お役立ちコラム お墓の色々

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9月の季節の行事・イベント・風物詩といえば?お墓参りのタイミングも紹介

供養・埋葬・風習コラム

キンモクセイの甘い香りが漂い、秋の花が咲き始めるも残暑が厳しい9月。秋のお彼岸や、十五夜のお月見のほか、収穫の季節ならではの伝統ある祭りも各地で行われる季節です。お盆が過ぎたこの時期には、他にどのような行事やイベントがあるのでしょうか。

今回は、9月の行事やイベント、祝日などを順に解説し、お墓参りに良いとされるタイミングについても紹介していきます。

9月はこんな月

残暑の中にも秋の気配を感じる9月

9月というと、少し前なら秋の始まりと考える人も多かったと思いますが、近年、日中は夏の暑さがまだまだ続き、熱中症対策も欠かせません。とはいえ月の後半には、朝夜が徐々に涼しくなり、秋晴れの下で揺れるススキや稲穂、虫の声などに、少しずつ秋の気配が感じられるようになってきます。

一方で台風シーズンでもある9月は、災害への注意が必要になるほか、外出や旅行の際は、台風情報のチェックが欠かせない月です。


長月と呼ばれる理由

9月は、「和風月名」という古くからの月の呼び名で「長月(ながつき)」と呼ばれます。

由来は諸説ありますが、旧暦の9月は現在の10月頃にあたり、夜の長さが際立つ時期であったことから、「夜長月(よながづき)」が転じたとする説が有力です。また、成長した稲穂を意味する「穂長月(ほながづき)」や「稲熟月(いねあかりづき)」、稲刈りを意味する「伊奈我利月(いながりづき)」や「稲苅月(いなかりづき)」など、稲作にまつわる呼び名が転じたとする説もあります。

そのほか、旧暦の9月には「寝覚月(ねざめづき)」、「いろとり月」、「紅葉月」、「菊開月(きくさきづき)」といった別名もあったようです。

秋の連休「シルバーウィーク」

近年、9月の国民の祝日「敬老の日」と「秋分の日」を含む連休を、「シルバーウィーク」と呼ぶようになっています。

2003年から敬老の日が9月の第3月曜日となったことで、秋分の日の曜日次第では、3連休が2回続く年や、5連休になる年もあり、秋の大型連休として認識されるようになりました。高齢者世代を指して「シルバー」とも呼ぶことや、旅行会社やメディアがこの呼び方を用いたことから、「ゴールデンウイーク」に対して「シルバーウィーク」との呼び方が広まったようです。

この期間は、連休を使って旅行やイベントを楽しむ人が多い一方、夏の疲れを癒す期間としてゆったり過ごす人も少なくないようです。

9月の行事・イベント・風物詩

風祭(かざまつり)

季節の移り変わりを表す暦「雑節」のひとつに、「二百十日(にひゃくとおか)」があります。立春から数えて210日目にあたる日で、今の暦で9月1日頃となるこの日は、昔から台風が多く、農作物が大きな被害を受けやすいことから「厄日」とされていました。そのため、各地で風を鎮めて豊作を祈る「風祭(かざまつり)」「風鎮祭」といった祭りが行われるようになり、今もなお一部の地域で受け継がれています。神奈川県小田原市には、この行事が由来とされる「風祭」という地名が残っており、古くから続く行事であることがうかがえます。

正月やお盆、稲作の節目などに合わせて行う地域もありますが、この時期に行われるものでは、富山県富山市八尾町の「おわら風の盆」や、山形県朝日町大谷地区で江戸時代から続くと伝えられる「大谷風神祭」などがよく知られています。

八朔祭(はっさくまつり)

八朔(はっさく)とは、八月朔日(ついたち)、つまり旧暦の8月1日のことです。 稲穂が実り始める時期に、台風や害虫などに被害に遭わないよう、田の神様に豊作を祈願する風習があったと伝えられています。このことから「田の実節句(たのみのせっく)」とも呼ばれ、日頃からお世話になっている人(頼み事をする人)に感謝を込めて、新米などその年に採れた穀物を贈り合う習慣も生まれたとされています。これをお中元の起源とする説もあるようです。

