お役立ちコラム お墓の色々

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法事・法要はいつまで行うべき?宗教や宗派別の弔い上げについて解説

葬祭基礎知識

法事・法要はいつまで行うべき?宗教や宗派別の弔い上げについて解説

法事・法要は、家族や親族が亡くなった後、一周忌・三回忌・七回忌などの節目の時期に行う仏教の行事であるということはよく知られています。しかし、何回忌まで行うべきなのかはよく分からず、心配になったり悩んだりする方も多いのではないでしょうか?
今回は、法要・法事をいつまで行うのか、何回忌を最後とするのかを、宗教・宗派別に解説します。
基本的なことを知っておくことで、今後について考えやすくなると思いますので、参考にしてみてください。

法要と法事について

まず、よく同じような意味で使われる法事と法要について、少し意味の違いがあるので簡単に解説します。
「法要」とは、僧侶が読経を行い仏前で執り行われる儀式のことで、その儀式の後に行うお墓参りや会食までを合わせた一連の行事のことを「法事」と言います。

その中でも特に、故人の供養のために行われるものを「追善法要」と言い、初七日・四十九日など故人が亡くなってから100日までに行われる法要を「忌日法要」、一周忌・三回忌・七回忌など、命日から1年後である一周忌以降、節目となる年の命日(祥月命日)に行われる法要を「年忌法要」と呼びます。一般的には、追善法要のことをさして「法要」「法事」と呼ぶことが多いようです。

忌日法要の区切り

忌日法要は、故人が亡くなってから7日ごとに7回、「初七日」、「二七日」・・・と「四十九日(七七日)」まで行われ、更に100日をめどに「百か日」の法要が行われることもあります。特に、最初の初七日と、7回目で忌明け、つまり遺族や親族が故人の冥福を祈りながら静かに過ごす期間の終わりのタイミングでもある四十九日は重要視され、盛大に行われることが一般的です。

なお、近年では法要を簡略化することが多くなり、初七日を葬儀当日に繰り上げて行うケースや、初七日と四十九日以外は遺族のみまたは省略するといったケースも少なくないようです。

四十九日法要についてはこちらに詳しく解説しています。
きちんと知りたい、四十九日法要の意味やマナー

年忌法要と弔い上げ

四十九日や百か日の法要が済むと、その後は節目となる年の命日(祥月命日)に年忌法要が行われます。長い年月をかけて営まれる年忌法要ですが、ある程度の年月が過ぎたところで最後の区切りを設けることが一般的です。
この、故人の供養のために行ってきた法要を終わりとする、最後の年忌法要のことを「弔い上げ(とむらいあげ)」と言います。「問い上げ」「問い切り」「上げ法要」などとも呼ばれ、これを節目に、故人の霊を、先祖代々の霊とともに弔うことになります。

弔い上げのタイミングについては、「何回忌をもって弔い上げとする」という明確な決まりはありません。しかし、年月を重ねるごとに故人を直接知る親族が少なくなることなどから三十三回忌や五十回忌を弔い上げとするのが一般的とされています。

五十年は切りが良いタイミングですが、なぜ三十三年なのでしょうか。これは、仏教において、故人が亡くなって三十三年や五十年が経過すると、魂が浄化され極楽浄土へ行けると考えられてきたためです。また五十回忌については、日本では古くから宗教に関わらず死者を弔う風習があったことから、神道において50年目を弔い上げとする慣わしとが関係あるとも考えられています。

地域や寺院によっては、五十回忌以降も百回忌・百五十回忌…と続けるところもあります。一方で現代では、家族形態の変化や高齢化、親族同士が遠くに住んでいて集まりにくくなっているなどの理由から、葬儀や法要を簡略化する傾向にあり、もっと早いタイミングを弔い上げとし、それ以降は命日に手を合わせたりお墓参りをしたりして故人を偲ぶというケースも増えてきています。

年忌法要のタイミングや数え方についてはこちらでも詳しく解説しています。
法事・年忌法要はいつ・どのように行う?数え方や行い方を解説します

宗派別の弔い上げのタイミング

弔い上げは、三十三回忌や五十回忌とするのが一般的であると書きましたが、地域や宗派・寺院によってそのタイミングは様々です。親族に聞いても分からない場合には、故人のお墓がある寺院や菩提寺に確認・相談すると良いでしょう。
ここでは、代表的な宗派における、一般的な弔い上げのタイミングについて紹介します。

真言宗

真言宗では、十七回忌まで行い、その後の二十三回忌と二十七回忌は行わず、その代わりに二十五回忌を行うことが多いとされています。
弔い上げは三十三回忌とするのが一般的ですが、五十回忌や百回忌・百五十回忌を行うケースもあるようです。

天台宗

天台宗では、十七回忌までを行い、真言宗同様二十三回忌・二十七回忌の代わりに、二十五回忌を行うことが多く、弔い上げは三十三回忌とすることが一般的です。

浄土宗

浄土宗では、三十三回忌まで順に行われ、三十三回忌か五十回忌を弔い上げとすることが多いようです。

浄土真宗

浄土真宗では、三十三回忌まで順に行われ、三十三回忌で弔い上げとすることが多い傾向にあります。
ただ、浄土真宗は他の宗派と違い、「往生即成仏」つまり「故人は、亡くなったらすぐ極楽浄土へ行く」という考え方があります。そのため、年忌法要は他の宗派と同様に決まった年に行いますが、「供養」ではなく、「故人を偲ぶ」「人々を救う阿弥陀仏に感謝をする」という意味合いで行われます。

