お役立ちコラム お墓の色々

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- 供養をきわめる -

家族葬で香典辞退された場合の対処法とは?おさえておきたいマナーもあわせてご紹介

葬祭基礎知識

近年、葬送のスタイルが多様化する中、家族葬が選択されるケースが増えており、家族葬を選択されたご遺族は往々にして、香典の受け取りを辞退する傾向にあります。

香典は故人への弔意や気持ちを表すものとして大事にされてきた習慣ですが、辞退の意向が示された場合、参列者としては「どうすればよいのか?」「これは失礼にならない?」などと悩むこともあるでしょう。

この記事では、香典辞退の背景にあるご遺族の思いや理由を深掘りするとともに、香典辞退をされた場合に参列者がとるべき適切な対処法とマナーを詳しく解説していきます。

さらに、自分が喪主側の立場になった際、香典辞退をする場合の注意点や伝え方についても解説しますので、是非参考にして、参列者・喪主のどちらの立場の方も、故人を偲ぶ気持ちを大切にしつつ適切な対応ができるように備えておきましょう。

香典辞退とは?

香典辞退(こうでんじたい)とは、その名の通り、葬儀の喪主やご遺族が参列者からの香典の受け取りを辞退することを指します。

そもそも香典とは、故人にお供えする金銭のことで、現金を半紙などに包んで持参するものです。故人へのお供えという意味合いに加え、急な出費である葬儀費用を相互扶助の精神で助け合うという意味も込められています。

香典辞退をすることはマナー違反ではありませんが、参列者に不要な気づかいをさせないよう、事前に香典辞退の意思を明確に伝えておくことが重要です。

香典辞退する遺族が増えている理由は?

香典辞退を選択するご遺族が増えている背景には、主に以下の4つの理由があります。

1.ご遺族からの参列者への気づかい

香典辞退は、参列者への気づかいから選択されるケースがほとんどです。特に、身内だけで行う小規模な家族葬を選んでいる場合や、故人が生前に葬儀費用を準備(生前契約)していたというケースでは、「参列者に余計な金銭的な負担をかけたくない」というご遺族の優しい思いが背景にあります。純粋に、故人を静かに見送ってほしいという願いから辞退することもあります。

2.香典返しによる手間や負担の軽減

香典を受け取ると、ご遺族は「香典返し(こうでんがえし)」という形で、いただいた金額の3分の1から半額程度の品物を準備し、手配する手間が発生します。葬儀後、心身ともに疲れている中でこの作業を行うのは大きな負担となります。香典返しにかかる手間や、郵送手配などの負担を軽減したいという理由から、あらかじめ香典を辞退する遺族も増えています。

香典返しについて詳しく紹介した記事もあります。あわせてご覧ください。

きちんとしておきたい、香典返しで気をつけるべきタブーとは

3.宗教や思想による事情

仏教以外の宗教、例えばキリスト教や神道では、そもそも香典という習慣がありません。また、無宗教であったり、思想によっては「儀礼的な香典の受け渡しは不要」と考える場合があります。宗教や思想的な事情により、儀礼的な香典のやり取りを辞退するケースもあります。

4.故人の遺志(生前の意向)によって

最も多い理由の一つが、故人の遺志です。故人が生前、「葬儀で金銭のやり取りは避けたい」「参列者に気を遣わせたくない」といった意向を示していた場合、ご遺族はその遺志を尊重し、香典辞退を選択することが多いです。故人の思いを実現させることも、大切な供養の一つと考えられています。

家族葬で香典辞退された場合の対処法

参列者として香典辞退の意向を知った場合、ご遺族の意思を尊重した対応が正しいマナーです。

1.ご遺族の意思を尊重して香典は持参しない

香典辞退の意向が示された場合は、たとえその理由が参列者への気遣いからであっても、ご遺族の意思を尊重して香典を持参しないのが正しいマナーです。「気持ちだけでも受け取ってほしい」と無理に渡そうとするのは、かえってご遺族の負担を増やしてしまうことになりかねません。親族や家族ぐるみで仲の良かった友人の場合でも、基本的に香典は持参しない方が良いでしょう。ただし、不安な場合は、迷惑のかからない範囲で喪主に近い関係者に個別に確認しておくのも良いでしょう。

2.香典の代わりに供花や供物を送る

香典辞退の意向が示されている場合でも、弔意を表すために供花(きょうか・くげ)や供物(くもつ)を送ることは可能です。
・供花:葬儀会場に飾られる花で、故人を悼む気持ちを表します。
・供物:故人にお供えするもので、日持ちするお菓子や果物、線香などが一般的です。

供花や供物の贈り方については以下の記事をご参考にしてはいかがでしょうか?

