お役立ちコラム お墓の色々

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「地獄に落ちる」とは?仏教の六道と地獄をわかりやすく解説

供養・埋葬・風習コラム

最近では、2026年にNetflix(ネットフリックス)で配信されたドラマ『地獄に堕ちるわよ』も話題になりましたが、子どもの頃などに「悪いことをすると地獄に落ちるよ」という言葉を聞いたことがある人は少なくないでしょう。

血の池や針の山、鬼など、恐ろしい世界として知られる地獄ですが、どのような場所なのでしょうか?どんな人が地獄へ落ちるのか?そして地獄へ落ちないためにはどうすればよいのか?もし子どもから尋ねられたら、あなたは答えられますか?

今回は、今日まで語り継がれてきた地獄の世界観をもとに、その意味や、地獄へ落ちないために大切だとされる考え方について、わかりやすく解説します。

日本における地獄とは?

仏教における死後の世界の一つ

「地獄」とは、生前に悪い行いをした人が死後に送られ、さまざまな苦しみを受けるとされる、宗教的な世界のことです。

仏教やキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教など、様々な宗教でこのような概念がみられますが、日本で「地獄」というと、一般的には仏教で説かれる死後の世界のことを指します。

死後に生まれ変わる六道の中の地獄

仏教には、「六道輪廻(ろくどうりんね)」という考え方があり、全ての生命は、生前の行いによって、「六道(ろくどう、りくどう)」と呼ばれる6つの迷いの世界を巡りながら、生まれ変わりを繰り返すとされています。

この六道の中でも最下層に位置し、最も苦しみが大きいとされる世界が「地獄道」です。

日本で広く知られる「地獄」のイメージは、この地獄道を元に、民間信仰や日本古来の神道、大陸より伝わった道教が混じり合い広まったものと考えられています。

迷いの世界とされる「六道」とは、以下の6つの世界です。

<六道>

  • 天上道(天道、天界道)・・・喜びや楽しみに満ち溢れた世界だが、永遠ではなく、死を迎える際には大きな苦しみを味わう。
  • 人間道・・・私たち人間が住む、喜びも苦しみもある世界。六道の中では唯一、輪廻を抜けるための仏道修行ができる。
  • 修羅道・・・戦いや争いの絶えない世界。
  • 畜生道・・・人間以外の畜生として本能のまま生きる、弱肉強食の世界。
  • 餓鬼道・・・飢えと渇きに常に苦しみ、満たされることのない世界。
  • 地獄道・・・絶え間ない苦痛が続く、最も過酷な苦しみの世界。

どの世界も苦しみから逃れることはできないとされていますが、そこに救いはないのでしょうか?

実は、「お地蔵さま」として親しまれている「地蔵菩薩」が、六道を巡って故人を救済すると言われています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

お墓参りで見かける六地蔵。6体並んでいる意味とは?

どんな人が地獄へ落ちるの?

地獄へ落ちるかどうかは、生前の行いで決まる

仏教における地獄の捉え方は、「自分の行いは自分に返ってくる」という因果応報(いんがおうほう)の教えに基づいており、どの世界へ生まれ変わるか、地獄へ落ちるかどうかは、生前の行いによって決まると考えられています。

「悪い行い」ってどんなこと?地獄へ落ちる人とは?

では、生前の行いの中でも、やったら地獄に落ちると言われる「悪い行い」とはどういう行為を指すのでしょう?

仏教でいう「悪い行い」とは、殺生や盗みなど人を傷つける行為だけではありません。嘘をつくことや、人を思いやらず自分の欲望や怒りに振り回されること、正しい教えを理解しようとしないことなど、日々の言葉や行動、心のあり方も含まれます。

そうした一つひとつの積み重ねが、生まれ変わる世界を左右すると考えられているのです。

つまり、「一度悪いことをしたから地獄へ落ちる」「特別な悪人だけが地獄へ落ちる」と言うものではなく、自ら積み重ねた悪い行いの結果として、地獄道へ生まれ変わると考えられています。

地獄とはどのような世界?

はるか地下深くに広がる地獄の世界

仏教では、地獄は私たちが暮らす世界のはるか地下深く、この世の最も底に位置すると考えられています。

最も底というと「奈落の底」という言葉がありますが、この「奈落」も、もともとは「地獄」を指す仏教用語です。古代インドのサンスクリット語で「地下にある牢獄」を意味する「ナラカ(naraka)」が語源だと言われています。

地獄といえば、炎が燃え盛る世界をイメージする方も多いかもしれませんが、灼熱の業火に苦しむ地獄や厳しい寒さに耐える地獄など、いくつかの階層があり、生前の罪の重さや内容に応じた苦しみを受けると説かれています。

またそこには、地獄の門番と言われる牛頭(ごず)や馬頭(めず)に代表される、「獄卒(ごくそつ)」または「鬼卒(きそつ)」と呼ばれる鬼が住んでおり、地獄に落ちた人々に対して責め苦を与えるとされています。

代表的な八大地獄

地獄が幾つの階層に分かれているかは経典によって異なりますが、最も一般的な解釈とされているのが「八大地獄」と呼ばれる八つに大別された地獄で、炎や熱による苦しみを受けることから「八熱地獄」とも呼ばれることがあります。

