お役立ちコラム お墓の色々
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1月の季節の行事・イベント・風物詩といえば?お墓参りのタイミングも紹介

新しい年の始まりを祝うおめでたい雰囲気と、厳しい寒さが同居する1月。家族や友人が集まり、おせち料理に舌鼓を打ったり、初詣に出かけたりと、お正月ならではの時間が流れ、正月三が日を過ぎてからも、七草粥や成人式など、季節の節目を感じさせる行事や風物詩が数多く見られます。こうしたおなじみの行事に加えて、1月には他にどのような季節の催しがあるのでしょうか。
今回は、1月の行事やイベント、祝日や風物詩を紹介し、お墓参りに良いとされるタイミングについても解説していきます。
1月はこんな月
年明けとともに、寒さもピークを迎える1月
1月は、お正月を迎える新しい年の始まりの月で、どこか気持ちが引き締まり清々しさを感じる時期です。一方で、冬の寒さが本番を迎える頃でもあり、「新春」という言葉の響きとは対照的に、厳しい冷え込みが続きます。道路が凍結することもあり、地域によっては深い雪に覆われ、雪かきが欠かせないというところもあります。
そうした中で、各地では、新年を祝い一年の健康や幸せを願う行事が行われ、家庭の中でも、年の始まりを家族揃ってゆったりと過ごす、古くから受け継がれてきた慣わしが大切にされています。
「睦月(むつき)」と呼ばれる理由と「正月」の語源
1月は、「睦月(むつき)」という別名も知られています。これは、旧暦から受け継がれる「和風月名」という月の呼び名です。
睦月という呼び名の由来は諸説ありますが、お正月に人々が互いに行き来し、親族一同が集まって親しく(睦まじく)するという意味の「睦(むつ)び月」が転じたと言う説が有力です。そのほかに、最初の月を意味する「元(もと)つ月」、草木が芽吹き始める意味の「萌(もゆ)月」、春の日が初めて登ることを意味する「生(うむ)月」、稲の実を初めて水に浸す意味の「実(み)月」などが転じたとする説もあります。
また「正月」も、もともと1月を指す言葉でした。一説には、古代中国において、政治に専念した秦の始皇帝が降誕した月であることから、1月を「政月」と呼びましたが、始皇帝の実名(諱/いみな)が「政」であり、位が高い人の実名を呼ぶことは極めて失礼なこととされていたことから、「正月」と書き、読みが改められたとも言われています。
「正月」という呼び名の由来とも言われる秦の始皇帝については、こちらの記事でもご紹介しています。
◆【キングダム】中国を初めて統一した王、始皇帝・嬴政のお墓はどこにある?
お正月休み・仕事始め
日本では古くから、1月は新年を祝う特別な時期とされてきました。「年末から年越しの準備を進め、家族揃って新しい年を迎える」という文化は現在にも受け継がれ、年末年始を休暇や休業とするのが一般的です。
官公庁では、12月29日から1月3日までを冬季休暇とし、1月4日を「御用始め」と呼んで仕事を再開します。一般企業でもこれにならい、1月4日頃(曜日によっては5日や6日)を「仕事始め」としているところが多く、社会全体が少しずつ日常へと戻っていく時期でもあります。
お正月にまつわる行事
お正月
お正月とは、新年の始まりに健康や豊作などの福徳をもたらすとされる年神様を家にお迎えし、新年を祝うと共に一年の幸せを祈る日本の伝統行事で、年神様が家に滞在するとされる「松の内」までの期間に行われる一連の慣わしを指すのが一般的です。松の内の期間は地域によって異なり、主に関東、東北、九州などでは7日まで、関西を中心とした地域では15日までとされています。
お正月のうちでも、1月1日の「元日」は、古くから年の始まりを祝う特別な日とされ、現在も国民の休日となっているだけではなく、宮中や全国の神社において、国の繁栄や平安、国民の幸せ、五穀豊穣などを祈願する「歳旦祭(さいたんさい)」が執り行われます。
また、1月1日〜3日の「三が日」には、初詣に出かけたり、おせち料理やお雑煮などを囲んだり、お年玉を贈ったりと、家族揃って過ごす風景が各地で見られます。
さらに松の内の期間には、年神様をもてなし、家を守る竈門(かまど)の神様を休ませるといった理由から、掃除や煮炊き、刃物を使うことをなるべく控えるといった慣わしも、伝えられています。
お正月の過ごし方や慣わし、喪中のお正月については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
◆おせち料理の由来と歴史〜おせちに込められた意味や願いとは?〜
◆「コレはNG!」喪中のお正月、基本のマナーや過ごし方を解説
修正会(1月1日〜7日)
修正会(しゅしょうえ)とは、新年の始まりに際し各地のお寺で開かれる、社会の安定や五穀豊穣、人々の幸せを祈願し、今年も無事に新しい年を迎えられたことを仏様や宗祖に感謝するための法要です。浄土真宗では、自分自身を振り返り、新しい年に向けて心身を整えることを目的に行われます。
