お役立ちコラム お墓の色々
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11月の季節の行事・イベント・風物詩といえば

紅葉が見頃を迎える中、気づけば日も短くなり、寒さを感じる日も増えてくる11月。美術や音楽といった、深まる秋ならではの文化的な行事だけでなく、七五三や新嘗祭など、古くからある伝統行事も行われる月です。冬を目前に、年末も近づいてくるこの時期には、他にどのような行事やイベントがあるのでしょうか?
今回は、11月の行事やイベントを順に解説し、お墓参りに良いとされるタイミングについても紹介していきます。
11月はどんな月?
秋の深まりの中に、冬の気配を感じ始める11月
11月は、木々の色付きがピークを迎えるものの、徐々に散り始め、秋の終わりを感じる月です。また、朝晩に冷え込む日が徐々に増え、北海道や東北など、一部の地域では初雪を観測するなど、冬の足音が聞こえ始める時期でもあります。
とはいえ、まだまだ秋の味覚を楽しめる時期であり、10月に引き続いて、収穫に感謝したり、秋の味覚を楽しんだりするイベントも多く開かれます。
霜月(しもつき)と呼ばれる理由
11月は、和風月名という、旧暦において古くから使われていた呼び名で「霜月(しもつき)」とも呼ばれます。
その由来は諸説ありますが、旧暦の11月は現在(新暦)の12月頃にあたり、霜が降りる時期であることから「霜降月」と呼ばれたのが転じたと言う説が有力です。
その他、霜が降り、露が姿を消す(隠す)ことを意味する「露隠月(つゆごもりづき)」「露隠葉月(つゆごもりのはづき)」、雪が降る季節を意味する「雪待月(ゆきまちづき)」「雪見月(ゆきみづき)」、10月の神奈月に出雲に出かけていた神様が帰ってくると言うことで「神帰月・神来月(かみきづき)」、神様に奉納する神楽(かぐら)が各地で行われることから「神楽月」、その年の収穫(食べ物)を神に感謝する新嘗祭(にいなめさい)が行われることにちなんだ「食物(おしもの)月」などの呼び名が伝えられています。
年末年始に向けた準備を始めるのにおすすめの月
11月は、クリスマスや年末年始に向けての計画を立て始めるのに、おすすめの時期でもあります。特に、帰省や旅行に向けた日程調整、交通機関や宿泊施設の手配などは、直前になると予約が取れなくなることもあるため、少しずつ準備を進めておくと安心です。
また、年賀状や喪中はがきの準備を始めるのも、この時期がおすすめです。特に喪中はがきは、できれば11月中に、遅くても12月上旬ごろまでには相手に届くようにすると良いと言われています。
喪中はがきについて気になる方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
◆喪中はがきはいつまでに出す?喪中はがきの意味やマナーを解説
11月の伝統的な行事や風物詩
亥の子の日(11月の第1亥の日)
「亥の子(いのこ)」とは、亥の月とされる旧暦10月の「最初の亥の日」に行われる行事で、収穫に感謝し、豊作や無病息災、また、多産のイノシシにあやかって子孫繁栄を祈願するものです。主に西日本を中心に受け継がれており、現在では旧暦10月の時期に合わせ、新暦の11月の最初の亥の日に行われるのが一般的です。
亥の子の習わしは地域により様々ですが、イノシシやウリ坊(イノシシの子)を模したお餅(菓子)「亥の子餅」を食べたり、子どもたちが、縄をつけた石で地面を叩く「亥の子突き」を行いながら地区の家々を回ってお菓子をもらったり、といった風習がといった風習が残っています。
また昔は、この日に囲炉裏や炬燵(こたつ)に火入れをすると、火事にならないと信じられていました。そのため、現在でも「こたつ開き」といって、暖房器具を出すのに縁起の良い日と考えられています。
亥の日は、日にちや時間を十二支で数える方法で決まるため、毎年日付が変動します。2025年は11月2日、2026年は11月9日、2027年は11月4日です。
日付や時間を数えるのに使われた十二支については、こちらの記事でも解説しています。
酉の市(11月の酉の日)
酉の市(とりのいち)は、毎年11月の酉の日に、各地の寺社で行われる、開運招福や商売繁盛を願うお祭りです。江戸時代から続く伝統ある行事で、境内には商売繁盛の縁起物とされる熊手をはじめ、様々な縁起物や食べ物の露店が並びます。