現在では、この時期に贈り物をする風習はほとんど残っていませんが、豊作を祈願する行事は受け継がれ、旧暦の8月1日にあたる9月1日頃には、各地で「八朔祭」と呼ばれる、五穀豊穣や家内安全、商売繁盛などを祈願する祭りが行われます。

京都の最後の夏祭りとも呼ばれる松尾大社の「八朔祭」や、熊本県上益城郡(かみましきぐん)山都町(やまとちょう)に伝わる「矢部の八朔祭」などが有名です。

重陽(ちょうよう)の節句

重陽の節句は、桃の節句や端午の節句などと並ぶ節句の一つで、無病息災や長寿を祈る伝統行事です。不老長寿の力があるとされる菊にあやかり、菊を愛でたり菊酒を飲んだりする習わしがあることから「菊の節句」とも呼ばれています。

五節句のうちの一つでありながら現在では馴染みが薄れていますが、一部の地域や寺社などでは、この節句を祝う催しが開かれ、菊にちなんだ風習が受け継がれています。また、秋の実りを祝う習わしとも結びつき、家庭では、栗やナスなど秋の味覚を楽しむ日として親しまれています。

陽の節句の起源や風習などについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

9月9日の重陽の節句とはどんな行事?〜起源や菊に込められた意味、風習、食べ物について解説します

十五夜(中秋の名月)

十五夜(じゅうごや)とは、秋の真ん中とされていた旧暦の8月15日の夜(十五夜)に、1年で最も美しいと言われる満月(中秋の名月)を眺めながら、収穫に感謝し豊作を祈る日本の伝統行事です。この時期は芋の収穫時期にあたり、里芋やさつま芋を供える風習があることから、「芋名月」とも呼ばれています。

現在では、旧暦の8月15日にあたる9月中旬から10月初旬頃の満月の夜に、月見団子やススキを飾り、月を眺める習慣が残っており、秋の風物詩として広く親しまれています。なお、今後の十五夜の予定は、2025年が10月6日、2026年が9月25日、2027年が9月15日です。

このほか、「お月見泥棒」「団子盗み」などと呼ばれる、子どもがお供え物やお菓子をもらいながら家々を回る風習や、鹿児島の一部地域で行われる綱引きや相撲などで豊作祈願をする行事など、その土地ならではの習わしも受け継がれています。

秋のお彼岸

お彼岸とは、年に2回、「春分の日」と「秋分の日」それぞれを中日とした合計7日間に、ご先祖様を供養する、古来より大切にされてきた仏教行事です。

仏教においてこの時期は、太陽が真東から上り真西に沈むことから、西の果てにある彼岸(あの世)と東にある此岸(この世)が最も近づき、想いや願いが届きやすくなると考えられてきました。そのため、お墓参りをはじめ普段よりも手厚くご先祖様を供養し、感謝を伝えると同時に、自らも極楽浄土へ行けるようにと、日々の行いを見直す期間とされています。

秋のお彼岸のお墓参りでは、季節の花と、秋の七草の一つである「萩(はぎ)」の花が由来となった「おはぎ」をお供えするのが一般的ですが、地域や家庭によっては、お彼岸団子をお供えするところもあります。

お彼岸の習わしや過ごし方については、こちらの記事をご覧ください。

お彼岸には何をするもの?お彼岸の常識を解説

お彼岸にまつわるさまざまな由来を紹介します

9月の祝日など

防災の日(9月1日)

毎年9月1日は「防災の日」です。この日は、死者・行方不明者が約10万5000人に及ぶなど甚大な被害をもたらした、1923年(大正12年)9月1日の関東大震災を教訓に、「一人ひとりの防災対策の重要性を広く国民に理解してもらう(政府広報オンラインより)」という目的で、政府によって制定されました。

