お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

【お墓の台風対策】暴風、大雨、竜巻からお墓を守る、点検と対策のすすめ

墓地・墓石コラム

日本は「台風大国」とも呼ばれ、世界的に見ても台風が多い地域と言われています。特に夏から秋にかけては台風が接近・上陸しやすく、大切なお墓が被害を受けることも少なくありません。また、近年は気候変動の影響で、竜巻や集中豪雨といった自然災害も増えており、暴風雨への備えの必要性はますます高まっています。

今回は、お墓の台風や竜巻、暴風雨への備え、被害があった場合の対処法などについて解説していきます。今後の「お墓の台風対策・災害対策」の参考になれば幸いです。

台風や大雨、竜巻で起こる、お墓の被害

墓石や外柵がずれる、傾く、倒れる

重く大きな石でできたお墓ですが、台風や竜巻による強風にあおられると、石材がずれたり、最悪の場合には倒れたりすることがあります。特に、お墓の一番上で高さもある「竿石」や、脇に置かれ戒名や名前が彫られた板状の「戒名板」や「墓誌」などは風圧がかかりやすく、倒れた衝撃で割れる・ヒビが入るなど破損してしまうこともあります。

また、長時間の大雨や冠水でも、石の繋ぎ目や地盤が不安定になることで、墓石の傾きや倒壊につながるこがあるほか、ひどい時には石材が水や土砂と一緒に流されてしまうこともあります。

特に、古いお墓や、石の繋ぎ目が劣化しているお墓、山の斜面や地盤の緩い地域にあるお墓は、注意が必要です。

倒木や飛来物でお墓が破損する

強い風に飛ばされてきたものや豪雨によって流されてきたものが墓石にぶつかって、ヒビや欠けが生じることも少なくありません。木が近くにある墓地や山間部では、倒木や落石による被害も見られます。

付属品が飛ばされる

ロウソク立て、花立て、香炉、湯呑み、卒塔婆など固定されていないものは、強い風によって飛ばされやすく、それ自体が壊れるだけでなく、墓石や周囲のお墓、近隣の民家に被害を及ぼすこともあります。

卒塔婆立てが破損する

経文や戒名などが書かれ、お墓の背面などに建てられる卒塔婆(そとうば)。木製で軽く、強い風で飛ばされることもありますが、たくさん立てられている場合、まとめて風を受けてしまい、卒塔婆立てごと倒壊することがあります。

納骨棺・納骨室(カロート)が水浸しになる

大雨や冠水により、納骨棺(納骨室・カロート)が浸水し、中にある遺骨が水びたしになることもあります。放置するとカビが発生する恐れもあるため、古いお墓や地下型の納骨棺は特に注意が必要です。

塩害が起こる

海に近い墓地では、強風や高潮によって石材に海水がかかり表面の艶がなくなったり、石材の中に含まれる鉄が錆びるなどして変色や劣化が進んだりといった、塩害が発生することがあります。

お墓の周囲に被害があることも

被害は、墓石や敷地内だけにとどまりません。参道が壊れる、排水溝が詰まって水が抜けないといった被害が起こることもあります。

お墓の台風・竜巻・豪雨被害、事前の対策のすすめ〜5つのポイント〜

台風などを避けることはできませんが、事前に備えることで被害を軽減できます。ここでは、台風対策としておすすめすることを5つに分けてご紹介します。

1.耐震対策、浸水対策で補強する

今立っているお墓の場合

お墓の災害対策の基本は補強です。耐震対策、免震対策、浸水対策などを施すことで、地震だけでなく暴風の際にも倒壊しにくくなります。新しいお墓では対策済みのものも多いですが、古いお墓、特に1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災以前に建てられたお墓は、十分な対策が施されていないことが多いため注意が必要です。墓石の目地が劣化している場合にも補修しておくことをお勧めします。

新しくお墓を建てる場合

新しくお墓を建てる際は、ハザードマップを確認し、洪水や土砂災害の危険性なども考慮して霊園を選ぶことが大切です。また、災害対策についても詳しく教えてくれる、信頼できる石材店に依頼すると安心です。

2.小物を一時的に持ち帰る

香炉やロウソク立て、湯呑み、花立て、卒塔婆など固定されてないものは強風で飛ばされやすいため、可能な限り、事前に持ち帰ったり飛ばされない場所に保管したりといった対策をとりましょう。

中でも卒塔婆が沢山残っていると卒塔婆立ての破損につながります。事前に対処できなこともあるため、常日頃から古くなったものは早めに処分し、本数を減らしておくよう心がけることも大切です。

卒塔婆を立てる期間や処分方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

卒塔婆(そとうば)はいつまで立てておく?〜立てる期間や処分方法を解説〜

3.周囲の環境を整える

倒木や浸水を防ぐために、雑草を取る、周囲の溝に溜まった落ち葉や土を取り除く、木を定期的に剪定するなど、周囲の環境を整えておくことも大切です。敷地外での対応が必要な場合は、墓地の管理者に相談すると良いでしょう。

4.地域によっては塩害対策も

海に近い墓地では塩害対策も必要です。塩害コーティングを施すことで劣化を防げます。市販のコーティング剤もありますが、誤った施工で墓石を傷める恐れもあるため、まずは石材店に相談することをおすすめします。

5.早めの対策で被害や修理の負担を軽減

お墓のキズやひび割れなど小さなトラブルを放っておくと、墓石の劣化が進みやすくなり、いざという時に大きな被害につながることがあります。お墓参りやお墓掃除の際には、以下のチェックリストも参考に点検し、気になるところは早めに対処しておくと良いでしょう。

