用に含まれているのが「これからの管理や供養」だけで、納骨式当日のお経のお礼は含まれていない場合があります。その場合は、納骨の日に合わせて、個別で読経を依頼し、別途お布施を用意しましょう。
- 家族だけで「個別」の法要を依頼する場合
お寺や霊園が合同で執り行う毎年の供養ではなく、「我が家の一周忌なので、個別にお墓の前でお経をあげてほしい」とお坊さんを単独でお呼びする場合は、通常のお墓と同じようにお布施の用意が必要になります。
「永代供養を選んだから、何も用意しなくても大丈夫」と思い込んでしまうと、いざという時に慌ててしまうかもしれません。「イメージしていたものと違う」と悲しい思いをしないためにも、契約内容は事前によく確認し、しっかりと把握しておきましょう。
また、お布施は「お気持ち」の部分が大きいので、最初の費用に含まれている場合でも、必要に応じてお渡しすることは問題ありません。
永代供養という言葉の本来の意味や、通常のお墓との仕組みの違いについてより深く知っておきたい方は、こちらのコラムもあわせてご覧ください。
お墓にまつわる法要で包むお布施(墓経料)の金額目安
お布施は「お気持ち」とされているからこそ、「いくら包めば失礼にならないだろう」と頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
お墓の前で行う法要で包むお布施の目安は、一般的には1万円~5万円がひとつの相場とされています。
ご家族の節目となるそれぞれのシーン別に、もう少し詳しく金額の目安をご紹介します。
- 納骨式:3万円~5万円
火葬したご遺骨をお墓におさめる納骨式では、3万円~5万円をお包みするのが一般的です。大切なご遺骨を初めてお墓へとお迎えする節目だからこそ、これまでの感謝とこれからの供養の気持ちを込めて、この範囲で用意される方が多いです。
また、納骨式当日までに準備すること、当日の流れやマナーなどを詳しくご紹介しているコラムもありますので、よろしければご覧ください。
◆納骨式とは?主な流れ・施主がすべき準備・当日のマナーもご紹介
- 開眼供養(新しくお墓を建てたとき):3万円~5万円
新しくお墓を建てた際に行う開眼供養(魂入れ)も、3万円~5万円がひとつの目安です。仏教において、開眼供養は新しいお墓に魂を迎え入れる「お祝い事(慶事)」の側面もあるため、お寺へのお礼と晴れやかな感謝を込めて5万円を包まれるケースも多く見られます。
また、知っておきたい当日の流れやルールなど、開眼供養(魂入れ)について詳しくご紹介しているコラムもありますので、よろしければご覧ください。
◆魂入れ(お性根入れ)とは?お墓が完成したら欠かせない儀式です
- 閉眼供養(墓じまい・お墓の引っ越し):3万円~5万円
お墓を解体・撤去する墓じまいや改葬の際に行う閉眼供養(魂抜き)でも、3万円~5万円が相場となります。これまでの長い年月、ご先祖様をそっと見守り続けてくださったお墓とお寺への「最後の感謝のしるし」として、心を込めてお渡しします。
また、閉眼供養(魂抜き)に必要な準備や当日のマナー、墓じまいに必要な費用や手続きについて詳しくご紹介しているコラムもありますので、よろしければご覧ください。
◆魂抜きとは?~必要性や適切なタイミング・準備から当日の流れまでを解説します~
- お墓参りや通常の墓前法要(一周忌や三回忌など):5千円~5万円
お盆やお彼岸といった通常のお墓参りの際にお経をあげていただく場合と、一周忌などの特別な節目の法要とでは、金額の目安が少し変わってきます。日常的に行うお墓参りで読経をお願いする場合は、5千円~1万円ほどと少し低めに用意される方が多いです。無理のない範囲でお寺への日頃の感謝をお渡しするのがよいでしょう。
一方で、ご家族が集まる一周忌や三回忌といった大切な法要をお墓の前で行う場合は、3万円~5万円が一般的な相場となります。なお、お寺や自宅、葬儀会館での法要に続いて、お墓の前でも続けてお経をあげていただく場合は、お布施を2回に分けて渡す必要はありません。ひとつの封筒に両方の分の感謝(5万円~7万円など)を合わせて、まとめてお布施としてお渡しするのがマナーとなります。
迷った場合は、お寺に直接相談しても大丈夫