特に東京・浅草の「鷲(おおとり)神社」及び「鷲在山 長國寺(じゅざいさん ちょうこくじ)」、新宿の「花園神社」、府中市の「大國魂(おおくにたま)神社」(境内にある鷲神社)で行われる酉の市は、「三大酉の市」とも呼ばれ、国内外から訪れる多くの参拝客で賑わいます。
酉の日というのは、日付を十二支に当てはめて数えた際に「酉」にあたる日のことで、12日に1度、1ヶ月の間には2〜3回巡ってきます。酉の市もその日に合わせ、順に「一の酉」「二の酉」「三の酉」と呼んで開催されています。当日と前夜の2日にかけて行われることもあるようです。
2025年以降の11月の酉の日は以下の通りです。
2025年は、11月12日・24日
2026年は、11月7日・19日
2027年は、11月2日・14日・26日
七五三(11月15日)
七五三(しちごさん)は、3歳、5歳、7歳の節目に子どもの成長を祝い、寺社に参拝してこれからの健やかな育ちを祈る、日本の伝統行事です。11月15日を中心に9月〜12月頃には、各地の寺社が、晴れ着姿の子どもを連れた家族でにぎわいます。
平安時代から子供の成長の節目に合わせて行われてきた、3つの通過儀礼が由来と言われ、女の子は3歳と7歳、男の子は5歳、または3歳と5歳の時に、着物などの晴れ着を着て、家族揃って神社やお寺に参拝する他、記念写真を撮影したり、会食をしたりしてお祝いするのが一般的です。
七五三について詳しくは、こちらで解説しています。
◆七五三はいつするの?起源や由来、服装や風習について解説します
新嘗祭(11月23日)
「新嘗祭(にいなめさい)」は、収穫の感謝を込めて神前に新穀をお供えし、翌年の豊穣を祈願する行事で、宮中および全国の神社における最も重要な祭儀の一つとして、古くから受け継がれています。
下でも紹介する通り、この日は「勤労感謝の日」ですが、新暦が導入された明治時代から戦後すぐまでは「新嘗祭」という休日になっていました。戦後の祝祭日の見直しによって「勤労感謝の日」と変わった後も、私たちの暮らしを支える食べ物や、収穫を見守ってくださる神様に感謝する行事として、今も変わらず大切に執り行われています。
この日、宮中では、天皇陛下がその年に収穫された新穀などを神様にお供えし、それらのお供物を自らも食されるという儀式が行われます。また、同時に全国の神社でも、収穫された作物などをお供えして豊穣を祈る祭事が行われ、多くの人が手を合わせに訪れます。
浄土真宗・報恩講(11月21日〜28日)
11月28日は、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人(しんらんしょうにん)が生涯を終えたとされる日で、浄土真宗の寺院では毎年、ご本尊である阿弥陀如来(あみだにょらい)に感謝し親鸞聖人への恩に報いる、「報恩講(ほうおんこう)」という仏教行事が行われています。
親鸞聖人の命日を最終日とした7日間と、その前夜を合わせて8日7夜にわたって営まれるのが基本とされており、お七夜(おしちや)、お七昼夜(おしちちゅうや)、御霜月(おしもつき)などとも呼ばれています。
期間中は、仏前での読経や法話が行われる他、寺院によっては、特別講演やチャリティイベント、物産展、精進料理の振る舞いなどが行われ、地域のお祭りとして親しまれているところもあるようです。
なお、東本願寺などほとんどの宗派では11月21~28日に、西本願寺・高田派専修寺などでは旧暦の11月28日の時期に合わせて1月9~16日に執り行われます。
浄土真宗の報恩講については、こちらの記事で詳しく解説しています
祝日や記念日・現代的なイベント
文化の日(11月3日)
「文化の日」は、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨とした国民の祝日です。1946年11月3日の日本国憲法公布を記念して制定されました。
憲法というと、5月3日の「憲法記念日」を思い浮かべる方も多いかと思いますが、この日は憲法の「施行」を記念する日です。11月3日は元々、「明治節」と呼ばれる明治天皇の誕生日による祝日でしたが、憲法公布が施行の半年前にあたるこの日に決まったことで、自由と平和を憲法によって宣言した、文化的に重要な日というということで、このように名付けられたと言われています。
この日は、文化の向上発展に貢献した人に贈られる文化勲章の授与式が行われる他、美術館や博物館の特別展、地域の文化祭や文化発表会などを開催するところも多いようです。
憲法記念日については、こちらの記事でも紹介しています。