また、「防災の日」を含む8月30日から9月5日の1週間は「防災週間」とされており、この時期を中心に、各地で防災訓練や啓発イベントなどが行われます。

災害や防災対策についての理解を深める日として、政府によって制定されました。

敬老の日(9月第3月曜)

敬老の日は、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨とした国民の祝日のです。全国各地で、高齢者の長寿を祝い感謝を伝えるイベントが開かれます。

始まりは1947年(昭和22年)、兵庫県のある村で9月15日に開かれた「敬老会」だと言われており、この取り組みが全国に広がったことで、1966年(昭和41年)に「敬老の日」として国民の祝日に定められました。

当初は9月15日でしたが、祝日法改正(ハッピーマンデー制度)により、2003年からは9月の第3月曜日となっています。

秋分の日(9月22日・23日頃)

秋分の日は、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨とした国民の祝日です。毎年9月22日・23日頃となりますが、春分の日と同様、具体的な月日は定められておらず、国立天文台の観測により昼と夜の長さが等しくなる日に定められます。

もともと秋分の日は、ご先祖さまを供養するお彼岸であり、また、古くからご先祖様に祈りを捧げ五穀豊穣を願う、「日願(ひがん)」という習わしがあったとも言われています。1878年(明治11年)以降は、「皇霊祭(こうれいさい)」として歴代の天皇・皇后らの御霊を祀る儀式が行わるようになったことで休日とされ、その後、1948年(昭和23年)に施行された法律により、「秋分の日」として国民の祝日となりました。

9月のお墓参りに良いタイミングはいつ?

伝統的なお墓参りの期間、秋のお彼岸

9月のお墓参りといえば、はやり秋のお彼岸です。

前述のように、お彼岸はあの世へ願いや祈りが届きやすい時期とされています。お墓に足を運び、手を合わせ、語りかけるように日頃の感謝を伝えてみてください。きっと、いつも以上に故人やご先祖さまの存在を身近に感じられることでしょう。

また、お彼岸は自分の生き方を見つめ直す期間とも言われています。秋の澄んだ空気のなかで心静かに手を合わせる時間は、自分自身の心を整えるひとときにもなるはずです。

お彼岸のお墓参りについては、こちらの記事も併せてご覧ください。

お彼岸に供える花の選び方 菊じゃなくても大丈夫

「お彼岸団子」とは?ぼたもちでもおはぎでもないお彼岸のお菓子

重陽の節句や敬老の日に合わせて

無病息災や不老長寿を願う「重陽の節句」、高齢者への感謝を示し長寿を祝う「敬老の日」は、いずれも家族に感謝しその絆を深めるという意味で、自然とご先祖様への感謝にもつながります。

重陽の節句は、中国の重陽節に起源があると言われていますが、その中国では現在、重陽節が敬老の日として大切にされており、家族の歴史を大切にするためにお墓参りをする地域もあるようです。

こうした節目に墓前で手を合わせることは、世代を超えたつながりを実感できる良い機会となるでしょう。重陽にちなんで故人の好みや雰囲気に合わせた菊の花をお供えするのもおすすめです。

まとめ

今回は、9月に催される行事やイベント、祝日などについて紹介してきました。

9月は、お彼岸や十五夜、重陽の節句、各地の祭りなど、日本ならではの伝統行事が多く行われる月です。それぞれの行事の意味を感じながら過ごすことで、自然への感謝やご先祖様を敬う気持ちなど、私たち日本人が古くから大切してきた心を思い出すきっかけにもなりそうです。

お彼岸などにお墓参りをする際には、家族揃ってお参りをし、故人との思い出話を語り合うのもおすすめです。家族やご先祖さまとの絆を、より一層深く感じることができるでしょう。

秋のお墓参りについては、こちらの記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。またまだ暑い日が続きますので、熱中症対策も忘れないようにしましょう。