お墓の点検のすすめとチェックリスト

早めの確認は大事ですが、必ず天候が落ち着いてから

台風や竜巻、暴風雨の後は、早めにお墓の状態を確認しましょう。早期に把握しておけば修理や保険申請もスムーズになり、修理にかかる費用や時間の軽減にもつながります。

ただし、天候が落ち着かないうちに様子を見に行くことは大変危険です。焦る気持ちがあっても、怪我だけでなく命に関わる危険もあるため、必ず、風雨がおさまってから足元などに十分注意して出かけるようにしましょう。

お墓の点検・チェックをしましょう〜お墓の点検チェックリスト〜

お墓の状態を確認する際は、以下の内容を中心に確認してみてください。パッと見て大きな異常がなくても、ぐらつきが出るなど崩れやすくなっている可能性もあります。石材は大変重く、怪我につながることもあるため、安全に十分配慮して行うことが大切です。

墓石や外柵などに、被害がないか

まずは、墓石や外柵のほか、灯籠や墓誌などに、倒壊やずれ、破損、傾きがないか、ぐらつきやヒビがないかをチェックしましょう。

敷地の内外に異常がないか

敷地内の土や玉砂利の状態はどうか、地面が緩んだり陥没したりしていないか、排水ができているかなどもチェックしましょう。

その他、周囲の参道や植木などに異常がないかどうかも確認しておくと良いでしょう。

墓標・墓誌・付属品に異常がないか

墓標や墓誌、卒塔婆立て、花立て、香炉、先行立て、ロウソク立てなどが、倒れたり壊れたりしていないかを確認しましょう。無くなっているものがあれば飛ばされた可能性が高いので、周囲も確認しましょう。

納骨棺・納骨室(カロート)の確認

納骨棺・納骨室(カロート)が浸水していないか確認したい場合、蓋は非常に重くて危険なため自分で外そうとせず、まずは石材店に相談してみることをお勧めします。

お墓きわめびとの会では、お墓の異常に早く気づいて対処していただけるよう、「お墓の点検項目」を詳しくまとめたコラムもご用意しています。こちらも、併せてご覧ください。

お墓参りの時に確認!お墓の点検チェックリスト

また、「お墓の点検チェックリスト」をダウンロードしていただくことも可能です。以下のリンクよりダウンロードしてご利用ください。

【お墓の点検チェックリスト】

被害があったらどう対処する?

現状を記録したり写真撮ったりしておくと安心

被害を確認したら、上記のチェックリストに加えて、写真を撮るなどして詳しい記録を残しておきましょう。修理の相談がスムーズになり、保険に加入している場合には申請などにも役立ちます。

お墓敷地内の被害は、石材店へ相談

墓石の破損や倒壊、地盤の問題など、お墓の敷地内に被害があった場合は、石材店に相談しましょう。小さなキズであっても自分で対処することで、かえって状態悪化につながる可能性がありますし、特に石材の移動はおおきな危険をともないます。現状を正しく確認し、適切な修理方法を提案してもらうためにも、専門的な知識と技術を持った石材店に相談することをお勧めします。

お墓を建てた石材店や、墓地、霊園で指定されている石材店に連絡するとよいでしょう。

どこに相談すれば良いかわからない場合は、お墓きわめびとの会でも、全国の石材店をご紹介することが可能です。以下のリンクからお問い合わせください。

【お墓きわめびとの会|「石材店」のご紹介・お問い合わせ】

墓地・霊園の排水や参道のトラブルは、墓地管理者に連絡

水路の詰まりや参道の破損など、敷地外のトラブルについては、墓地管理者に連絡して対応をお願いしましょう。

その他、災害に備えてできること〜確認に行けない場合は?〜

確認に行けない場合はどうする?

遠方や高齢などでお墓に行けないけれど、お墓の状態を確認したい場合は、信頼できる親戚や友人にお願いするのも良いですし、「お墓参り代行」や「お墓点検サービス」を利用するのも一つの方法です。サービス内容は業者によって異なるため、調べてみると良いでしょう。

お墓参り代行については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

「お墓のプロによる代行」もある、お墓参りに行けない時に取れる選択肢

修理費用の負担軽減のためにできること

お墓の保険などに加入している場合には、台風被害も対象になることがありますので、契約内容を確認してみましょう。

また、自然災害による被害を受けたときに所得税の負担を軽減できる、「雑損控除」という制度を利用できることもあります。さらに自治体によっては、補助金制度を設けている場合もありますので、自身が利用できる制度を確認しておくと安心です。

お墓の保険については、こちらの記事もご覧ください。

お墓の保険とは?地震・台風・土砂崩れに備えて

まとめ

台風や豪雨・竜巻などはいつ起こるか分かりませんが、日頃の点検や早めの対処で被害を小さくできることがあります。

小さな異変に気付いたら、被害が大きくなる前に対処することが、修繕の負担を抑えつつ、お墓を長持ちさせる秘訣と言えそうです。

お墓は家族とご先祖様を繋ぐ大切な場所。季節の節目などにはお墓参りへ行き、お墓の状態を観察してみてはいかがでしょうか。万が一に備えて安心安全な状態に整えておくことで、ご先祖さまも穏やかに家族を見守ってくださるはずです。

お墓のトラブルへの対処や石材店選びについても、まとめている記事がありますので、ぜひご覧ください。