お役立ちコラム お墓の色々
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- 供養をきわめる -
通夜と何が違うの?逮夜(たいや)とは?意味や由来、お供えなどの基本マナーを解説します
逮夜(たいや)・お逮夜という言葉をご存知でしょうか?逮夜とは、命日や忌日の前夜のこと、または逮夜に執り行われる法要のことを指します。昔は逮夜にも法要が行われていましたが、近年では行わない家庭がほとんどとなり、知らない方も増えています。
今回は、実際に逮夜法要を執り行うことになった時、参列することになった時に参考にしていただけるよう、逮夜の意味や通夜との違い、基本的なマナーについてご紹介していきます。
逮夜とは
意味
「逮夜(たいや/大夜・太夜・迨夜・台夜)」「お逮夜」とは、葬儀の前夜、命日や月命日に当たる年忌や月忌の前夜、また故人が亡くなってから四十九日まで7日ごとにある忌日の前夜のことを指し、この逮夜に行う法要である「逮夜法要」についても、逮夜・お逮夜と呼びます。
一般的には、忌日法要や一周忌といった法要の前夜に僧侶を招き読経・供養してもらった後、集まった人たちに食事を振る舞います。一回忌・三回忌などの年忌法要の前日に行う法要は「宵法事(よいほうじ)」と呼ぶ地域もあります。
逮夜法要は、時代が進むにつれ省略されることが増え、その流れからか忌日法要のことを「お逮夜」と呼ぶ方もいらっしゃいます。また関西では、時代とともに忌日と逮夜の2日間のうち逮夜の1日が残り、逮夜である忌日前日に、「お逮夜」として忌日法要を行う地域があります。福井県や近畿地方の一部地域では、逮夜に御詠歌を詠う習慣が残っているところもあります。
御詠歌についてはこちらの記事をご参照ください。
◆御詠歌(ごえいか)とは〜起源や葬儀との関係を紹介〜
由来
「逮(たい)」には、「およぶ」という意味があり、逮夜は「明日におよぶ夜」つまり「前夜」という意味になることから、この言葉になったとされています。
仏教の一部の宗派では、六時礼讃(ろくじらいさん)と言って、1日を6つに分けて日没である逮夜を法要のはじまりとする考え方があり、昔は年忌法要を2日間に渡って営むこともあったようです。
忌日と逮夜の数え方
逮夜は、特に、故人が亡くなってから四十九日までの間に7日おきに訪れる「忌日」の前夜と捉えられることが多く、日程を間違えないよう、僧侶が「逮夜表」(中陰表)と呼ばれる日程表を作ってくれることもあります。
忌日は、故人が亡くなった日を1日目と数えて、7日目の初七日・14日目の二七日…と、四十九日まである7日ごとの日のことです。逮夜は忌日の前夜ですので、故人が亡くなった日を1日目と数えて6日目が逮夜となります。
例えば故人が9月1日(月)に亡くなった場合、
9月7日(日)が初七日・9月6日(土)が逮夜
9月14日(日)が二七日・9月13日(土)が逮夜
・・・のようになります。
忌日法要や四十九日までの過ごし方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
◆四十九日までの過ごし方 〜すべきこと、してはいけないこと〜
通夜と逮夜の違い
忌日の前夜だけではなく葬儀の前夜も逮夜と呼び、逮夜法要を行う場合があります。
葬儀の前夜というと、通夜を行うのでは?通夜と同じ?と疑問に思われる方も多くいらっしゃるかもしれません。
通夜は、葬儀の前日に、故人と近しい人たちが故人を偲び、夜を通してご遺体を見守る儀式です。
一方、逮夜・逮夜法要は、葬儀の前日のみではなく、その後の忌日や命日の前夜にも続けて営んでいく追善供養のことを指します。
このように、通夜と逮夜は意味も回数も異なっています。そのため、葬儀前日に通夜と逮夜を分けて行うケースもあります。
