お役立ちコラム お墓の色々

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押さえておきたい喪中はがきの書き方〜ルールや文例を紹介

葬祭基礎知識

押さえておきたい喪中はがきの書き方〜ルールや文例を紹介

日本では、近しい身内に不幸があった場合に、喪中はがきを出すことが一般的な習慣となっています。このような挨拶状には書き方のルールがあり、そのルールを押さえておくことで、先方に対して失礼にならないように内容を伝えることができます。
また最近では、喪中はがきの作成や印刷のサービスを利用される方も多いかと思います。そのような場合にも、書き方のルールや注意点を知っておけば、ご自身の状況に合わせた文章を安心して選ぶこともできるようになります。
今回は、喪中はがきの書き方のルールや注意点について文例も交えて解説していきますので、参考にしていただけたらと思います。

喪中はがきとは

喪中とは一般的に、身内に不幸があってから一周忌(翌年の同月同日)までの1年間のことを指します。この期間、普段から年賀状のやりとりのある方に対して「喪中のため、年末年始の挨拶は控えさせていただきます。(年賀状は出しません)」ということを伝えるための挨拶状のことを「喪中はがき」と言い、「喪中欠礼はがき」「年賀欠礼状」とも呼びます。

自分が喪中に当たるかどうかの基準は、はっきりとした決まりがあるわけではありませんが、一般的には二親等以内の親族が亡くなった場合を基準に喪中と考え、喪中はがきを準備することが慣例となっています。
(この場合、自分自身と配偶者を0親等として数え、父母・義父母・子は一親等、祖父母・義祖父母(配偶者の祖父母)・兄弟・義兄弟(配偶者の兄弟)・孫は二親等と考えるが、それ以上の関係でも、故人との間柄によってははがきを送ることもある。)

喪中はがきの書き方

喪中はがきは挨拶状ということで、相手に対して失礼に当たらないよう、書き方のルールがありますので、記載する順に解説していきます。

1.年賀欠礼についての挨拶

喪中はがきの書き始めについては、弔事に関わる手紙に前文は必要ないとされているため、時効の挨拶などの前文は書きません。
まず、主文となる年賀状欠礼についての挨拶から書き始め、「喪中のため年賀状による新年の挨拶を遠慮する」「失礼ながら挨拶は行わない」ということを伝えます。
その際、「年賀」など、祝い事を意味する言葉は避け、「年始・年頭・新年」などを使うようにしましょう。

<例文>
・喪中のため 年末年始のご挨拶を謹んでご遠慮申し上げます
・喪中のため 年頭のご挨拶を失礼させていただきます
・喪中につき 年始のご挨拶をご遠慮させていただきます
・喪中につき 勝手ながら新年のご挨拶は差し控えさせていただきます

2.故人について

次に、故人について、誰が、いつ、何歳で亡くなったのかを書きます。その際、「亡くなった」という直接的な言葉ではなく、「永眠いたしました」「天寿をまっとういたしました」などと表現します。もし、同じ年に複数の方が亡くなった場合には、複数人の方々について亡くなった順に記載しましょう。

誰が

故人については、「名前」と、「差出人との関係がわかる続柄」について書きます。
苗字は書いても書かなくてもどちらでも問題ありません。続柄は、「夫、妻、父、母、義父、義母、祖父、祖母、長男、次女」などで、夫婦連名で書く場合には、連名の1番目の名前の方から見た続きがらを使うのが一般的です。
故人が妻の父母で、「義父」「義母」などと記載する場合、最近では「義」を付けず「父」「母」とし、故人の名前をフルネームで記載することで、どちらの親かを伝える書き方をする方もいらっしゃいます。

いつ

いつ故人が亡くなったかについては、年月日を書きますが、「日」は書いても書かなくても問題ありません。「令和〇年〇月」という書き方の他に、「去る〇月〇〇日」「本年〇月」などの書き方があります。なお、喪中はがきは故人が亡くなってから1周忌までの期間で送るものであることから、亡くなった「年」を省略する場合もあります。