日程は寺院によってさまざまですが、1月1日〜7日頃が多く、大晦日の除夜の鐘の後、1月1日午前0時から始める寺院もあります。檀家になっていなくとも参加可能な寺院が多く、法要や法話会を行うのが一般的ですが、お守りの授与、お屠蘇やおしるこの振る舞いなど、独自の催しを行う寺院もあります。
修正会の意味や歴史については、こちらの記事で詳しく解説しています。
◆修正会(しゅしょうえ)とは?お寺で行う正月行事の意味や歴史を解説
1年の幸せを祈る行事
人日の節句と七草粥(1月7日)
七草粥を食べて1年の無病息災を祈る日として知られているのが、桃の節句や端午の節句と並ぶ「五節句(ごせっく)」の一つ、1月7日の「人日(じんじつ)の節句」です。
「人日」という言葉は馴染みが薄れているものの、春の七草を入れた七草粥を食べる慣わしは、若菜の生命力をいただくだけでなく、お正月に疲れた胃腸を休めることにもつながるとして、今なお「七草の節句」とも呼ばれて広く受け継がれています。
人日の節句の起源や風習などについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
◆七草粥を食べる「人日の節句」っていつ?起源や七草粥の由来、受け継がれる風習などを解説します
十日戎(1月9日〜11日)
十日戎(とおかえびす)とは、七福神の中で、漁業や商売繁盛、五穀豊穣の神様として知られる「えびす(恵比寿・恵比須)様」を祀るお祭りです。関西地方を中心に毎年1月9日〜11日にかけて行われ、「えびっさん」「えべっさん」などの愛称で親しまれています。
兵庫県西宮市の西宮神社で行われる、開門と同時に参拝者が境内を全力で走り抜ける「福男選び」の神事は、この時期の風物詩として、きまってニュースなどで取り上げられます。
お祭りは、えびす様をお祀りする神社や、その近辺の商店街で行われることが多く、福笹や熊手などの縁起物を求める人や、露店や商店街での買い物を楽しむ人で賑わいます。
鏡開き(1月11日または、1月15日か20日)
鏡開きとは、1月11日(松の内を15日までとする地域では15日や20日)に、お正月に年神様をお迎えするためにお供えしていた鏡餅を下げ、そのお餅をいただくことで、神仏に感謝し、一年の無病息災を祈る行事です。
近年では気にしない人も増えているようですが、割ったり切ったりすることは縁起が悪いとされるため、刃物は使わず、木槌や手で「開く」のが本来の慣わしです。ぜんざいやお雑煮、揚げ餅(かき餅、あられ)などにしていただくことで、運が「開き」、年神様の力を授かることができると言われています。
鏡餅について詳しく取り上げている記事もありますので、合わせてお読みください。
◆鏡餅とお供え餅の違いは? 由来・意味・お供えの仕方までわかりやすく解説
小正月(1月15日)
小正月とは、1月15日、または1月14日〜16日にかけての3日間など、お正月の締めくくりをする節目の日のことです。
旧暦では、新月の日を一日(ついたち)として1ヶ月を数えており、15日がその年最初の満月にあたることから、正月に次いでめでたいとされ、「小正月」と呼ばれるようになったと言われています。かつては、1月1日を「男正月」、15日を「女正月」と呼び、お正月準備やもてなしで忙しかった女性をねぎらい、女性が里帰りをしたり、男性が家事を手伝ったりする日でもあったようです。現在では、正月飾りや書き初めなどを焚き上げて無病息災を祈るどんど焼きや、小豆粥を食べる風習などが、地域ごとに受け継がれています。
そのほかの1月の祝日・行事・風物詩
成人の日/成人式・二十歳のつどい(1月第2月曜日)
成人の日は、「大人になったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことを趣旨とした国民の祝日です。もともとは、元服の儀が行われていたとされる1月15日(小正月)に定められていましたが、2000年からはハッピーマンデー制度により、1月の第2月曜となりました。
成人の日やその前後には、全国の多くの自治体で、その年度に成人を迎える若者の門出を祝福し激励する「成人式」(近年は「二十歳のつどい」などとしている自治体もあります)が行われており、華やかな着物やスーツに身を包んだ新成人の姿は、この時期ならではの風物詩にもなっています。
なお、2022年(令和4年)に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、ほとんどの自治体では、従来通り20歳を対象に実施しているようです。
年賀状・寒中見舞い