臨済宗

臨済宗では、十七回忌までを行った後、地域や寺院によって、二十三回忌・二十七回忌を行う場合と、二十五回忌のみを行う場合とがあるようです。弔い上げは三十三回忌とし、五十回忌や百回忌などは行わないのが一般的です。

曹洞宗

曹洞宗は同じ禅宗である臨済宗と同様、十七回忌の後、二十三回忌と二十七回忌、もしくは二十五回忌のみを行い、三十三回忌を弔い上げとすることが多いようです。ただ、地域や寺院によっては、三十三回忌・三十七回忌を行ったのち、五十回忌を弔いあげとしたり、弔い上げを済ませた後も五十回忌・百回忌を行ったりする場合もあり、ここは真言宗と似ています。

黄檗宗(おうばくしゅう)

黄檗宗も禅宗の一宗派であり、臨済宗・曹洞宗と同じく、十七回忌の後、二十三回忌・二十七回忌を行う場合と、二十五回忌のみを行う場合とがあるようです。弔い上げは三十三回忌が一般的ですが、五十回忌とする場合もあるようです。

日蓮宗

日蓮宗は、十七回忌の後、二十三回忌・二十七回忌を行うか、代わりに二十五回忌を行い、三十三回忌を最後とすることが多とされています。
ただ、日蓮宗には弔い上げという考え方がありません。そのため、法要を仕切る人がおらず続けられなくなったタイミングを最後の法要と捉え、事実上の弔い上げとするようです。

宗派によるお墓や作法の違いについては、こちらの記事にまとめています。
宗派によるお墓の違い一覧

神道・キリスト教における弔い上げ

他の宗教でも葬儀の後に故人を偲ぶ行事がありますが、宗教によって死に対する考え方が異なるため、行事の意味合いや行い方にも違いがあります。

神道

神道では、仏教で言う忌日法要にあたる「霊祭」と、年忌法要にあたる「式年祭」があり、「無事に神様になって、家や子孫を守ってくれるように」という意味合いで行われます。これは、神道の「人の御霊は家にとどまり、その家の守り神になる」との考え方があるためです。

霊祭は、10日ごとを基本として百日祭まで行われ、式年祭は一年祭・三年際・五年祭・十年祭、それ以降は10年単位で執り行われます。行事の意味合いや節目の数え方は仏教の場合と少し異なりますが、100日を区切りとすること、式年祭が30年以上に渡って営まれることなど、仏教と共通している部分も多くあります。
弔い上げは、故人が亡くなってから満30年の「三十年祭」か、満50年目の「五十年祭」とすることが一般的です。

神道のお墓の特徴については、こちらをご覧ください。
神道と仏教のお墓の違い

キリスト教

キリスト教では、人の死は「神のもとに召される喜ばしいこと」という意味を持つことから、「供養」と言う考え方がなく、仏教の法要にあたる行事もありませんが、日本では、故人を偲ぶための「追悼ミサ」「記念集会(記念式)」と呼ばれる追悼行事が行われることがあります。追悼ミサはカトリック、記念集会はプロテスタントの行事です。
これは、日本にキリスト教を普及する際、故人や先祖を尊んで儀式を行う、日本で古来より受け継がれてきた習慣に合わせたためと考えられています。

追悼ミサや記念集会は、故人が亡くなった後1年以内に、カトリックとプロテスタントそれぞれの節目とされるタイミングに行われます。それ以降は特に決まりはなく、行われないことが一般的ですが、仏教の年忌法要や神道の式年祭のように、節目となる年に行う家庭もあるようです。ただ、「弔い上げ」というような習慣はなく、いつまで行うかは各家庭によるようです。

キリスト教のお墓についてもまとめていますので、合わせてご覧ください。
キリスト教と仏教のお墓の違い

まとめ

近年では、家族形態や生活スタイルが変化し、様々な事情で、法要を行う回数を減らしたり、弔い上げのタイミングを早めたりと、故人の供養に関わる儀式や行事が簡略化される傾向にあります。
そのような中でも大切なのは、故人の冥福を祈り先祖を敬う心です。法要ができなくとも、節目にはお墓参りをして手を合わせるだけでも供養となりますし、自らの生き方を見直す機会にもなります。

法要や弔い上げについては、地域や宗派によって様々な考え方があります。最終的に決めるのはご家族ではありますが、地域やお寺との関係を円滑に保つためにも、まずは親族で話題にし、気になるときには菩提寺に確認や相談をすると良いでしょう。

年忌法要について詳しく知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。
年忌法要の意味は?由来や歴史を紐解きます
お葬式・法事にNGな日取りとは?大安?それとも、仏滅?

法要をしない場合にも、供養を行うことはできます。命日の過ごし方についてはこちらもご覧ください。
命日とは?意味や過ごし方、お供えのマナーを解説