何歳で亡くなったのか

故人が亡くなった年齢について、以前は数え年(生まれた年を一歳として、その後新年のたびに一歳ずつ加えて数える年齢)で書くことが一般的でしたが、最近では分かりやすさを優先し、普段から馴染みのある満年齢で表記する方も増えています。
数え年で書く場合は、「享年〇〇」のように「歳」を付けずに表記し、満年齢で書く場合は、そのまま「〇〇歳」と書きましょう。なお、「享年八十三(満八十二歳)」など両方書いても問題ありません。

<例文>
・父〇〇が 令和〇年〇月に 〇〇歳にて永眠いたしました
・本年〇月に 母〇〇が 享年〇〇にて永眠いたしました
・去る◯月◯◯日 義父〇〇が 〇〇歳にて天寿を全ういたしました

かねてより病気療養中の祖母○○が 本年○月に ○歳にて永眠致しました
(故人が病気療養中で、そのことを相手がよく知っている場合などは、このように伝えても良いでしょう)

3.送り先の相手への感謝や健康を祈る言葉を書く(結びの言葉)

最後は、結びの挨拶として、「先方への感謝の言葉」「今後のお付き合いをお願いする言葉」「先方の健康や無事を気遣う言葉」などを組み合わせ、簡潔に書きます。

<例文>
・生前賜りましたご厚情に深く感謝いたしますとともに 明年も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
・本年中に賜りましたご厚情に深く感謝いたしますとともに 明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
・本年中に皆様より賜りましたご厚情に深謝いたしますと共に 皆様に良き年が訪れますようお祈り申し上げます
・生前のご厚情に深く御礼申し上げますとともに 皆様が健やかなる新年をお迎えになりますよう心よりお祈り申し上げます
・本年中のご厚情に深く御礼申し上げますと共に 明年も変わらぬご交誼のほどをお願い申し上げます
寒さに向かう折からご自愛のほどお祈り申し上げます
・生前に賜りましたご厚情に深謝いたしますと共に 皆様のご多幸をお祈り申し上げます
・平素のご厚情に深く感謝いたしますとともに 皆様には時節柄一層のご自愛のほどお祈りいたします

4.喪中はがきを出す日付

「令和〇年〇〇月〇〇日」のように日付を具体的に書いても良いですが、指定日の当日に出すことができない可能性もあるため、「令和〇年〇〇月」のように年月までとすることが多いようです。また、11月に出す場合でも、12月中に先方に届く予定として「十二月」で作成しても問題ありません。

5.差出人について

こちらは、年賀状と同様、差出人を記載する場所に住所・電話番号(必要に応じて)・氏名を書きます。なお、差出人については、はがきの宛て名面と裏面のどちらに書いてもマナー違反ではありません。
連名の場合も、毎年の年賀状と同じように書くと良いでしょう。

書き方のルールと注意点

書く内容や言葉遣いについての注意点

前文は省略し主文から書く

前文とは、「拝啓」「前略」などの頭語や時候の挨拶といった、手紙を書くときの始めの挨拶にあたるものです。
前述の通り、弔事の挨拶状ではこの前文を省略するのがルールとなっているため、年賀欠礼について伝える「主文」から書き始めます。合わせて、「敬具」「草々」などの結語も省略します。

祝いを表す言葉や意味言葉に注意する

弔辞に関わる文章ですので、「年賀」などの祝いを表す言葉は避けます。
また、不吉とされる言葉や重ね言葉など、「忌み言葉」と言われ弔事においてNGとされている言葉がありますので、そちらも使わないように気をつけましょう。

近況報告などは別の機会に

喪中はがきにおいて、近況報告などについては一緒に書かないことがルールとなっています。出産・引っ越し・住所変更など他に知らせたいことがある場合には、寒中見舞いや、喪中はがきとは別に挨拶状を出すようにしましょう。

