お役立ちコラム お墓の色々

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喪中に結婚式を挙げてもいいの?延期すべき場合の例や注意点を解説

葬祭基礎知識

喪中に結婚式を挙げてもいいの?延期すべき場合の例や注意点を解説

結婚式を控えたタイミングで、身内に不幸があり喪中になってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?一般的には、喪中は結婚式などのお祝い事を控えるものとされていますが、すでに会場を予約した後だったり、招待状を発送済みだったりする場合には、「予定通り行ったほうがよいのか?」「延期すべきなのか?」と、悩んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。

喪中の結婚式についてどのように考えて決めれば良いのか、今回は、喪中でも結婚式を行って良い場合と、延期や中止を考えた方が良い場合について、考え方や注意点を解説していきます。

そもそも喪中・忌中とは?

「喪中」とは、家族や親族が亡くなった時に、喪に服している期間のことを言います。一般的には、2親等以内の親族が亡くなった際の、命日から一周忌(翌年の同月同日)までの1年間を指し、故人の死を悼み、お祝い事や派手な行動を控えて身をつつしむ期間とされています。さらに、この喪中期間の中でも、命日から四十九日法要(神道では五十日祭)までの期間のことを「忌中」と言い、故人が亡くなってから間もない時期であることからも、特に行動を慎む期間とされています。

なお、キリスト教では、「人が亡くなることは、天に召される幸福なこと」との考え方があるため、喪中や忌中という概念がありません。

喪中に結婚式を挙げてもいいの?

喪中の結婚式に対する考え方はさまざま

一般的には、結婚式を控えたタイミングで喪中になった場合、延期や中止をする方がいいと言われてきました。しかし近年では、個々の事情が尊重されるようになってきており、喪中に結婚式を挙げるかどうかは、以下のように様々な考え方があります。

  • 一般的に喪中とされている1年間は式を控え、一周忌を過ぎてから行う
  • 一周忌がまだでも、服忌令に基づく喪中の期間を過ぎていたら行う

(「服忌令(ぶっきりょう)」とは、明治から昭和にかけて用いられていた、喪に服す期間(服忌)を定めた法令です。喪中については、亡くなった方が両親なら13ヶ月、兄弟姉妹は90日、祖父母の場合、父方は150日、母方は90日とされており、当時の習慣に沿って喪中と考える場合もあります。)

  • 喪中であっても、忌中を過ぎていたら行う
  • 喪中や忌中であっても、葬儀や初七日が終わっていれば行う
  • 喪中や忌中に関係なく行う

喪中の間は結婚式を控えるのが一般的とされつつも、「喪中に結婚式を挙げてはいけない」という決まりはなく、喪中であってもそれぞれの事情に合わせて式をあげるという方も増えているようです。価値観や考え方は様々ですので、喪中は結婚式を挙げても良い、または良くないと、一律に述べることはできません。新郎新婦や親族の気持ち、関わる方々の理解、ゲストの都合などを考慮して検討すると良いでしょう。

喪中に入籍はしても良いの?

婚姻届を役所に届け出る行為自体は「お祝い事」ではないため、喪中を気にせずに入籍をして問題ないとされているようです。しかし、入籍もおめでたいことですので、家族や親族が気にしそうな場合には、事前に相談すると良いでしょう。

結婚に伴う引越しを考えている場合も、入籍と同様に「引越し」自体はお祝い事ではないため周りの理解が得られているなら問題ないでしょう。

新婚旅行については、お祝い事と捉える方も少なくないため、結婚式と同様に両家でよく話し合って決めるようにしましょう。

喪中でも結婚式を挙げて良いと考えられる場合

喪中期間でも、結婚式を挙げてよいとされるのは、どのような場合があるのでしょうか。

新郎新婦と両家の親族が納得している

「結婚が故人のたっての願いだった」、「結婚式を挙げることが故人の供養にもなると考えている」などの理由で、新郎新婦や両家の親族が納得し、喪中であることを気にしないのであれば、予定通りに結婚式を行って差し支えないでしょう。

式場予約やゲストの都合の関係で日程変更が難しい

また、「式を延期すれば今度いつできるか分からない」、「日程変更は参列者に迷惑をかけてしまう」、「式場などのキャンセル費用が負担になる」といった場合も、予定通りに式を行うことが多いようです。

喪中に結婚式を挙げる場合の注意点

両家の親族と相談して理解を得る

結婚式の開催にあたり、まずは、新郎新婦が納得していること、そして、両家の親族の理解を得ることはとても大切なことです。わだかまりが残らないよう、必ず両家で相談して決めるようにしましょう。その際、同じように近しい人を亡くした親族の悲しみに配慮することも大切です。

参列者への連絡

こちらに不幸があったことを知っている参列者の中には、「結婚式の開催はどうなるのだろう?」と心配になる方もいらっしゃいます。予定通りに式を挙げることが決まったら、その旨を早急に連絡しましょう。「故人の希望があって」などと一言添えると、参列者も安心できるでしょう。

式中の参列者への配慮

喪中であることを知らない参列者にわざわざ知らせる必要はありません。しかし、式中のスピーチで「故人の希望で結婚式を挙げることいたしました」などと伝えたり、故人の席を用意して故人を偲ぶ気持ちを表したりすることで、喪中であることを知っている参列者も安心して過ごせますし、家族を大切にする親族の想いも伝わるでしょう。