お布施は、地域やお寺との付き合いの深さによっても変わるため、これまでご紹介した金額はあくまで目安として参考にしていただき、どうしても判断に迷ってしまう場合はお寺に直接お伺いしてみるのもよいでしょう。
「おいくらですか?」と聞いてしまうとお寺側も答えにくくなってしまいますが、「みなさんどれくらいお包みされていますでしょうか?」とお尋ねすれば、だいたいの目安を教えていただけるでしょう。
お墓にまつわる法要で渡す封筒の選び方と表書きの書き方
お渡しするお布施の準備を進めるなかで、次に迷うのが封筒の選び方や書き方です。「お墓の前での法要だから「墓経料」と書く?」と思われるかもしれませんが、実はここに大切なポイントがあります。
封筒の表書きに「墓経料」という言葉は使わない
「墓経料」は、あくまで墓前でお経をあげていただいた際のお礼の「通称」ですので、実際に包む封筒の表書きに「墓経料」と書くことはありません。
封筒の表には、より一般的な正式な言葉である「御布施」または「お布施」と書くのが正しいマナーになります。
お布施と筆を入れることで、どの宗派であっても間違いになりませんし、お寺側にも礼を尽くした丁寧な気持ちが伝わるでしょう。
使用する封筒の選び方
お布施を包む袋はどのようなものを選べばよいのでしょうか。一般的には、以下のような「白無地の封筒」か「奉書紙」のどちらかを選んでおくと安心です。
- 白無地の封筒
郵便番号の枠線が印刷されていない、一重(ひとえ)の真っ白い封筒を用意します。二重の封筒は「不幸が重なる」という言葉を連想させるため、法要の場では避けるのがマナーです。
- 奉書紙(ほうしょし)
最も丁寧で格式高い包み方です。半紙でお札を包んだあと、さらに上から奉書紙という白い上質な和紙で包みます。大きな節目を、しっかりと礼を尽くして行いたいときに向いています。
お寺やお坊さんへの感謝の気持ちであるため、基本的には黒白などの水引がついた袋を選ぶ必要はありません。水引のついた袋は、お通夜や葬式などでご遺族にお渡しする「香典」を包むためのものです。
お布施は、不幸ごとに対するお金ではなく、お寺への「お供え」ですので、基本的には水引のないシンプルな白い袋を用意するとよいでしょう。
なお、地域(主に関西圏など)によっては、お寺へのお礼として「黄白(きしろ)」の水引がついた袋を使う慣習がある場合もあります。もしご自身の地域や宗派がどちらにあたるか迷ったときは、お近くの文具店で尋ねてみるか、事前に親戚やお寺に確認しておくと間違いがないでしょう。どうしても判断に困る場合は、何も飾りのない真っ白な封筒を選ぶのが無難で安心な選択となります。
また、最近は文具店や100円ショップなどでも、あらかじめ表面に「御布施」と文字が印刷された白封筒が販売されています。毛筆や筆ペンで綺麗に文字が書けるか不安な方でも安心して使えますので、お店で見かけた際はこうした印刷入りの封筒を選ぶのもよいでしょう。
表書き・裏面の書き方
文字を書く際、最も大切なのが「普通の濃い墨(またはサインペンや筆ペン)を使う」ということです。お葬式の香典などでは、悲しみの涙で墨が薄まったことを表す「薄墨(うすずみ)」を使いますが、墓経料はお寺への感謝の気持ちを伝えるものなので、薄墨は使いません。心を込めてはっきりと黒い文字で書いていきましょう。
- 表面の上半分
中央に「御布施」または「お布施」と縦書きします。
- 表面の下半分
「御布施」の文字よりも少し小さめに、施主(せしゅ)の氏名(例:「鈴木 太郎」または「鈴木家」)を書きます。
- 封筒の裏面
左下に、施主の「住所」と「電話番号」を記載します。また、中央寄りに包んだ「金額」を「金参萬圓(3万円の場合)」のように旧字体の漢数字で書いておくと、お寺側が管理しやすくなるためとても親切です。
包むとき・渡すときのマナー
お札の包み方や、当日お坊さんへお渡しする際のマナーを確認していきましょう。
お布施とは、ご本尊への感謝を表すとともに、大切な場所やお墓を守り維持してくださっているお寺を支えるための「お供え」という意味を持っています。サービスへの支払い(料金)という感覚ではなく、「いつも見守っていただきありがとうございます」という日頃の感謝とお供えの気持ちを込めることこそが、何よりのマナーです。その心を包み方や渡し方の作法に乗せて届けましょう。