葬儀での供花の送り方(贈り方)〜相場・選び方・手配方法など基本のマナーを解説

葬儀で送るお供え物「供物」とは?送り方(贈り方)や相場など基本のマナーを解説します

3.弔電を送る

香典辞退に加えて、かつ何らかの理由で葬儀に参列できなかった場合は弔電(ちょうでん)を送るのも良いでしょう。弔電は、通夜や葬儀に参列できない場合に、弔意を伝えるために送る電報です。ご遺族の負担にはならず、故人を偲ぶ気持ちを形として伝えられます。

弔電の贈り方について紹介した記事もあります。あわせてご覧ください。

あらためて押さえておきたい、弔電のお送り方とマナー

4.後日弔問する・お悔やみの手紙を送る

香典辞退に加えて、葬儀後に訃報を知った場合は、後日弔問するという選択肢があります。ただし、弔問はご遺族の負担になるため、事前に必ず弔問の可否と日程をご遺族に確認しましょう。長距離で後日の弔問が難しい場合は、お悔やみの手紙を送るだけでも弔意は十分に伝わります。

弔問について紹介した記事もあります。あわせてご覧ください。

弔問とは?いつ行くべき?タイミング・服装・香典など基本マナーをわかりやすく解説
弔問の流れと作法〜訪問時のマナー・挨拶例・香典やお供え物の渡し方を解説〜

5.「ご厚志辞退」の場合は何も持参しない

案内状などに「ご厚志(ごこうし)辞退」と記載されていることがあります。「ご厚志」とは、香典だけでなく、供花や供物など、弔意を示す金品全般を指します。
「ご厚志辞退」と伝えられた場合は、香典はもちろん、供花や供物のすべてを辞退するという意味になります。この場合は、何も持参せず、心を込めて故人を送り出すのが一番です。参列して焼香をあげ、お悔やみの言葉をかけるだけでも、ご遺族にとっては十分な弔意となります。

ただし、参列する方が友人知人の関係ではなく、親族であった場合、喪主に直接確認するか、準備しておいた方が無難です。関係性にもよりますが、友人・ご近所の方・職場関係の方からは受け取りを辞退したとしても、急な出費である葬儀費用を親族間の相互扶助の精神で助け合う場合もあるためです。そのような場合は通常より多めに金額を包むこともあるようです。

香典にいくらお包みするかの相場観は以下の記事をご参考になさってください。

通夜・葬儀での香典はいくら包めばいい?香典を包む際のマナーや注意点について

【喪主向け】香典辞退の注意点

ここからは喪主側が香典辞退をする際に注意しておきたい点を解説します。香典辞退は遺族側の負担軽減につながる一方で、いくつかのデメリットも伴います。

  • 遺族側の経済的負担が増える
    香典を受け取らないということは、参列者からの金銭面での援助がないということになります。参列者の経済的負担を軽減させられる一方で、遺族側が葬儀費用を全額負担することになり、遺族側の経済的負担は増加します。
  • 参列者にかえって気をつかわせてしまうおそれがある
    「香典を持っていかないのは失礼ではないか」と考える参列者は多く、かえって参列者に気をつかわせてしまうおそれがあります。香典辞退の意向を伝える際には、参列者の気持ちを配慮した、丁寧で柔らかい言葉遣いを心がけましょう。
  • 親族からの理解を得られない可能性がある
    昔ながらのしきたりを重んじる親族がいる場合、「香典辞退は故人に対して礼を欠くのでは」と否定的な意見が出るおそれもあります。特に親族に対しては、香典辞退の理由を丁寧に説明し、理解を得る努力が必要です。