お正月に年賀状が届くのを楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。近年では、メールやメッセージアプリ、SNSなどで新年の挨拶を済ませる人も増え、「年賀状じまい」という言葉が広がりつつありますが、受け取った時の特別感や、手元に届くあたたかさといった日本文化の価値を大切にし、年賀状でのやり取りを続けている人も少なくありません。また、年賀状を続けていこうという「年賀状つなぎ」という動きも広がりを見せています。
もう一つ、この時期の挨拶状として知られている「寒中見舞い」は、松の内(1月7日)が明けてから立春(2月4日頃)までの1年で最も寒いとされる時期に、相手の体調や暮らしを気遣いながら近況を伝えるための、季節の挨拶状です。
年賀状を出した場合、寒中見舞いは出さないのが一般的ですが、自分や相手が喪中で年賀状を控えた場合や、松の内までに年賀状を出しそびれてしまった場合、また、喪中と知らずに年賀状を出ししてしまった際のお詫びなど、幅広い場面で用いられています。
なお、立春を過ぎると「余寒見舞い」となるため、出す時期には注意が必要です。
喪中の場合の挨拶状の出し方について解説している記事もありますので、合わせてお読みください。
◆喪中はがきはいつまでに出す?喪中はがきの意味やマナーを解説
1月のお墓参りにおすすめのタイミングと注意点
お正月に家族が集まったタイミングで
意外に思う方もいるかもしれませんが、お正月はお墓参りをする方が多い時期です。
その背景には、ご先祖様の霊が山や田の神となり、お正月には年神様となって、家や家族絵を見守ってくれているという、日本古来の考え方があります。その年神様をお迎えし、新しい年の無事や幸せを祈るお正月は、ご先祖様に感謝を伝えるお墓参りとも相性のいい節目なのです。
また、お正月は、帰省などで家族が集まりやすい時期でもあります。家族揃ってお墓に手を合わせることで、ご先祖様とのつながりや家族の絆を改めて感じる機会にもなるでしょう。
ただし、初詣とお墓参りを同じ日に行うことについては、地域の風習や家庭ごとの慣わし、一人ひとりの考え方に違いがあります。気になる場合は無理をせず、日を分けるなど配慮しながら、それぞれの家庭に合った形でお参りするとよいでしょう。
お正月のお墓参りについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
◆お正月にお墓参りをしてもいい?年末年始のお墓参りの考え方や注意点をご紹介
人日の節句や小正月など、家族の無病息災を祈る日に合わせて
お正月のお祝い事や挨拶がひと段落する、1月7日や15日の松の内明けの頃には、人日の節句の七草粥、鏡開き、小正月のどんど焼きなど、家族の無病息災を祈る行事や慣わしが続きます。
この時期は、年神様として家に訪れていたご先祖様が山へ帰る頃とも言われており、ご先祖様に新年を迎えられた感謝を伝え、「今年も家族を見守ってください」との願いを込めてお墓参りをするのにも良い節目と言えるでしょう。
成人式に合わせて
家族が成人を迎える年には、成人式に合わせてお墓参りをするのも良いでしょう。お墓参りは決して縁起の悪いものではなく、人生の節目に、これまでの成長を報告し感謝を伝える場としても大切にされてきました。
可能であれば、晴れ着姿やスーツ姿でお参りすると、ご先祖様の喜びが増すだけでなく、新たな一歩を踏み出す節目として自身や家族にとっても心に残るひとときとなることでしょう。
お墓で写真を撮る際の注意点やマナーについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
1月のお墓参りの注意点
1月は、寒さが特に厳しく、地域によっては積雪や路面の凍結などで外出が難しくなることもあります。また、寒さや年末年始の疲れから体調を崩しやすい時期でもあるため、無理のない計画を立てることが大切です。
お参りの際は、防寒対策をしっかり行い、滑りにくい靴を選ぶなど足元にも十分注意しましょう。また、年末年始は霊園の開園時間や、お花屋さんの営業日、交通機関のダイヤなどが通常と異なる場合もあります。事前に確認し、時間に余裕を持って行動すると安心です。
お墓参りの基本のマナーについても、確認しておきましょう。
まとめ
1月は、1年を新たに迎える節目の月として、各地で健康や幸せを祈る様々な慣わしや行事が受け継がれてきました。
神仏やご先祖様といった目に見えない存在や、季節の移ろいを大切にするこうした日本の文化には、今ここに生かされていることや自然の恵みに感謝しながら暮らしてきた、日本人の「心」が息づいていると言えるのかもしれません。
今年の1月は、いつも以上にご先祖様の存在を感じながら、祈りを込める慣わしを暮らしの中に取り入れ、穏やかな気持ちで新たな一年を歩み出すきっかけとしてみてはいかがでしょうか。
お正月に楽しめる絵本や、家族でのお墓参りの温かさが感じられる写真集についても紹介しています。また、冬のお墓参りにおすすめの花について紹介している記事もありますので、ぜひ併せてお読みください。