◆5月の季節の行事・イベント・風物詩といえば?お墓参りのタイミングも紹介
いい夫婦の日(11月22日)・いい夫妻の日(11月23日)
「いい夫婦の日」は、財団法人余暇開発センターが「日本中のご夫婦・カップルが、お互いに感謝の気持ちをかたちにするきっかけの日になること」を目指し、語呂合わせで「いい夫婦」となる11月22日に制定した記念日です。
その親しみやすさもあってか徐々に夫婦で過ごす日として全国に浸透し、この日を狙って婚姻届を出す人が増えるなど、11月の風物詩とも言える記念日となっています。
そして、翌日の11月23日も、語呂合わせで「いい夫妻の日」という記念日となっています(2020年に結婚式などをプロデュースする企業によって制定)。この日は、「勤労感謝の日」で祝日となっていることから、結婚式を挙げるカップルも多いようです。また、「いつもお疲れ様」という気持ちを込めて夫婦で食事を楽しんだり、ゆっくりとリラックスした時間を過ごしたりする良い機会にもなっています。
勤労感謝の日(11月23日)
「勤労をたつとび、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」との趣旨で制定された国民の祝日で、令和時代では1年で最後の祝日となっています。
前述のように、11月23日はもともと、「新嘗祭」を行う日として休日に定められていましたが、戦後、日本国憲法に合わせた祝祭日の見直しにより、「勤労感謝の日」となりました。
この日は、普段働いて家族を支えてくれている両親や夫・妻を労い、感謝を込めたプレゼントを贈る人も少なくありません。
11月のお墓参りに良いタイミングはいつ?
亥の子、酉の市、新嘗祭に合わせて、感謝を深めるお墓参りを
「亥の子」や「新嘗祭」、「酉の市」で祈る、豊作や無病息災、開運招福や商売繁盛は、自然や神様への感謝と共にある、日々の暮らしにつながる大切な願いです。
私たち日本人は、神仏だけでなくご先祖様も、暮らしを見守ってくれる存在として大切にしてきました。日頃の感謝や今後の健康を祈るこれらの機会にお墓参りをすることで、より感謝が深まり、ご先祖様や家族との絆を感じながら過ごすことができるでしょう。
七五三には、子どもの成長の報告を
七五三に合わせてお墓を訪れ、ご先祖さまに子供の成長の報告するのもおすすめです。
お子様の成長をご先祖さまも喜ばれるでしょうし、お子さんが、家族に大切にされていることを感じる、暖かなひと時となります。
浄土真宗・報恩講に合わせて、感謝や絆をより深く
浄土真宗の報恩講も、お墓参りに適したタイミングと言えます。人が亡くなるとすぐに極楽浄土へ旅立つとされている浄土真宗において、お墓は、仏様やご先祖さまとのご縁や絆を感じる場所です。
報恩講の行事に参加するだけでなく、ご先祖様と一緒に阿弥陀如来の慈悲に感謝するといった気持ちでお墓の前でも手を合わせることで、感謝や絆をより深く感じることができるでしょう。
浄土真宗のお墓につい的になる方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
文化の日に、平和の祈りと共に
文化の日になぜお墓参り?と思われるかもしれませんが、文化の日は、前述の通り、戦争を経験した日本が、自由と平和を大切にする憲法を公布し、新たな一歩を踏み出した日として大切にされています。
家族の中に戦争で命を落とした方がいらっしゃれば、時代と命を繋いでくださったことへの感謝や、今を幸せに生きていることを報告するために、また、今後の目標や決意の報告と共に、命や文化を繋いでいくという想いを込めて、手を合わせるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
11月の季節の行事やイベント、風物詩、祝日、記念日について紹介してきました。改めて見てみると、古くから受け継がれてきた伝統ある行事も多く行われていることが分かります。
祝日が2回あり、秋のイベントや旅行に出かける方がまだまだ多い時期ですが、その中で、一人ひとりが感謝を込めて祈ったり、家族と行事を楽しんだりする機会が増える時期でもあります。
晩秋の澄んだ空気の中で静かに手を合わせる時間は、自分を見つめ直すきっかけにもなるはずです。本格的な寒さがやってくる前に、お墓にも足を運び、ご先祖さまとのつながりを感じつつ心を落ち着ける時間を作ってみてはいかがでしょうか。
秋のお墓参りや、近づいてきたお正月についてまとめている記事もございますので、合わせてお読みください。