ただ、現在では、逮夜法要を行うこと自体が減っており、さらに、忌日法要を葬儀の日に繰り上げて行うなど通夜や葬儀・法要の規模を抑える傾向にもあるため、葬儀前日の逮夜法要を行うことも少なくなっています。
現在の逮夜の考え方
昔は逮夜から法要を行うことが一般的でしたが、現在では核家族化やライフスタイルの変化などにより、逮夜法要を行わないことが一般的になっています。「逮夜」という言葉を知らない人も増えてきました。
お逮夜は、執り行わないことで問題になるという事はありません。大切なのは、故人を偲び、心を込めて供養していくことです。例えば、お墓に参り故人の冥福を祈って線香をお供えするだけでもその心は伝わりますので、残された家族や親族の生活に無理がない形で、供養をすると良いでしょう。
ただ、地域や家によって大切にしている習慣や考え方がありますので、周りの意見も参考に、どうするかを決めていくと安心です。
逮夜法要を行わないことが一般的になっているとは書きましたが、現在でも、昔ながらの風習を受け継ぎ、念入りに逮夜法要を営む家はあります。
また、浄土真宗のお寺で、開祖である親鸞聖人(しんらんしょうにん)の祥月命日に合わせて営まれる「報恩講(ほうおんこう)」、高野山で真言宗開祖・空海の月命日に合わせて営まれる「御影供(みえいく)」など、一部の宗派の寺院では、大きな功績を残した僧侶などへの感謝の念を示すということで、逮夜から命日に渡っての法要や行事を執り行う所もあります。
逮夜法要の基本的な作法やマナー
逮夜法要の流れや作法は、基本的に一般的な法要と同じです。喪主の挨拶や僧侶による読経、焼香を行い、僧侶の説法をいただくなどした後、集まった人たちで会食を行います。
ただ、作法やマナーも含め、地域や家によって独自のやり方がある場合もあるので、地域の方や親族に相談すると安心です。
今回は一般的な作法やマナーを紹介します。
お布施・返礼品
喪主は、僧侶を招く場合、お布施が必要です。包む金額に悩む場合は、親族の年長者や近所の方に相談して準備すると良いでしょう。
また、お供えや香典を持参する参列者への返礼品も準備します。
お供え・香典
参列する場合には、お供えや香典を準備します。お供えは、主にろうそく・線香・供花・菓子・果物・故人が生前好きだったものなどが一般的です。
ただ、香典を翌日の忌日法要で渡す場合や、お供えが必要ないというケースもあるので、親族や参列者・地域の方などに確認すると良いでしょう。
服装
喪主は忌明けとされる四十九日までは、喪服か準喪服を着るのが一般的です。
親族や参列者は、準喪服を基準に選ぶと良いでしょう。
ただ、親族だけで営む場合や、「平服でお越しください」と案内がある場合、一周忌以降であれば、略喪服や地味な私服で問題ない場合もあります。華美になり過ぎず、故人や遺族に失礼のない服装を心がけましょう。
葬儀や法要に関わる服装についてはこちらの記事をご覧ください。
◆ブラックフォーマル・喪服のマナー【女性編】
◆ブラックフォーマル・喪服のマナー【男性編】
まとめ
逮夜の法要は、遺族や故人と近しい人たちが、故人への感謝や冥福を祈って営むものです。現代では執り行われることが減っていますが、法要や命日に合わせて前日までに仏壇やお墓をきれいにして手を合わせるなど、故人やご先祖様に供養の気持ちを向ける機会にしてみてはいかがでしょうか?
また、逮夜法要を開くことになったり招かれたりした際には、手厚く供養する風習であることを思い出していただき、マナーや礼儀を忘れず、心を沈めて穏やかに故人を偲びましょう。
法要や法事についての記事が他にもありますのでぜひご覧ください。
◆法事・年忌法要はいつ・どのように行う?数え方や行い方を解説します
◆法事・法要はいつまで行うべき?宗教や宗派別の弔い上げについて解説
◆年忌法要の意味は?由来や歴史を紐解きます
◆お葬式・法事にNGな日取りとは?大安?それとも、仏滅?