お札の包み方
- 新札を用意する
お布施は悲しみの弔事(葬儀の香典など)とは異なり、お寺への感謝を伝えるために、前もって準備しておくものです。あらかじめ新札を用意しておきましょう。
- お札の向き
封筒の表側(「御布施」と書いた面)に対して、お札の肖像画が「上(封筒の口に近い方)」かつ「表」を向くように入れます。封筒を開けたときに、最初に肖像画が正面を向いて出てくるのが正しい向きです
お渡しする際のマナー
- 袱紗(ふくさ)に包んで持参する
封筒はそのまま持ち運ぶのではなく、紫や紺色などの落ち着いた色の袱紗に包んで持参します。正式な仏事ではお盆に乗せてお渡しする作法がありますが、野外のお墓ではお盆の持参が難しいため、お渡しする直前に袱紗から封筒を取り出し、その袱紗をお盆(下敷き)代わりにしてお渡ししましょう。
- お渡しするタイミング
法要が始まる前の最初の挨拶の時、または法要が終わってお礼を伝える際にお渡しします。基本的にはどちらのタイミングでも失礼にはあたりません。
- 向きに注意して差し出す
お坊さんから見て、表書きの文字が正面(読める向き)になるように、袱紗の上で時計回りに向きを変えてから差し出します。
- 感謝の言葉を添える
両手でそっと差し出しながら、法要の前であれば「本日はどうぞよろしくお願いいたします。どうぞお納めください。」、法要の後であれば「本日はお心のこもった読経をいただき、ありがとうございました。どうぞお納めください。」などと、状況に合わせた一言を添えてお渡しすると非常に丁寧です。
お渡しする際の手順や言葉遣いを心に留めておくと、当日は余計な心配をすることなく、穏やかな心で迎えることができるでしょう。
お墓にまつわる法要でほかに必要となる費用
お墓の前で行う法要では、お布施のほかに状況に合わせて必要となる費用があります。当日慌てて準備することの無いよう、確認していきましょう。
- 御車代(おくるまだい):5千円~1万円
お寺以外の霊園や地域の墓地など、お坊さんに出向いていただいた際にお渡しする交通費です。お寺の境内にあるお墓で行う場合は必要ありませんが、遠方から足を運んでいただいた場合などは、感謝の気持ちを込めてお包みします。
- 御膳料(おぜんりょう):5千円~1万円
法要の後にご家族で会食を行う際、お坊さんが参加を辞退された場合にお渡しする食事代です。もし、一緒に会食の席につかれる場合は、御膳料を用意する必要はありません。
- 離檀料(りだんりょう):10万円~20万円
こちらは少し特殊ですが、墓じまいをしてこれまでお世話になったお寺の檀家をやめる際にお渡しするものです。「これまでの長い間、ご先祖様を見守っていただきありがとうございました」というお礼の気持ちを込めてお包みします。
墓じまいの際にかかる離檀料の仕組みや注意点について詳しくご紹介しているコラムもありますので、よろしければご覧ください。
これらの費用はお布施とは別の封筒にそれぞれ用意します。包む袋は、お布施と同じように「郵便番号枠のない白い無地封筒」か「少し小さめの白いポチ袋(無地のもの)」を用意するとよいでしょう。表書きには「御車代」「御膳料」とはっきり黒い濃い墨で書いて、お布施と一緒にまとめてお渡しするのがマナーとなります。
お布施と同様に、ご紹介した金額はあくまで目安です。お寺との付き合いの深さや、移動にかかる実費の状況に合わせて、無理のない範囲でお包みください。
感謝の心を形にして
普段はあまり聞きなれない「墓経料」という言葉ですが、その意味を見てみると、お墓の前でお経をあげていただいた際のお礼をわかりやすく表した呼び名であることが分かります。
言葉は違っても、大切な場所やお墓を守ってくださるお寺を支えるための「お供え」であり、お布施が持つ本来の意味となにも変わりはありません。
その温かい心を、お寺への感謝の気持ちと一緒に、丁寧にお布施を包むという作法に乗せて届けてみてはいかがでしょうか。
お墓の前での正しい作法やマナーをあらかじめ知っておくと、迷いや不安なく、故人やご先祖様に手を合わせることに集中できます。ぜひ以下の記事もお読みいただき、穏やかな心でお参りするためのヒントを見つけていきましょう。