八大地獄について、場所が浅く責め苦の軽い順に、それぞれ何をした人が行くのか、どんな責め苦を受けるのかを簡単に紹介します。

・等活(とうかつ)地獄

殺生をすると落ちる地獄。

お互いに殺し合う、獄卒に身体を切り刻まれるといった苦しみを味わう。

・黒縄(こくじょう)地獄

殺生と盗みをすると落ちる地獄。

業火で熱した鉄の縄で縛られ、熱した鉄の斧で切り刻まれる、熱した鉄の山を登らされるなどの攻めを受ける。

・衆合(しゅごう・しゅうごう)地獄

殺生、盗みに加えて、邪淫(節度のない淫らな行い)を行うと落ちる地獄。

鉄の山に押しつぶされる、葉が刃物になる木でできた林で身体を引き裂かれるなどの攻めを受ける。

・叫喚(きょうかん)地獄

殺生、盗み、邪淫に加えて、飲酒(酒による悪事)をした者が落ちる地獄。

大釜で煮られる、熱く燃える鉄の部屋に入れられるなど、熱湯や猛火による攻めを受ける。苦しみによる叫び声を聞いた獄卒が怒り、更に追い打ちをかけるとも言われる。

・大叫喚地獄

殺生、盗み、邪淫、飲酒に加えて、妄語(うそ)を繰り返した者が落ちる地獄。

叫喚地獄よりも大きな釜などで、さらに大きな苦しみを受けたり、熱した鉄の針で、口や舌を何度も刺し貫かれたりする。

焦熱(しょうねつ)地獄 / 炎熱(えんねつ)地獄

殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語に加えて、邪見(仏教の教えを無視する考え方を説き、また実践すること)をした者が落ちる地獄。

全身を獄卒たちに打たれ続け、灼熱の炎で焼き尽くされる。

・大焦熱(だいしょうねつ)地獄 / 大炎熱(だいえんねつ)地獄

殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見に加え、犯持戒人(ぼんじかいにん/尼僧や修行中の童女などへの性犯罪)を行なった者が落ちる地獄。

炎の刀で体の皮が剥がされる、溶けて沸騰した鉄を体に注がれるなど、体に燃えていない場所がないほど焼き尽くされる。

・阿鼻(あび)地獄/無間(むけん)地獄

殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見、犯持戒人に加え、父母・阿羅漢(聖者)殺害を行なった、特に罪の重い者が落ちる地獄。

真っ逆さまに落ち続けて2000年かかり、地獄の最下層にあるとされる。業火で焼かれる、釜で煮られる、鬼に引き裂かれる、動物に食われるなどあらゆる苦しみを、永遠と感じるほどの長い時間、一瞬の休む間も無く(無間に)受け続ける。

地獄の世界観が広まった背景

日本で、このような地獄の世界観が広く知られるようになったきっかけは、平安時代の僧・源信が数多くの経典や論書を元に極楽往生についてまとめた、『往生要集』という仏教書にあると考えられています。

この中には、地獄の苦しみについても具体的にまとめられており、その描写が、書物や仏教絵画、文学、古典芸能などによって広く伝えられる中で、「血の池地獄」や「針の山」「釜茹で」「火炙り」など、現在にも語り継がれる地獄の姿が定着していったと考えられています。

より良い世界へ生まれ変わるためにできること

生前に善い行いを積む

死後に生まれ変わる世界を決める最も大きな要因は、生前の行いだと考えられており、日々善い行いを積み重ねることが大切だと考えられています。

仏教でいう善行とは、道徳に叶った行いや心のあり方、戒め(戒律)を守った正しい行いなど、自他ともに幸福で豊かになるような正しい行いのことを指します。

具体的には、殺生や盗みをしないこと、人を欺かないこと、客観的に正しく見ること、欲や怒りにとらわれず正しく考え判断すること、物や心を他者に与える(施す)こと、誠実に努力することなど、注意すべき戒めや、重ねるべき実践として説かれています。

また、見返りを求めず、誇らず、人知れず善いことをする「陰徳」も、重要視されています。

故人を想い、功徳を届ける「追善供養」を行う

「追善供養」とは、あの世にいる故人に代わって、現世にいる私たちが善行を積むことを指します。

浄土真宗以外の仏教では、故人の冥福を祈り、読経や法要などを通して善行を積むと、その功徳が認められ故人がより良い世界に生まれ変わることができる。そして、ゆくゆくは極楽浄土へたどり着けると考えられています。

故人が冥界で裁きを受ける四十九日までの間はもちろん、その後の年忌法要やお彼岸、お盆なども追善供養の機会とされています。葬儀や法要だけでなく、お墓参りや卒塔婆供養、仏壇に手を合わせることも、故人を想い功徳を届ける大切な供養の一つです。

追善供養については、以下の記事でも詳しく解説しています。

追善供養とは?生者が故人のためにできる唯一のこと

お墓の後ろにある卒塔婆、卒塔婆供養の意味

まとめ

地獄は、恐ろしく残酷な世界として語られる一方で、より善く生きることや、お墓参りをはじめとした供養の大切さに気づかせてくれる教えの一つでもあります。

その世界観は、仏教の教えにとどまらず、日本の文化にも深く根付いてきました。

絵画や文学、落語、昔話、絵本をはじめ、慣用句や火山・温泉地帯の名称など、さまざまな形で語り継がれ、現代では漫画やアニメの題材としても親しまれています。

そこには、「死」と向き合い、自分の行いを見つめ直しながら、時にはユーモアも交えて思いやりや道徳心を育んできた、日本人の価値観が表れていると言えそうです。

お墓参りや法要などで手を合わせる際には、供養にはどのような意味があるのか、地獄に落ちないためにどのように過ごしたら良いのかなどを、家族で話題にしてみるのもよいかもしれません。そうしたひとときが、故人やご先祖さまを偲ぶだけでなく、命のつながりや、今ある日常への感謝を改めて感じる時間になるのではないでしょうか。

供養の意味について解説した記事のほか、供養に欠かせないお墓参りや命の大切さについて描かれた絵本を紹介している記事もございます。お休みの時などに、親子で楽しみながら、仏教や日本の供養の文化に触れてみるのも良いでしょう。