必要があればお祓いをする

神道では、死を「穢れ」とする考え方があることから、喪中に神前式を行う場合には事前のお祓いが必要な場合もあります。神前式を予定している場合は、会場に確認しましょう。

結婚式の延期や中止を検討したほうがよい場合

一方で、結婚式の延期や中止を検討した方が良い場合もありますので、注意点もあわせて紹介します。

新郎新婦や親族の気持ちが回復していない

故人を失った悲しみが深く、気持ちが回復していないという場合には、延期や一旦中止というという対応をする方が良いでしょう。近しい人を亡くした悲しみは、思った以上に深い場合もあります。心から結婚を祝うためにも、無理をせず、まずは気持ちのケアに専念しましょう。

親しい人が亡くなった際の悲しみのケアについては、こちらの記事もご覧ください。
グリーフケア・遺族ケアとは?意味や悲しみに寄り添う方法を解説します

親族の同意が得られていない

前述したように、結婚式をいつ行うかについて、親族の理解を得ていることはとても大切です。中には、喪中に結婚式を挙げることに対して、好ましくないと考えたり、不安を感じたりする方がいらっしゃり、同意を得られないこともあるでしょう。このように、親族が納得していない状態であれば、延期を検討する方が良いでしょう。

式場の予約が確定していない

式場がまだ決まっていない場合や、式場の予約が確定していないという場合には、どうしても予定していた日に行いたいという理由がある場合を除いて、挙式を急がずに計画し直すことを考えても良いでしょう。落ち着いてからゆっくりと準備をするほうが、新郎新婦や親族も安心してお祝いすることができるのではないでしょうか。

結婚式を延期・中止するときの注意点

式場などの解約や日程変更は早めに行う

既に式場を予約している場合、結婚式を延期・中止すると、日程変更料や解約料金が発生するのが一般的です。挙式日が近くなるほど料金が上がってくるため、予定を変更することが決まったら、できるだけ早く式場に連絡しましょう。また、式の日程変更をする場合には、希望の日時が空いているかの確認も早めにするとよいでしょう。
式場だけではなく、招待状や衣装・引き出物などの発注先、ブライダルエステなどを予約しているお店や宿泊予約をしているホテルなどについても、解約や変更などが必要になってくるので、漏れがないように連絡して詳細を確認しましょう。

式の準備を進める際には、予約したもののリストを作成したり、解約や変更が必要になった時の対応や料金について事前に確認しておいたりすると、万が一の際にも慌てずに対応することができるでしょう。

ゲストへの連絡

すでに、結婚式の開催の連絡や招待状の発送が済んでいる場合には、速やかに延期・中止の連絡をします。招待状を発送済みの場合は手紙で知らせるのが正式な方法ですが、仕事の調整や、遠方の方であれば宿泊予約の変更が必要な方もいらっしゃるかもしれないため、取り急ぎ電話やメールで事情を伝えましょう。その際、まずは主賓や上司など目上の人から伝えます。他の方から延期や中止の旨が伝わってしまうことは失礼にあたるためです。その後、お詫び状を作成して参列者全員に正式に知らせるようにしましょう。

喪中に結婚式に招待された場合はどうする?

自分が喪中の時に、他の人の結婚式への招待を受けた場合は、欠席するのが一般的なマナーとされています。ただ、近年では、忌明け以降や、新郎新婦からの強い希望がある場合などは参列しても問題ないとされることもあるため、新郎新婦との関係性、開催時期、家族の気持ちなどを考慮し、新郎新婦や主催者にも相談して判断すると良いでしょう。

仕事関係の時や主催者側が事情を知らない場合には、あえて知らせず参加することもありという考え方もあるようです。ただ、ご自身の気持ちの整理がつかず、お祝いする気持ちになれないという時には無理をせず、欠席の連絡を入れて問題ありません。その場合は、後日お祝いをさせて欲しいと伝えると良いでしょう。

まとめ

喪中に結婚式を行うかどうかについては、様々な考え方があり、状況によってもどう判断するかが変わってきます。
まずは新郎新婦や家族・親族の気持ちを尊重し、故人の思いを考慮した上で、みんなが納得できる方法を考えることが大切です。周りの人たちへの配慮や感謝を忘れずに対応できると良いでしょう。

喪中のお祝い事がタブーであった昔と違い、現在は、「家族の成長や幸せを願っていた故人の想いに応える形で、結婚式での晴れ姿を見せて感謝を示すことが、一つの供養になる」という考え方も受け入れられる世の中になってきました。
結婚式を挙げた後にはお墓参りに行き、無事式を上げられた報告や、幸せを願い見守ってくれたことへの感謝などを伝えて手を合わせてみてください。きっと、故人やご先祖さまも喜ばれることでしょう。

結婚式と同様に家族にとって大切なお祝いとなる入学式や卒業式についての考え方もまとめています。
忌中や喪中に、卒業式・入学式に出席したり、お祝いを送ったりしてもいいの?

喪中の詳しい由来や過ごし方、供養の意味などについては、こちらも合わせてお読みください。
忌中と喪中の違いとは?年賀状を送らないのはどっち?
四十九日までの過ごし方 〜すべきこと、してはいけないこと〜
そもそもご供養の意味とは?