【喪主向け】香典辞退する場合の伝え方・マナー

香典辞退の意向は、できるだけ早く、丁寧で正確な言葉で伝えることが大切です。

香典辞退を伝えるタイミング

香典辞退の意向を伝えるタイミングは主に以下の3つです。

タイミング伝え方メリット
訃報・案内状で伝える訃報を伝える書面や葬儀の案内状の末尾に「故人の意思により香典は辞退させていただきます」などと明記する。最も早く、広範囲に伝えられます。葬儀社に相談すると文案を提示してくれることもあります。
葬儀当日の受付で伝える受付に案内を掲示したり、受付係から口頭で伝えたりする。事前連絡が間に合わなかった方にも確実に伝えられる。葬儀社に相談すると看板を設置してもらえることもあります。
葬儀後の訃報で伝える参列者以外の故人と関りがあった方々に送付する訃報に、香典を辞退する旨を明確に記載する。家族葬の場合、参列できなかった関係者が弔問に来られる場合も多く、初めから明確に意向を示すことで弔問時のトラブルを防げます。

香典辞退はなるべく早く伝えることが重要なので、できるだけ案内状で伝えるようにしましょう。また案内状で伝えたので葬儀当日や葬儀後は案内不要というわけではなく、案内状を見ていない方や参列者以外の方に意向を知らせるためにも、できるだけすべてのタイミングで案内を行うと良いでしょう。

香典辞退を伝える際の文面(例文付)

香典辞退の意向を伝える際は、辞退する理由や、弔意は気持ちだけで十分であることを丁寧に、柔らかい言い回しで伝えるようにしましょう。

相手例文
職場向け故人の遺志により、誠に恐縮ながら、御香典、御供花、御供物などのご厚志は辞退させていただきます。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
親族向け誠に勝手ながら、故人の生前の希望により、御香典は辞退させていただきます。皆様におかれましては、お気持ちだけをありがたく頂戴いたします。
友人・知人向けこの度の葬儀につきましては、家族葬のため、御香典の儀を辞退させていただきたく存じます。故人の冥福を祈ってくださるお気持ちだけを頂戴できれば幸いです。

供花や供物も辞退する場合は、ご厚志辞退などと、その旨も明確に追記しましょう。

香典辞退を伝えた上でやむおえず香典を受け取った場合の対処法

香典辞退を伝えていたにもかかわらず、参列者から「気持ちだから」と香典をいただくケースもあります。この場合、基本的に遺族は、感謝の気持ちを伝えた上で、ありがたく受け取るのがマナーです。後日、お礼状や手紙、メールなどで改めて謝意を示すようにしましょう。

なお、香典辞退を伝えていた場合、参列者から「香典返しは不要」と伝えられるケースが多いですが、受け取った香典の額が大きかったり、相手が目上の人だったりする場合は、返礼品を用意するのが無難です。このとき、一般的な相場である半返し(香典でいただいた金額の3~5割程度)を目安に品物を選ぶのが一般的です。

供花や供物の場合は、基本的には返礼不要ですが、香典と同じように後日、お礼状や手紙、メールなどで改めて謝意を示すようにするのが丁寧です。高価な品の場合や儀礼的なものなどの場合は簡単なお礼の品を添えてお礼状を出すのもよいでしょう。

大事なのはお互いの立場を思いやる気遣い

家族葬で香典辞退された場合、親族でない限り、参列者はご遺族の意思を尊重し、香典を持参しないのが最善のマナーです。

近年では故人の遺志やご遺族の負担軽減といった理由から辞退されることが多いため、「ご厚志辞退」でない場合の弔意は、供花・供物であらわし、参列できない場合は弔電、後日の丁寧なお悔やみの手紙などで伝えましょう。「ご厚志辞退」の場合は、何も持参せず参列のみに留めるのが適切です。

喪主側は、香典辞退をすることでメリットばかりではなくデメリットがある点にも注意し、早い段階、できれば案内状の文面で明確に、丁寧で柔らかい言葉で意向を伝えることが重要です。

香典辞退。そのこと自体が相手を思いやる気持ち「気づかい」や「思いやり」から生まれた日本ならではの文化といえるのではないでしょうか?

関係性や状況に応じて無理のないカタチで、相手の気持ちに寄り添い、お互いの立場を思いやりながら、故人へ想いを届けましょう。

家族葬とともに近年増えてきている「直葬」や「一日葬」、葬儀の準備から納骨式までを時系列で解説した記事もあります。あわせてご覧ください。