「忌み言葉」についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、合わせてお読みください。
葬儀でのNGワードを知っておこう〜使ってはいけない「忌み言葉」や言い換え例を紹介します。

書き方に関わるルール

儀礼的な挨拶状には、先方に失礼な印象を与えることや、カジュアルな印象になることを避けるために、いくつかの書き方に関わるルールがあります。

縦書きで数字も漢数字を使う

横書きはカジュアルな印象になるため、縦書きで書くことが基本です。また、縦書きに合わせて、数字についても漢数字で書きましょう。

句読点、段落おとし(行頭の字下げ)は入れない

正式な挨拶状では、句読点や、段落おとし(行頭の字下げ)を入れないことが通例となっています。
これは、筆で書簡を書いていた頃の慣わしから来ているようです。また、句読点は明治時代に学校で「子どもでも文章が読みやすくなるように」と使われるようになったとも言われており、句読点を入れることで子供扱いをしていると捉えられ失礼に当たることを避ける意味もあるようです。

文字のデザインや色

最近では、喪中はがきを作成してくれる業者やサービス・パソコンツールもたくさんあるため、ふさわしいデザインや書き方のものから選ぶこともできます。
もし、パソコンなどを使ってご自身でデザインや印刷をする場合には、華美になるのを避け、色合いや文字のフォントもできるだけ落ち着いたものを選ぶことが一般的です。

文字の色については、薄墨・黒のどちらでも問題ありません。
薄墨の文字には「悲しみの涙で文字が滲んだ」「突然の訃報に墨を磨(す)る間もない」など、弔事の案内を受け取った側が遺族側に対して配慮する意味がありますが、喪中はがきは遺族側から送るものですので、必ずしも薄墨にする必要はないのです。
特に宛名面は、郵便局での読み違いを防ぐために、黒字で書く方が良いでしょう。
また、喪中ではない先方が名前を薄墨で書かれて不快に感じたり、ご高齢の方が読みにくくなったりするのを避ける意味で、黒字ではっきりと書くことが多いようです。

文例を紹介

ルールや注意点を踏まえると、全体としては以下のような形になります。
ここまでに紹介してきた文例を参考に、ご自身の状況や、先方との関係性に合った言葉や組み合わせを選ぶと良いでしょう。
<文例>
喪中につき 年末年始のご挨拶を 失礼させていただきます

祖父 〇〇が 本年〇月に 〇〇歳で永眠いたしました
本年中に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げますとともに
明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
なお時節柄一層のご自愛のほどお祈り申し上げます
令和四年十二月

差出人情報(はがきの左下)

まとめ

今回は、喪中はがきの書き方について、ルールや文例を紹介してきました。
身内に不幸があると、気持ちが落ち込んでしまうこともあるでしょう。そのような中で、お世話になった方々への感謝を伝えることも残された親族の役割と言えるのではないでしょうか。
一定の決まりを守って書くことで、気持ちが落ち着かない中でも丁寧な気遣いを伝えることもできます。今一度確認していただき、喪中はがきの準備や、いざというときに備えていただけましたら幸いです。


喪中はがきに関わるマナーなどについては、こちらの記事でも紹介していますので、合わせてお読みください。
喪中はがきはいつまでに出す?喪中はがきの意味やマナーを解説
忌中と喪中の違いとは?年賀状を送らないのはどっち?

忌中とされる四十九日までの過ごし方や、四十九日法要についてはこちらで詳しくまとめています。
四十九日までの過ごし方 〜すべきこと、してはいけないこと〜
きちんと知りたい、四十九日法要の意味やマナー

弔事に関わるマナーについての記事もいくつか紹介しておきます。
通夜や葬儀の場にふさわしいお悔やみの言葉とは〜マナーやNGワードを紹介〜
お悔やみの言葉【文例集】〜通夜・葬儀でのお悔やみの言葉の使い方を解説します〜